海賊との交渉
海に出られる手段を求めてリバージにやってきたギラ達。
とりあえず船について話を聞くべく港へと向かう。
海に出られれば今後の活動の幅も広がる事になるだろう。
そんな海を目指し交渉が始まる。
「海に出る手段が自前で欲しい?」
「ええ、船の相場って中古でいくらぐらいですかね」
「お金は一応出来るだけ用意したんですが」
「やっぱりこの程度じゃ厳しいですよね」
港の船員はその金額を見て、それでは到底無理だと言ってくれる。
船を買うなら中古でもその金額の4倍は必要だそうだ。
「やっぱり全然足りないと」
「流石にこれの4倍となるとねぇ」
「あんた達海に出たいんだよな?少し危険だが手段自体はあるぞ」
「その手段とはなんだ」
船員の話では世界の海で宝探しをする海賊団がいるらしい。
そのアジトがこのリバージ近辺にあるという。
そいつらに交渉して船に乗せてもらえるようにすればいいという。
自前の船は高価なので他人の船に乗っかってしまえばいいのだ。
「海賊ですか、そいつらと交渉してみろと」
「ああ、海賊とはいえ無闇に街を襲ったりするような奴らでもないしな」
「つまり海のトレジャーハンターという感じか」
あくまでも提案でありそれをどうするかはギラ達次第だ。
だがそれも面白そうだとしてその海賊のアジトに行ってみる事に。
「場所は西の海岸線にある海と繋がってる洞窟な」
「分かりました、では行ってみるとします」
「情報感謝しますね」
「では失礼しましたわ」
そうしてギラ達は西にある海岸線に向かう。
そこにある洞窟が海賊のアジトらしい。
洞窟を見つけたギラ達はその中へと図々しくも足を踏み入れる。
「おぉ、本当に海賊船ですよ」
「気づかれますよ…」
「というかもう気づかれてるけどな」
どうやら囲まれているらしい。
「あんた達、アタシの船になんの用かしら!」
「とりあえず交渉したくて来ました」
「あはは、戦う意思はありませんよー」
抵抗の意思がない事をその海賊に示す。
それに理解したのか海賊たちは武器を下ろした。
「それでリーダーに会いたい、構わないか」
「ふーん、なら話を聞くわよ」
「へっ?まさかリーダー…」
「子供じゃない、こんな子供がリーダーなの」
その発言に少しカチンときたようで。
「うっさい!これでも大海賊の血を引く人間なのよ!」
「ふーん…まあ一応そういう事にしておくわ」
「こんな人ですみませんね、とりあえず交渉を」
そうして自己紹介をしつつアジトに移動する。
「つまり修行なんかの一環として海の魔物と戦いたいから海に出られるように、と」
「ええ、自前で船を買おうとも考えたけど、お金ないし使うのも限られるし」
「それで他人の船に便乗してやるぜ、ヒャッハーです」
「面白い情報もあるんだがね、その情報でどうだ」
そのリーダーは少し考える。
そして船に乗せるだけならとだけ言ってくる。
「つまりあくまでも船に乗せる事は許可してくれると」
「そうよ、このパリエ・カイネ様が義に背くような事はしたくないもの」
「ふむ、つまりは交渉成立と」
「いう事でいいのです」
だがパリエの話では、自分はアルセイムの地域の担当でしかないという。
海賊団は三国に展開するに当たり各国にそれぞれリーダーがいるという。
アルセイムのパリエ、ウルゲントのリフィネラ、オルバインのクラネッタという。
そっちに連絡はするから、あとは勝手に交渉しろとの事だ。
アルセイム近海に関してはパリエはそれで構わないそうだ。
「分かりました、ではとりあえず交渉に行ってみますね」
「ええ、あんた達も面白そうだからね」
「ははっ、それはいい」
「では感謝しますね」
そうしてアルセイム近海に出る事は出来るようになったっぽい。
とりあえずそのままオルバインに向かいオルバインのリーダーに交渉する。
名前はクラネッタ、アジトの場所を港で聞きそこへ向かう。
「あなた達がギラさん達かな」
「ええ、あなたがクラネッタさんですか?」
「なんか若い女の子だね、女海賊団か」
とりあえずクラネッタに事情を説明する。
「海の魔物と戦いたいから船に乗せてくれ、それはつまり命の覚悟は出来てるんだよね」
「当然です、それで来たんですから」
「そうでなければ最初から来ませんよ」
その言葉にクラネッタも面白そうに微笑む。
「いいよ、なら乗せてあげる」
「感謝します」
「海に出られるようになりましたね」
「流石に自前の船よりは楽な手段、かね」
クラネッタの話では常に乗せられるわけではないという。
自分達も宝探しで海に出るので、港に船がない場合もあるそうだ。
「一応そういう事だから、船に乗りたくても港になかったらご免ね」
「それも仕事ですからね、そればかりは仕方ないですよ」
そうしてクラネッタとは交渉成立である。
そのままお礼を言いウルゲントのリフィネラに会いにいく。
ソルバードを飛ばしウルゲントの最東端の港のあるドラジールに着く。
そしてそのままアジトの場所を聞いてアジトへ向かう。
「話は聞いてるぞ、あんた達がギラ達だな」
「ええ、リフィネラさんですね」
そこにいたのはやはり若い女の子だった。
とりあえず交渉を開始する。
「海の魔物とも戦いたいか、それは構わない、ただしこっちからも条件がある」
「なんですか?聞ける範囲で聞きますけど」
リフィネラの提示した条件は魔物と戦いにいくなら宝探しも手伝えという事らしい。
面白いものを見つけたらくれてやるから、という条件だ。
「いいでしょう、お宝が手に入るならそれも悪くない条件です」
「なのです、宝物が手に入るのです」
「では交渉成立だな」
そうしてリフィネラとも交渉成立である。
これで三国の近海に出られるようになった。
「そういえばパリエが面白い情報を持っていると言っていたが」
「ああ、それは東の海域さ」
リフィネラはその言葉に興味を示す。
「東の海域?あそこは天気が荒れやすいから船で出るのは危険だろう」
「そうだね、でもあの近海には昔そこにある国を攻めようとした船が多く沈んでる」
「確かに台風が多かったですよね、船が沈んでても不思議ではないかと」
それについて詳しく説明する。
リフィネラは難しい海域だが興味は示してくれる。
「なんにしても交渉は成立だ、港に船が停泊してたら好きに言ってくれ」
「分かりました、感謝します」
そうして海賊との交渉をまとめたギラ達。
海にも手を出しさらなる修行が始まる。
それは強さを求めお宝も求める夢も同時にあるのである。