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雨の中の宝探し

バカンスに来たはいいものの、台風の直撃を喰らったギラ達。

この天気では泳ぐとか無理だし、外にも出れないので待機である。

とはいえ宝探しは室内でも出来る。

それを踏まえた上で、今日は室内探索である。


「ふぅ、まさか台風の直撃を喰らうとはねぇ」

「外の天気大荒れじゃないですか」

「以前言っていた自然の猛威ってこういう事ですか」

「この天気では外に出たら怪我しますわね」


ソウも流石にこの暴風雨では外に出る事の危険性は知っている。

母国である以上その自然の猛威など慣れたものだ。


「ソウさんの地元って普段からこんな荒れるんですか?」

「いや、基本的には台風は夏のもんだよ、冬は雪が酷い」

「雪ですか?」


ソウ曰く夏場はこの台風が、冬は特に北国に雪の猛威が襲うという。

それに対する知恵なども自然と磨かれた国民性らしい。


「はぁ~、自然対策って簡単じゃなさそうですわね」

「まあね、ついでに地震も頻繁に起こる地震大国だしさ」

「地震まで起こるんですか!?」

「この国は怖いのですよ」


確かに西の人間からしたらこの自然の猛威はなかなか体験出来るものではない。

西でも地震やハリケーン自体は起こるが、それでもマシなものである。


「そういやギラはどこに行ったんだ?」

「ギラならテュトスのとこに行ってるよ」

「なんか室内でのお宝探しですって」


ギラは暇潰しも兼ねてお宝探しをしていた。

ああ見えて負けず嫌いなので今回も負けたくないのだろう。


そんなギラはホテルの中を散策していた。


「んー、人もいますし迂闊な行動は出来ませんよね」

「そうですね、お宝探しとは言うもののホテルの中ですし」


ギラとテュトスは目立たないようにホテルの中を探していた。

相手のレズカップルには負けられないと燃えているのである。


「それにしても未知の技術で作られた箱、そんなもの本当にあるんですかね」

「あるとしたらロマンですよね」


ギラも胡散臭いとは思っている。

だが勝負になってしまったからには勝つつもりでいる。

普段は怠惰の塊みたいな性格のくせに、負けず嫌いというのも難儀なものだ。


「おや、見つかったかしら」

「そっちも探していたのよね」

「ああ、見つかってませんよ、この天気だと室内しか探せませんしね」

「ええ、それに他の宿泊客もいるので目立ってしまいますから」


美月と皐月も収穫はないようだ。

やはりそんな簡単な話ではないのだろう。

ギラ自身この手の話の胡散臭さは慣れたものである。


「そうね、流石に他の客に迷惑をかけてまでやりたくはないし」

「意外と弁えてるんですね」

「私達の信条は人様に迷惑をかけないって事なのよ」

「それは偉いですね」


とはいえやはり少々強引にならないと今日の状況では厳しいか。

それは美月と皐月も分かっているようだ。


「なんにしてもあたし達はもう少しリサーチしてみるわ」

「勝負って言うけど、本当は一緒に見つけたいのよ、お姉様もそういう人だもの」

「はぁ、なら勝負というのは建前ですか」

「それはそれでいいのかもと思いますが」


二人も本来は誰よりも先に見つける事を信条にしているらしい。

今回の勝負というのは二人がギラに興味を持ったからの話である。

本来ならさっさと出し抜いてお宝を手に入れているらしい。


姉妹のトレジャーハンター、それは確かな繋がりが生む連携でもある。

とはいえ人前で濃厚なキスをしたりする辺り、ガチレズなのだろう。

シスコンも極まったものである。


「とりあえず私達は探し尽くしちゃいましたし、一旦引き上げますよ」

「分かった、こっちとしてもリサーチはしておくわね」

「それじゃバーイ」


そう言って二人は行ってしまった。


「さて、私達はどうしましょう」

「部屋に戻って怠惰を貪るしかないのでは」


まあ特にする事もないので、それしかないのだろう。


「私は温泉でも行ってきます、テュトスさんもどうです?」

「ならお伴しますね」


そんなわけでギラとテュトスは温泉に行く。


一方の他のメンツは暇そうにしていた。


「むぅ、これは面白いな」

「ふふっ、恋夜さん相手だと腕が磨けますね」


リックと恋夜は売店で購入した簡易将棋を指していた。

この国特有のボードゲームで頭を使うものらしく、二人はハマってしまっている。


「初めてやるものである以上、ルールを叩き込んでからか」

「それで早くしてもらえますか」

「あの二人は雨でも楽しそうですね」

「将棋は奥が深いからね、頭脳派のあの二人には最適な暇潰しだろう」


そんなメーヌ達はトランプをしていた。


「上がりですね」

「私も上がりですわ」

「二人とも強いのです」

「むむむのむぅ」


そもそもメイドロボのメーヌは一度見たら記憶してしまうので、反則である。

翠も記憶力はいいためこの手のゲームは強い。

とはいえペトラやソウも駆け引きには強いので、心理戦になっている。

まあ機械の頭脳に勝つというのは簡単な話ではない。


「でも外はすっごい暴風雨ですねぇ」

「台風は数日で温帯低気圧になっちまうよ、そうしたら今度は猛暑だ」

「極端ですっ」

「この国の凄さが分かったなのです」


台風は西の地域ほど直撃を受けやすいとソウは言う。

ここは最西端の土地なので、台風が直撃するのは夏の日常らしい。


「でもここだけじゃなく、本土でしたっけ?そっちも行ってみたいですね」

「そうだねぇ、ギラがお宝探ししてるし、それが片付いてからなら行けるか」

「そんな余裕があるのです?」


ソウ曰くバカンスというか観光は好きなだけ出来るらしい。

西に戻るのはこっちが戻りたいと思ったときでいいそうだ。

つまり本土の観光もしている時間はあるという。


「なら余裕があったら、案内頼みますね」

「分かった、ギラがそれを片付けてからな」

「合点なのですっ」


そうして暇を潰すメーヌ達。

そこにギラが戻ってくる。


「はぁ、さっぱりしました」

「あ、ギラ様、温泉でしたか」


ギラからはいい匂いがした。

このホテルの温泉に置かれているボディソープの匂いだろう。


「あんたの宝探しが終わったら本土にも行こうって言ってたんだが、どうだい?」

「別に構いませんよ、この極東の島国はもっと見たいですし」

「決まりですね、では宝探しが終わったらです」


そうして台風が過ぎるのを待つ。

その間は怠惰を貪る事となるのだが。


一方のテュトスは部屋でまったりしていた。


「未知の技術で作られた箱、恐らくこれですよね、流石にこれは渡せませんか」


何かを知っているようなテュトス。

それは彼女の正体にも関係するものなのだが、今は秘密だ。


この暴風雨は二日後には消えていた。


そうしてお宝探しは再開されるのである。

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