大都市と人の姿
極東の島国を観光するギラ達は東の主要都市に来ていた。
そこはこの国の首都でありこの国の中心であるらしい。
そんなこの国の全てが集まるこの都市でギラ達は遊ぶ事に。
とはいえ規模は広くどこから行くかは迷っていた。
「それでソウさんのオススメに連れてきてもらったんですが」
「こういうところが好みなんですか?」
「まあね、ここは市場で美味しい魚が食えるよ」
「ほう、それは楽しそうだ」
そういうわけでソウに連れられ市場の中へ進む。
そこには取引される魚が次々に運ばれていた。
「凄いですね、これ全部取引されるんですか」
「そうさ、この国は世界の魚の消費量の七割を誇るからね」
「確かに西でも魚は食べますけど、あまり見ない気がしますね」
この国では魚などの海産物が主に食べられているらしい。
当然漁業の文化が盛んであり、海に出る船の数も多いそうだ。
「それで何か食べてみたいものとかあるかね」
「ならお寿司が食べたいです」
「お寿司?」
「それはいいな、私も本物を食べるのは初めてだ」
そうしてそれで話はまとまり市場直営の寿司屋に入る事に。
そこは新鮮な魚を使った寿司が安く食べられるという市場直営だからこその店だ。
店に入ったギラ達はとりあえず店主にお任せで握ってもらう事に。
リックやペトラは生魚は初の経験である。
「食べ方は教えたよ、あとは実際に食べてみな」
「はい、それじゃあ…っ!?なんかツーンとした…」
「わさびですね、リックさんには刺激が強いですか?」
「あら、情けない、この程度なんという事はありませんわよ」
ペトラは平気そうに食べている。
リックはわさびはその独特の辛さと抜けるような匂いに苦戦していた。
ギラは元々辛党なので、わさびなど物ともせずに平らげていく。
「ギラさん辛くないんですか?」
「この程度で辛いとか、こんなの砂糖を食べるようなものですよ」
「わさびを砂糖っていうギラさんの味覚がどうなってるんですか」
「なのです、おかしいのです」
辛党のギラからしたらわさびなど雑魚敵である。
その後も追加で少し注文し、腹を満たして店を出る。
そうして次の目的地を考える。
そこはソウの提案でまた面白い場所へと案内してくれるという。
土地勘などはないので、それに任せる事に。
そうしてソウに案内された場所は博物館だった。
その博物館はこの国の鉄道や自動車などの交通に関する博物館だ。
リックはこの国の技術に驚くばかりである。
とりあえず入場券を買い中へと入る。
「はぁ~凄いなぁ…」
「この国では鉄道が当たり前に発達している、それは凄い事だよ」
「確かに西だと鉄道はあるにはありますけど、地味ですよね」
極東の島国にそんな高い技術があったという事に驚きを隠せない。
リックやペトラはそんな技術を展示している博物館に釘付けである。
「でもなんでこんなに技術が発展してるんですか?」
「元々昔から職人とかが多い国でね、細かい作業は大得意なのさ」
「それでこんなに高度な技術が生まれたのですか」
「まさに職人芸だね」
そんな技術を目の当たりにして世界の広さを感じる。
博物館を隅々まで見て回り、次の目的地を考える。
「なら隣接する他の場所に行きたいです、個人的には北がいいです」
「北か、なら行ってみるか、ソルバードでならすぐだよ」
「それじゃ隣接する他の地域へ」
そうして北に飛ぶギラ達。
そこは産業の要ながらも地味と言われる地域らしい。
「ここが…」
「こっちもそれなりに都会ではありますね」
「でも少し遠くに行くと田舎だよ、都市部は中心だけさ」
「そうなのです?」
ソウ曰く地方での都会は中心地から少しの範囲だという。
それ以外は田舎の地域も多いらしい。
とりあえず適当に見て回る事に。
「おや、これは」
「納豆だね、興味あるのかな?」
「これ腐ってますよね、食べられるんですか」
流石に納豆は本当に初体験らしい。
知らない人から見たら、それこそ腐った豆である。
だがソウ曰くそんな臭いはともかく、これは健康食品らしい。
実際それによる健康効果も証明されているらしい。
「白いご飯が欲しくなりますね」
「でも臭いが…」
「流石に臭いですわよ」
「ですねぇ、鼻がクルッとしそうです」
とりあえず勇気を出して食べてみる。
食べてみると意外と美味しいらしく、するっと入っていく。
とはいえ臭いには勝てないようだ。
「この国は凄いですね、食べ物も独特なのが多いです」
「ええ、見た事ない食べ物で溢れていますわ」
「気に入ったかい?」
ソウは自分の故郷が気に入ってくれたのが嬉しいのだろう。
そして次は観光名所の庭園に行ってみる事に。
そこは緑に溢れる人工の庭園だった。
その美しさに目を奪われるギラ達。
「それにしてもこの国は何かと凄いですね」
「驚いたかい?アタシの故郷がこんな凄い国って事にさ」
「全くですわ、どうして黙っていましたの?」
ソウ曰くこの国はあまり外国と関わるのを好まないらしい。
その関係なのか西との定期便などはほぼないのだ。
閉鎖的な国でありそんな国だからこそ発展したのだとソウは言う。
そんな国だからこそこの国は発展した、それは技術を外国に流さない事を意味する。
技術を守りそれを伝えていくのがこの国の流儀らしい。
「そういう事情があるんですか、何かと勉強になります」
「なのです、国にも様々なのです」
「ま、文化ってのは守るもんだよ、それでこの国は成長したんだ」
ソウもこの国の事情は理解しているという。
だが彼女自身外の世界に出た人間なので、今さらである。
そうして日が落ちる時間になり近くのホテルを利用する事に。
ソウのコネがあるからなのか、予約なしで泊めてもらえる事に。
「さて、次は北に向かうって事かな」
「ええ、とりあえず最北の地に行く前に少し北を見てそれから」
次の目的地はここから少し北になる場所に決まった。
そこは一年を通して比較的涼しい土地だという。
そこでも名物は多いので、好きなものを言ってくれていいそうだ。
そんなソウに感謝するギラ達。
それは神像探しからの思わぬお礼だった。
だがそれも結果として息抜きになったのだから結果オーライである。
リフレッシュしたら西に戻り再び冒険者として暴れる事になる。
来る前に見た魔女という存在も気になっていたためだ。
それの前にとりあえずはリフレッシュである。
大陸縦断のバカンス旅行はもう少しだけ続くのである。