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粉物の街

極東の島国を観光するギラ達。

次にやってきたのは西の主要都市だ。

そこはお笑いや粉物が溢れる外の人間から見たら一風変わった街。

今回はモロに食べまくるつもりである。


「美味しいですね、たこ焼き」

「タコを食べるなんて変わってますね…」

「リックさんはタコは苦手ですか?」

「ははっ、アタシには当たり前のもんだからね、慣れっこさ」


流石はソウだ。

地元の食べ物など食べ慣れているのだろう。

そして次に何を食べるかと探す。


「なら次はあれ食べますか」

「お好み焼き?なんですのそれ」

「行ってみれば分かるさ、ならそれで決まりだ」

「わくわくしますね」


テュトスも今ではすっかり馴染んでしまった。

この地では海千山千のソウが頼りになるものである。


「うん、いい匂いだ」

「ソースの焼ける匂いですか」

「熱い食べ物ばかりなのです」

「まあいいじゃないか、では食べるとしようか」


そうしてお好み焼きを堪能するギラ達。

さっきから食べまくっているのにお腹は余裕である。


「それにしてもこの街は粉物ばかりですね」

「お好み焼き屋たこ焼きをおかずに白米を食べるとか言うしね」

「あはは、そんな事も言うんですね」

「炭水化物イン炭水化物ですね、カロリーやばそうてす」


そういえば気になった事もある。

今までの店の店主などがソウと知り合いっぽい事だ。

本人が言うには各地を行き来している間に知り合いになったのだという。


ソウの職業はシスターだ。

だがシスターになる前はもっと過酷な職業に就いていたのだろう。

ギラ達はそれを感じ取ってはいるが、あえて訊かないでいる。


「それにしてもソウさんの顔が利くおかげで助かりますよ」

「ははっ、まあ昔から西へ東へと頻繁に移動してたからね」

「あなた、シスターになる前は何をしていましたの?謎が深まりますわね」


ソウの過去、それはその眼帯の下にあるものに関係しているのか。

あえて訊かないでいるものの、やはり気になってしまうものである。


「そういえばソウさんの言っていたパルテ教団って、この国でも見ませんよ」

「以前も言わなかったかい?パルテ教団はマイナーな宗教だよ」

「確か国民のほとんどが神道なんでしたっけ」


ソウの話ではパルテ教団はこの国でもマイナーな宗教らしい。

そもそもの話仏の教えを説くのが基本なのだ。

そういう洋物の宗教はなかなか信者も集まらないらしい。


「宗教って何かとありますのねぇ」

「そういう事、だから気にする必要はないのさ」


そうしてガッツリ食べ終わり店を出る。

次の目的地について考えていると、ソウが提案してくれる。

その行き先は公演ホールだった。

この地の文化であるお笑いというものらしい。


もちろんサーカスのようなものとは別物だ。

今回は漫才を見せてくれるという。

ソウの話によると話で笑わせるものだという。


漫才のクオリティの高さにリックは笑いが止まらないようだ。

エレネも分かりにくいものの楽しんでいる。

この国の文化の独自さを改めて知るのだった。


「はぁ、はぁ…」

「リックさんが抱腹絶倒に」

「相当ウケたっぽいね」

「だが笑いを仕事にする、この国は本当に興味深いな」


恋夜もあらゆるものに興味を示していた。

それがこの国の独特さを物語っているのだろう。


そうして次の目的地について考える。

時間はあるので別の主要都市に行く事にした。

次の目的地は西の主要都市の東寄りの場所だ。

そこもこことは違う独特な土地だというので楽しみにする。

そのままソルバードで東へ飛ぶ。


そして別の西の主要都市に到着する。


「ここはさっきの場所とはまた違いますね」

「独自の文化ってあるからね」

「それより見て回りましょうっ」

「ですわね、案内頼みますわよ」


ソウはその地を案内してくれる。

現地人の頼もしさは流石である。


「ふむ、美味しいです」

「また食べるんですね」

「ははっ、よく食べて結構な事だ」


ソウも不思議と嬉しそうである。

自分の故郷を仲間達に見せるのも悪くないと思ったのだろう。

それとオルバインの商工会との約束もある。

この国との商売がしたいというので、西と商売をしてくれそうな店と交渉する。

これまでもそれで数店の交渉を成立させているのだ。

多くの店とは無理だが、それを受けてくれる店も意外と多い。

収穫は意外とあったようだった。


そうして様々なものを食べているギラ達。

ソウに連れられ観光名所などにも連れていってもらう。

その荘厳な景色にはギラやペトラも言葉がないようだった。


次は東の主要都市だそうだが、今回はこの地で宿を取る事に。

ホテルを探し、そのホテルに入るギラ達。

予約はしていないものの部屋は空いているそうで、なんとか泊まる事には成功する。

今日は一旦休み、明日は東の主要都市に向かうという。


「東ですか、何があるんでしょうね」

「楽しみです、この国は興味深いので」

「同意だな、実に面白いものが多い」


リックと恋夜はすっかり興味を多方面に向けている。

極東の島国はそれだけ珍しい国なのだろう。

そんな好奇心が実に本の虫だという事も思い知る。


「さて、それじゃ一旦は自由ですね」

「だね、各自好き勝手していいけど、人に迷惑はかけないように」


そうして今日はもう休息だ。

散々食べ歩いたため満足した様子。


「それにしてもソウさんの眼帯の下が気になりますね」

「ははっ、そいつはそのうち分かるかもね」

「眼帯をしてるからには見えてないんでしょうか」


テュトスの疑問も尤もだ。

眼帯をしているという事は、その目は潰れているのかもしれない。

ソウから感じる歴戦の戦士感はそんな疑問を抱かせる。


「まあアタシも何かとあるんだよ、楽な人生は送ってないしさ」

「なるほど、やっぱり苦労人なんですかね」

「ソウさんは苦労人ですか?」


翠もソウの事は気になっているようだ。

服の下は傷だらけで、眼帯をしている。

それは過酷な人生である事を物語らせる。


「その若さでそれだけ達観した感じなのも経験のせいなんでしょうか」

「リックもそのうち分かるさ、世の中にはそういう人もいるってね」

「まあ様々な場所に顔が利いてコネもある、その時点で只者じゃないですよね」


尤もらしい指摘だ。

とはいえそれには深くは触れない事にする。

ソウの謎は深まるものの、頼りになる仲間なのは確かだからだ。


明日は東の主要都市に行く。

それを楽しみに今日は床に就く。


ソウの顔の広さはこういうときに発揮されるのだから。

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