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傭兵の生き方

バドカにやってきたギラ達はそこで討伐依頼を受け、再びウルゲントへ。

世界の三国の依頼を受けられる場所であるバドカ。

そこでは珍しい討伐依頼や採取依頼が掲示される。

ただし無期限で長期的に時間を使わないといけない土地なのが難点である。


「結局ウルゲントなんですね」

「今回の相手はアングリーボアですね」

「なんか名前からして最初からブチ切れてそうな」

「アングリー、名前だけにか」


とりあえず平原に出現するらしいのでそれを探す。

少し歩いていると足音らしきものが聞こえる。


「音を感知!何かが来ます!」


メーヌが感じ取ったそれはまさにターゲットのアングリーボアだ。

全身を真っ赤にしてこっちに突っ込んでくる。

それを回避した後陣形を組む。


「さて、応戦するよ!リックはさっさと覚えちまいな!」

「は、はい!ソウルドレイン!」


ソウルドレインが見事に決まる。

元々凶暴状態なのでバーサクにはならない、というか最初からバーサクだ。


「理性を奪う歌よ、その心に染み渡れ!」

「そういう魔法か、敵全体をバーサクにするっていう」

「それよりさっさと倒すわよ!」

「早くやるのです!」


その後も何度も突進してくるアングリーボアを回避しつつ攻撃を叩き込む。

常に移動しているので攻撃が入りにくい。

それでも的確に攻撃を叩き込み、なんとか沈める事に成功する。


「ふぅ、流石に嫌らしい相手だったね」

「まあ勝てば官軍ですよ」

「勝てばいいって事だね」

「それが世界の真理ですっ」


そうして戻ろうとすると聞いた声がする。


「よう、お前らも討伐してたのか」

「ベゼスタ…」

「お前らも、という事はあなたもですか」


どうやらベゼスタも討伐依頼をしていたらしい。

傭兵と言いつつも稼ぎのために冒険者ギルドにも所属している。

彼なりの生き様はあるのだろう。


「ちょうどいい、暇なら少し俺を手伝え、共闘ってやつだ」

「は?いいんですか」

「背後から斬ったりしませんわよね」


流石のベゼスタもそんな真似はしないと誓ってくれる。

戦場で容赦はしないが敵味方の区別ぐらいはきちんとつけるからだ。

傭兵である以上敵には冷酷になるものの、そのルールには従うものと言う。


「別にいいだろ?俺は敵を殺す事は躊躇わないが守るべきもんは守る男だ」

「やれやれ、なら乗ってあげますよ」

「少し話も聞いてみたいですからね」


そうして交渉成立だ。

ベゼスタの狙いは大型の鳥の魔物だという。

今いる平原に出るらしいので、探してみる事に。


「そういえばベゼスタさんって意外と規律を守ったりするものなんですか?」

「たりめぇだろ、好き勝手やる傭兵なんてどこも雇ってくれねぇからな」

「そいつは正論だね、傭兵だろうと雇われ先のルールには従うか」


ベゼスタ曰く雇われるとはいえ、それは組織に所属する事だという。

それなら当然そこのルールに従わないと意味がない。

命令違反を当たり前にする奴は正規のメンバーでなくても忌み嫌われるという。


「傭兵だろうと騎士だろうとルールを守れない奴には絶対無理な仕事って事だ」

「組織に所属するからには命令には従う、まあ当然っていえば当然ですよね」


ベゼスタはそうする事で傭兵として長く生きてきたという。

正規のメンバーよりは多少自由はあるが、基本的には命令で動く。

今までの雇われ先も負けが確定したのなら逃げろと言われてきたという。

傭兵はそんな勝てない戦にも雇われなければならないのが辛いという。


「大体命令違反なんてしたら味方を混乱させちまう、後ろから殴れってか」

「意外と真面目な人で驚きましたよ、傭兵としての生き方ってやつですよね」


ベゼスタも冷酷ながらも王になるというのはそういう事だと知っている。

だから敵には容赦しない、王とはそういうものだ。


「命令違反マンセーが許される組織なんざ組織って言わねぇからな」

「それは単なる無法者の集まりと変わらないですか」

「当然規律も何もあったもんじゃない、ですわね」

「命令違反で仲間を殺したら誰が責任を取るんだって話にもなってくるしね」


ソウもそんな組織の事はよく知っているらしい。

ベゼスタはソウを見て同じ臭いがするという。

その臭いとは血の匂い、戦場で人を殺した事がある人間の臭いらしい。


「シスターのくせに妙に血腥いよな、あんた」

「まあ体に染み付いた血は洗っても落とせないって事だよ、あんたと同じでね」

「ソウさんってやっぱり元傭兵とかそんなところなんですかね」

「あのベゼスタさんが同類だと見ているようならそうなんじゃないの」


そうしていると大きな影が覆う。


「出やがったな、お前ら構えろ」

「ついでにこいつからも…」

「その翼、掻っ切ってやるよ」

「来ますよ!」


ベゼスタのターゲットのレッドイーグルだ。

鳥の魔物の中では強い部類に入り攻撃力も高い相手である。


「ソウルドレイン!」

「おい!何勝手に凶暴化させてくれてんだ!」

「この程度なら凶暴化しても捌けるだろう?」


ソウもベゼスタの実力から問題はないと言う。

ベゼスタも不満気にそれに返し戦いに戻る。


「翼より放たれる鋭利なる風よ!」

「ほう、おもしれぇな、なら今は倒すのが先だぜ!」


そうしてそのままサクッと倒してしまう。


「ったく、おい、そこのクソガキ、下手に相手を刺激すんなよ」

「ご、ご免なさい」


ベゼスタもリックを少し窘める。

流石に今回ばかりはリックが悪い。


「とはいえあんた達おもしれぇわ、そんな変人揃いのパーティーとか笑えるぜ」

「褒められたのです」

「褒められてるんですかね」


とりあえずベゼスタは討伐の証を手に入れる。


「そんじゃ俺は行くわ、次に会うときは敵でも味方でも楽しくやろうぜ、じゃあな」


そう言ってベゼスタは去っていった。


「意外といい人なんですかね、彼」

「なんにしても単に冷酷な脳筋という事でもなさそうだね」

「王になるって言うからには王として求められるものも分かってるのか」

「とりあえず私達も戻って報告しよう」


そうしてギラ達はバドカに戻り達成を報告する。

報酬を受け取った後次の相手を考える。

魔物は海にも出現すると言うので、海にも行けないかと考える。


そこで船について相談すべくリバージへ向かう事にした。

船についての交渉が出来れば幸いだとギラ達は考える。

海の魔物と戦うべくその手段を求めていく事になった。


ベゼスタの意外な一面を見たギラ達は、彼の信念を感じ取ったのだった。

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