少年が見た魔王
※これはリックの視点から見たギラへの感想のようなものです。
僕と旅をしているギラさん。
彼女は滅茶苦茶なところも多いけど凄い人なんだと思う。
最初誘われたときは本当に僕でいいのかと思った。
でもあの出会いがなければ今の僕はなかった。
偶然だし運命なのかもしれない。
だけどそんな偶然が今の僕になった。
時折見せるガラスのような脆さ。
そして時折覗かせるとても恐ろしい顔。
それも含めてギラさんなんだと僕は思う。
彼女の過去に何があったかは僕には分からない。
でも彼女は人を嫌っているんだなと思う。
人間への好奇心の強さはそんな嫌いの裏返しなんだろうな。
だけど彼女との旅は最高に楽しいと僕は思う。
最初はこの人は何を言っているんだと思った。
でもそんな破綻したような事も彼女なりの自信があるんだと今になって分かった。
僕だって彼女の全てを肯定する事は出来ない。
人を殺す事に一切の躊躇いがないのは恐ろしさすら感じる。
それでもそんな彼女の冷酷さに僕は惹かれている、そんな気がする。
彼女はあらゆる意味で滅茶苦茶な人だ。
だけどそのぶっ飛んだ彼女が今の僕に楽しさを与えている。
昔の僕からしたら信じられないぐらいに今が充実しているんだ。
仲間と出会って冒険をして。
昔の憎しみに囚われていた僕に憎しみという感情の意味を教えてくれた。
それは彼女自身が持っている憎しみなんだと僕は理解した。
運命は僕と彼女を引き寄せた。
それは偶然か、それとも必然か。
だけど彼女は僕に刺激をくれる。
その刺激は今まで臆病だった僕に新しい世界を教えてくれた。
それは感謝しているしとても嬉しい事だ。
だからこそもっと旅がしたい、そう思うのは我儘なんだろうか。
許せない部分もあるしそれを認めたくない部分もある。
だからこそ僕は彼女の言った事を理解しなきゃいけないんだと思う。
それは「魔王」というものが何を意味するのか。
僕は「魔王」を知らなきゃいけないんだろう。
それが彼女を理解する事の第一歩なのだろうから。
僕に光をくれたギラさん、彼女に僕はどこまでもついていく。
次の秘境探しはどこへ行くのか、僕は彼女と旅をする、それはきっと宝物になるから。