海辺の出会い
神像を返還しソウの厚意でバカンスにやってきたギラ達。
極東の島国は海の天気も安定しており、今回はすんなりいけた。
そのままソウに言われる場所へとソルバードを飛ばす。
停められる場所を確保しそこにソルバードを停めロックをかける。
「海ですねぇ」
「海ですっ」
「凄い綺麗な海…」
「どうだい、この透き通る海は」
ソウの故郷の中にある南国の島。
そこは透き通る海と気持ちいい風が吹き抜ける楽園だった。
「とりあえずホテルにチェックインかな、それからだよ」
「だね、ホテルに案内するよ」
「行くのです」
「楽しみですわね」
そのままソウの案内でホテルへ向かう。
そこでチェックインを済ませる。
帰りたいときは申し出てくれればいいという。
それまでは何日でも泊まれるように手配してあるそうな。
「さて、荷物なんかは一ヶ所にまとめておくか」
「ですね、食事はホテルで用意してくれますし少しは楽が出来そうです」
「それより水着を選びに行きませんか」
「私はパスしますよ、行きたい人だけで海には行ってください」
ギラは海に行く気はないようだ。
だがそうはイカンザキ。
メーヌ達がギラも強引に連れていってしまう。
そのまま地元の店に向かい水着をチョイスする事に。
水着のチョイスは誰のセンスなのか、ギラへのチョイスは悪意に満ちていた。
「…なんで私スク水着せられてるんです?」
「似合ってますよ」
「こうしてみるとギラの小ささが分かるな、スク水が似合うのも納得だ」
一方のメーヌは白のスク水なのでお前が言うなである。
リックはボクサーパンツの海パン、翠はフリルのワンピースだ。
恋夜はパレオだし、ソウはなぜか競泳水着。
エレネは体を変化させてスウェットスーツ、ペトラはセクシービキニである。
「はぁ、私が泳げないって知ってて連れてきましたよね?」
「泳げなくても海では楽しめますよ」
「というかギラさん泳げないんですか」
「そっちが寧ろ意外なのですが」
ギラは元々引きこもっていたので、泳ぐとかぶっちゃけ無理である。
最低限の運動は出来るが、泳ぐとか無理である。
大切な事なので二回言った。
「私は砂で帝国でも作ってます、そっちは勝手にどうぞ」
「帝国って…」
「まあいいさ、なら我々は我々で楽しもう」
「なのです、泳ぐぜヒャッハーなのです」
ギラ以外のメンバーは海にヒャッハーしていった。
「リック、少しはおっきしたかい」
「ソウさんっ!」
「この美女に囲まれて生理現象を起こさないというのも不服なのだがね」
このメンツはもう羞恥心とかないのだろう。
というよりリックに耐性が出来てしまったため、そのネタでからかっているのだ。
別にリックの股間がおっきするとかそんな話は関係ない。
「やれやれ、まあいいさ、なら少し潜るか、リックもどうさ?」
「いいですね、お伴します」
「なら私も潜るとしよう、この国の海域の生物にも興味がある」
そう言ってリックと恋夜とソウは潜りにいってしまった。
メーヌ達はヒャッハーしているようだ。
「お二人ともたわわですっ」
「何の話ですの?」
「多分大いなる実りの話かと」
「エレネは姿を変えられるから気にならない」
とはいえ確かに、特にペトラはスタイルがいい。
これも貴族の人間としていいもの食ってるからなのだろうか。
「はぁ、別に胸の大きさなんて個人差でいいではありませんの、大きければいいとは…」
「同意、胸は控えめこそが正義」
「いえ、そこは美乳ですよ、それだけは譲れませんね」
「何を言いますかっ!そこはちっぱいですよっ!」
なぜか胸の大きさで揉め始めた。
とはいえそれも微笑ましいものである。
一方のギラは本当に砂で帝国を作っていた。
「そもそもなんで人の体が水に浮くんですか、非論理的にも程がありますよ」
完全にいじけていた。
魔王様が完全にいじけていた。
「他の人も少ないながら来ていますね、おや?」
ギラはイチャコラしている二人の女性を見つける。
俗に言うレズカップルだろうか。
少し面白そうなので声をかけてみる。
「あの、少しいいですか」
「ん?お嬢ちゃん迷子かな?」
「迷子ならお母さんを探さないとねぇ、お名前は?」
完全に迷子扱いである。
だがギラはあえて本題を切り出してみる。
「お二人は何かを探していますよね、何を探しているんですか」
「あら、鋭いのねぇ」
「この子意外と出来るわね、侮ったかしら」
どうやらその二人のレズカップルは何かを探しているらしい。
それをツッコんでみる。
「実はこの地に珍しいお宝があるって話でね、妹と一緒に探しにきたの」
「そうよぉ、お姉様と愛を育みながらのお宝探し」
「お宝ですか、なら私にも探させていただけますか」
ギラはどうせ泳げないしという事で一緒に探させて欲しいと申し出る。
二人もそれはそれで面白そうだと、それを認めてくれる。
「それでお二人の名前を訊きたいんですが」
「あたしは美月、こっちは妹の皐月だ」
「よろしくねぇ」
それで探しているものについて尋ねる。
「そいつは未知の技術で作られた箱らしい」
「その箱が今回探してるお宝なのよぉ」
「未知の技術で作られた箱?」
どうやら狙っているのはその箱のようだ。
それなら楽しむために勝負を申し出る。
「ほう、あたし達と勝負か、受けて立つよ」
「ただし私が勝ったらそのお宝の所有権をいただきますよ」
「それは構わないわ、でも私達も負けないわよ、ね?お姉様」
それで許可をもらう。
この島のどこかにその箱があるという。
その箱を見つけた方の勝ちで話はまとまった。
「では早速探してみますか、お先に」
「せっかちだね、私達も行こうか」
「ええ、お姉様」
他のメンツがヒャッハーしている中、ギラはお宝探しである。
今日は近くを探してみるが、当然見つかるはずもなく。
そうしていうちに時間は過ぎ、一旦今日はここまでである。
そのまま二人と別れ、明日も勝負である。
ギラはそのまま他のメンツと合流しホテルに戻る。
「さて、食事は一時間後だ、温泉とかもあるし好きにしていいよ」
「温泉!」
「早速行きましょうっ!」
「食事が終わってからの方がいいと思うがね」
そんな話に花を咲かせている中ギラは飲み物を買いに部屋を出る。
「こんばんわ」
「あ、こんばんわ」
廊下で綺麗な女性とすれ違う。
だがギラは少ししてから違和感に気づく。
さっきすれ違った女性はどこか違和感を感じた。
近いうちに再び会えると思い、そのまま飲み物を買いにいく。
ギラとレズカップルのお宝争奪戦が始まるのである。