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残りの仕事

ブルクハルトには逃げられたものの、神像は回収したギラ達。

残りの仕事としてフェリード族に頼まれたクラエスの事を片付ける。

バドカでの情報を頼りオルバインの病院を訪れていた。

怪我をして運び込まれたという有翼人がクラエスなのか、確認を急ぐ。


「すみません、ここに怪我をして運び込まれた有翼人がいますよね」

「少しお待ちを」


受付の方で確認を取る。


「お待たせしました、その方とのご関係などは」

「えっと、多分頼まれて探している人でクラエス…という名前です」


受付の方もその名前で確認を取る。


「クラエス様、かしこまりました、208号室になります」

「分かりました、感謝します」


その言われた部屋に向かうギラ達。

そこには驚きの光景があった。


「失礼します」

「はい、どうぞ」


言われた部屋へと入る。

そこには主治医と思われる医者も同席していた。


「君達は?」

「クラエスさんですね、親に頼まれてあなたを探していたんですよ」

「私を?お母さんが?」

「えっと、それより何があったんですか?クラエスさんの翼が…」


クラエスの翼は機械の翼だった。

主治医の方に説明を求めるギラ達。


「今から二ヶ月前かな、彼女の翼はそれこそ使いものにならないぐらいボロボロでね」

「それで手術で機械化ですか?」


主治医曰く彼女の翼は切除が必要なぐらい傷ついていたという。

そこでオルバインの技術者に相談した結果だそうだ。

元の翼は完全に除去し代わりに個人用の機械の翼を繋いだという。

分かりやすく言えばペトラの義肢と同じ技術である。


「ああ、実際今では完全に使いこなしていてね、元の翼よりも速く飛べている」

「それはそうと退院は出来るんですか?」


彼女の退院について尋ねる。

主治医曰くリハビリも終えているし、傷も癒えているので問題はないという。

ギラ達はその確認を取り彼女を親の下に送り届ける事にする。


「分かりました、一応お母さんには謝っておきます」

「なら私が手続きをしてこよう、一時間程度で終わるから荷物を整理しておいてくれ」


そう言って主治医はクラエスの退院手続きをしにいく。

ギラ達はその精巧な機械の翼を見てオルバインの凄さを改めて感じていた。


それから退院手続きは無事に終わりクラエスは退院。

ギラ達と共に里へと帰る事となった。

主治医は翼のメンテナンスなどが必要ならいつでも来て構わないという。

主治医に頭を下げソルバードでフェリード族の里がある山へと向かう。


そうして里に到着し、彼女を親の下へと連れていく。


「ただいま…」

「クラエス…あなたその翼…」

「責めないであげてください、生きているというのが一番の吉報ですよ」


母親はその翼に衝撃を隠せなかった。

だがそれでも娘が生きていた、それだけでも嬉しいのか涙を隠そうとはしなかった。


「ごめんなさい…大切な翼をなくしちゃって」

「そんなのいいんですよ、こうして生きていた、それだけで嬉しいもの」

「さて、我々の仕事はここまでですかね」


だがクラエスは外の世界の素晴らしさを語る。

これからも外の世界をもっと旅したい。

そう母親に告げる。


「クラエス…あなたは外の世界で素敵なものに出会ったのね」

「ええ、だからたまには帰ってくる、それならいいよね」


母親もそれを了承する。

ギラ達は親子での信頼関係というものを改めて感じたのだった。


「ありがとう、それじゃ私はまた新しい世界に旅立つね」

「ええ、いつでも帰ってきていいのよ、あなたの家はここなのだから」

「こういうのもいいものですわね」

「なのです、信頼関係なのです」


そうして家を出る。

そのまま山を下山しクラエスとも別れる事に。


「それじゃ私は行きますね、どこかで会えたらまた会いましょう」

「ええ、それではクラエスさんもお元気で」

「お元気でっ」


そう言うとクラエスはその機械の翼を広げ、大空へと飛び立っていった。

その姿はまさに美しい隼のようだった。

ギラ達はそれを見届け、やっと今回の目的が達成されたのを実感する。


「さて、それじゃ約束通りバカンスをプレゼントだ」

「そのバカンスってなんなんですか?」


ソウはコネを使いとあるリゾート地を好きなだけ使えるようにしたという。

ただし貸し切りではないそうで、他の客も一緒ではあるらしい。

そのリゾート地はソウの故郷のある極東の島国。

そこにある南国の地らしい。


「それは楽しみですね、水着とか選ばないと」

「私は泳ぐとかだりぃので観光でもしたいところです」

「ははっ、なら現地で選べばいいさ、品揃えは豊富だよ」


ソウもそれにノリ気だ。

冒険者としての職務は一旦お休みである。

リゾート地を満喫したら、改めてこの大陸で冒険者としての仕事をする事にする。

ソウの話では入国手続きがあるので、一日待って欲しいという。


それならその極東の島国に一番近いドラジールに行く事に。

そこでソウの手続きが終わるのを待つ事にした。

その足でそのままドラジールへと向かうギラ達。

ドラジールに着いたら一旦自由行動という事にする。


「さて…ん?魔女を見かけた者は連絡を…」

「魔女ってなんですかね」

「恐らく賞金首だろう、とはいえ今は放置しても問題なさそうな案件だね」


その張り紙には賞金首と思われる、魔女について書かれていた。

つい最近この地に出現した謎の魔法使い。

魔女は奇妙な薬などを使い人々を惑わせるらしい。


「とはいえ気になりますね、バカンスが終わったらあえて首を突っ込みたいです」

「ギラ様はただでさえ変人ホイホイなのに自分から行くんですね」

「困ったものだね、とはいえそれもギラらしさか」


とりあえずこの魔女については頭に留めておく事に。

今はバカンスが先なので、放置すべき案件でいい。

ギラは本当に変人ホイホイのようだ。


「ソウさんの入国手続きは一日で終わるって言ってましたね」

「ええ、なので明日にはその極東の島国に行けるかと」

「極東の島国はこの大陸では知られていない国だ、実に興味深い」


恋夜は非常に興味津々のようだ。

とりあえず明日を楽しみにしつつ今日はドラジールで一日を過ごす。

明日からはバカンスヒャッハーある。


魔女の案件はこの大陸に帰ってから首を突っ込む事に。

そういう事には自分から突っ込んでいくのがギラらしさである。

そして自由な休息の日々が始まる。


未知の土地へ足を踏み入れ、その楽園を楽しむ事となる。

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