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迷い人の記憶

魔女についての情報を求めるギラ達。

とりあえずは隣村のセレリノ村にやってきた。

そこは久しぶりの場所であり、懐かしい場所だった。

誰かが情報を持ってないかと村人に訊いて回る事に。


「どうでした?」

「駄目ですね、収穫はないです」

「ウルゲント国内ならここでも一人ぐらいは知ってそうですのに」

「もう少し訊いてみるべきか?」


するとどこかで聞いた声がした。


「あ、あなたは以前の」

「おや、確かシャウスさんですか」


それはあのときの研究者だった。

彼も元気そうで安心する。

一応ではあるが彼に魔女について尋ねてみる。


「魔女ですか?うーん…噂は聞いてますけど僕は出不精なので」

「やはり難しいですよね」


すると何かを思い出したシャウス。


「ああ、そうだ、なら少し気になる話がありますよ」

「気になる話?一応聞かせてくれるかい」


シャウスの話では先日森に入った老人が迷ったそうだ。

捜索を考えていると突然その老人がひょっこり戻ってきたという。

だがその老人は迷ってから帰るまでの記憶がなかったそうだ。

どうやって森を出たかも覚えていなかったという。

医者に診察などもしてもらったが至って健康体だったらしい。

その老人は誰かに会ったような気がするが何も思い出せないと言っていた。

記憶障害や痴呆という事もなく、森の入口に気づいたら立っていたそうだ。


「その森ってどこです?」

「えっと、南の森です、あそこは薬に使うキノコなんかが採れるんですよ」

「その森に何かがあるのかね?」


シャウスの話では森で迷った人が記憶を失って森から出た事例が数件あるらしい。

そして全員が誰かに会ったような気がすると言っていたそうだ。

だが記憶がない以上それの真偽は分からないままという。

真実は闇の中、とはいえそんな真似が出来る誰かに出会った可能性は高いと睨む。


「一応その森に行ってみますか?」

「行くのは構わないけど、何かあってからじゃ…」

「要は迷わなきゃいいんだろ?それだけさ」


ソウも簡単に言ってくれるものだ。

シャウスも不安そうではあるが、ギラ達を信じる事に。

そうしてギラ達はその南の森へと向かう。


「ここがその森か」

「本当に何かあるんですかね」

「それを調べにきたのですわよ」

「ま、まあ何にしても森に入ってみましょうか」


森に足を踏み入れるギラ達。

その森には確かに珍しいキノコや効能が強めの薬草が自生していた。


「うーん、魔力の類は感じませんよ」

「特に怪しい感じもしないね、至って普通の森だ」

「人の気配もしませんね、何の変哲もない森のようです」


誰も変な感じや怪しい感じは感じないという。

とりあえずメーヌに地形を記憶してもらいつつ森を歩き回る事に。


「んー、やっぱり何もないですよ?」

「だが迷ったという事は何かしらの力が働いた可能性は否定出来ないだろうな」

「それには同意します、土地勘のある人間が迷うのが不自然ですから」


確かに村で聞いた迷ったという人は土地勘のある人間だ。

そんな人が馴染みの森で迷うのかという疑問にぶつかる。

土地勘があるのに迷うという事は、何かしらの力が働いた可能性も否定出来ない。

その後も森を調べるが収穫は何もなかった。


一旦森の調査を切り上げセレリノ村に戻るギラ達。

そこでシャウスにもう一度話を聞いてみる。


「うーん、ウルゲント国内だから…そういえばカーミンスでも見たって聞いたよ」

「リリベル教団のお膝下で仕事をするとは勇気ありますね」


まさかの宗教の総本山での目撃証言。

出会える可能性は低いだろうが、行ってみる価値はある。

ギラ達はシャウスに礼を言いカーミンスへと向かう。


ソルバードで渓谷を越えカーミンスに下り立つ。

街へ向かい情報を集める事に。


「どうでしたか?」

「駄目だね、宗教の総本山だからなのか魔女の話題はタブーらしい」

「むむむ、誰かに話を聞けませんかね」


カーミンスはリリベル教団の総本山だ。

それにより魔女の話題はタブー扱いされている。

とはいえ話す事自体は出来るはずである。

ただ、下手に魔女の話をすれば教団にマークされてしまう可能性もある。

尋ねる程度ならいいようだが、それを教えるのは誰も彼も嫌がっていた。

しかも掲示板には魔女の手配書である。

宗教国家であるウルゲントにとって魔女は邪悪な存在として教えられる。

リリベル教団の信者達も魔女は悪しき存在だと教わるのだ。


「他の街や村なら話ぐらいは出来るんだけどねぇ」

「流石にお膝下でその話題は難しいですわよね」

「なのです、どうするのです?」


ここで情報を得るのは難しいと考える。

ウルゲント国内で情報を得られそうな場所も考える。

カーミンスはともかくゾルゾーラなら少しは聞けるかとも考える。

だがリリベル教団の教えが強いのはゾルゾーラとカーミンスだ。

つまり小規模な街や村の方が情報は得られると考える。

それならという事で少し行動範囲を広げてみる。


ギラ達が向かうのは北西にあるムゲメロという小規模な漁村だ。

そこはウルゲントでの貴重な魚の取り扱いをしている村らしい。

そしてウルゲントでもリリベル教団の信者が少ない村だそうだ。


ソルバードでムゲメロにやってきたギラ達。

早速村で魔女について尋ねてみる。

すると以前それっぽい人に会ったという人に出会う。


「魔女かどうかは分からないけど、薬の材料にする魚を譲ってくれって言われたよ」

「魚?それはなんて魚ですか」


その人の話ではサンカクサンマという魚らしい。

それは食用にはならないが油が何かと役に立つという魚らしい。

彼女はそのサンカクサンマを言い値で譲って欲しいと言ったそうだ。

業者などに売ってもお金になるが、言い値ならもっと金になる。

そういう事もあり、相場より高く言い値を言うとそれを買い取ったという。

行き先などは分からないかと尋ねる。


「行き先…ここからだと南しかないね、ストロソーじゃないかな?」

「分かりました、ありがとうございます」


お礼を言い情報を整理する。

薬の材料を集めている、そして薬を困った人に与えている。

そして名乗らずにその場を去り目撃者は多い。


特徴などは掴んでいるのでもっと行方に関係する情報を探す事に。

一旦ストロソーに向かい何か得られないかと考える。

魔女を追うのは情報を頼るしかないのが今は厳しいところである。


ウルゲント国内で数多く目撃される謎の魔女の尻尾はまだ見える気配はない。

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