海から手に入るもの
海賊との交渉をまとめたギラ達。
翌日は早速海に出るべく近い海賊団、リフィネラの船に乗っていた。
海の魔物との戦い、そして海賊達の手に入れるお宝。
それらを巡り海の戦いが始まる。
「目的の海域はこの辺りだな」
「お手数かけます」
「お宝探しもするそうですし、ちょうどいいですよ」
「そんじゃ目的の魔物の登場まで待機だね」
そうして船の上で魔物の登場を待つ。
一方の海賊達も海に沈んだお宝を回収すべく準備に入る。
準備を始めてから少し、船が揺れた。
「魔物が出たぞ!」
「行きましょう!」
「了解だ、負けやしないよ!」
「行きますか!」
そうして甲板へ移動する。
そこには巨大なクジラの魔物がいた。
今回の討伐対象のエメラルドホエールだ。
「私達は宝をさっさと引き上げる!そっちは任せるぞ!」
「分かりました!」
「さて、ではやりますか」
「ファイトですっ!」
そうしてエメラルドホエールとの戦いに突入する。
「いきますよ!ソウルドレイン!」
「やったか!守りを固めろ!」
「さっさと倒しちまいますよ」
「負けないからね!」
凶暴化したエメラルドホエールの攻撃が襲う。
それを捌きつつエメラルドホエールに攻撃を叩き込んでいく。
船の上である以上物理攻撃はなかなかに使いにくい。
「荒れ狂う波よ、襲いかかれ!」
「流石は海の魔物だ」
「さっさと倒すわよ!」
相手にはリックやモレーアの魔法を中心に攻める。
そこにメーヌやソウ、翠の攻撃を的確に叩き込む。
遠距離攻撃が出来るのなら怖いものはない。
そうしてエメラルドホエールは海に沈んでいく。
「やりましたね」
「船を沈めちまったら怒られるしさ」
「お、倒したか、こっちもお宝を引き上げたぞ」
ギラ達はそっちへ向かう。
お宝を見せてくれると言うので、そのお宝を拝見する。
「こいつは本か?ずいぶんとボロっちいな」
「見せてみな」
「こいつは魔道書だね、私なら読めそうだ」
どうやらその本は魔道書のようだ。
リフィネラはさっぱりだが恋夜には読めるという。
「ならそいつはやる、私に読めない本じゃ換金しても大した金にはならん」
「そうか、なら感謝する」
「これで恋夜さんの戦力もアップしますね」
そうしてお宝も手に入れアジトへと引き返す。
アジトに戻りリフィネラにお礼を言ってドラジールへと戻る。
冒険者ギルドで報告を済ませ一旦自由時間にする事に。
「…リックさんは私を気に入っているようですね」
「はい、とても」
「あんた達、本当にそれで何もないとか」
モレーアもギラとリックの関係にはどこか不満気である。
「そういえばモレーアさんの額の石ってなんなんですか?」
「確かに気になりますね、アクセサリーというわけでもなさそうです」
「こいつは魔力の触媒なのよ、こいつのおかげで魔力を維持してるの」
どうやらその石は魔女には欠かせないもののようだ。
「それって埋め込まれてる…んですよね?」
「アクセサリーには見えませんしね」
「そうね、額に直接埋め込んであるわよ」
その石は魔女としての証でもあるらしい。
魔力のこもった石を直接体に埋め込みその力を得るという。
魔女にとっては当たり前であり、誰もがそうするとか。
「直接埋め込むって、痛くないんですか?」
「痛くないわよ、そもそも埋め込むときも魔法でやるしね」
「ふむ、魔力の触媒を体に埋め込む、私にはない発想です」
それとモレーアの服装についても訊いてみる。
「その、なんでそんな露出の多い服を?」
「肌の露出が多いほどに魔力が高まるのよ、本当は全裸マントでもいいけど」
「全裸マントって単なる痴女じゃないですか」
モレーアの話では、魔女は肌を晒すほどに魔力が高まるという。
知り合いにはそれこそ全裸にマントという魔女もいるらしい。
「私も本当は全裸になりたいんだけど、人前に出るのにそれは逮捕されちゃうし」
「当たり前ですよ、街中で全裸にマントとか普通に逮捕しますって」
「私でも流石に公衆の面前で全裸になる勇気はないです」
モレーアもとんでもない事を言うものだ。
とはいえモレーアの服装は肌の露出が極めて多い。
その露出の多さがモレーアの魔法の力に繋がっているのか。
「それで、リックは私とギラとどっちの裸が好みかしら」
「こんなデカメロンよりそびえ立つ壁の私ですよね」
「そういう事は訊かないでくださいっ!!」
流石に答えてはくれない。
モレーアのそれは立派に育っているようだ。
一方のギラは貧相であり、見事にそびえ立つ壁である。
リックは慣れてしまったせいで、女体への反応も薄い。
とはいえ少しふざけるときちんと怒ってくれるので無問題。
「でもやっぱり脱ぎたいわねぇ」
「勘弁してくださいよ…」
「公衆の面前で全裸とか逮捕案件ですからね」
流石にそれは分かっているのか、そんな真似はしないという。
それでもモレーアならやりかねない辺り、油断はならない。
「うふふ、ならこれで許しなさい」
「うぷっ!?くる、苦しい…」
「どうせ私のおっぱいは埋もれるほどありませんよ」
その豊満な胸にリックを埋めるモレーア。
それを見たギラは不服のようである。
「どうだった?柔らかかったでしょ」
「は、はい、ってそうじゃなくて」
「なんか納得いかないですよね」
モレーアもこういう一面があるから油断ならない。
というかこのパーティーの女性陣はそれに対して抵抗がなさすぎである。
そのせいでリックが女体に慣れてしまったのである。
「はぁ、女の人ってこんな人ばかりなんですか」
「私達が特殊なだけですよ、一般的な女性は違いますしね」
「リックに免疫つけたのは誰のせいよ」
そんなリックも簡単には動じてくれない。
女性陣に囲まれる言わばハーレム状態なので当然ではある。
モレーアも少々呆れ顔である。
とはいえそんなリックが面白いともモレーアは言う。
「それにしてもモレーアさんの事が少し知れてよかったです」
「ですね、魔女の事も気になっていたので」
「ふふ、もっと知りたかったら夜の個人授業してみる?」
そういう誤解を招く言い回しもモレーアの嫌らしさだ。
とはいえ彼女から学ぶ事も多く、リックはそれを楽しそうにしている。
やはり異世界から来たというのはそれだけ刺激になるのだろう。
その後はみんなと合流し今後を考える。
ベゼスタの事もあるので、警戒は怠らないようにする。
明日はアルセイムに移動して、依頼を受ける事で決まった。
モレーアの個人授業はもちろん為になりますよ?