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男気と商魂

神像を追うギラ達は思わぬ事に巻き込まれる。

そんなこんなでドンと共に取引現場へと向かう。

ブルクハルトの居場所を今度こそ特定するためにもだ。

神像は恐らく彼の手にある、そう考えているからだ。


「それにしても取引に偽札、そういう手段を取れるのは凄いものです」

「ですね、やっぱり商売の国なんだなって思います」

「相手は騙されますかねっ」

「私でも見分けは困難な偽札だった、相手も馬鹿じゃないとは思うがね」


その偽札は本当に精巧に出来ていた。

言われなければ分からないぐらいの代物だ。


「ま、それがオルバインってもんだ、商業国家なめんなって事さ」

「そんな国で商売のドンをしている人は違うのです」

「立派なものですよね」


そうこうしているうちに取引現場に到着する。

そこは廃ビルの倉庫だった。


「来たな、金は持ってきたんだろうな」

「ここにあるぜ、ただしブルクハルトの居場所を吐いてもらうがな」

「あなた達は雇われでしょう、お金で彼に加担しているだけの」


そこにブルクハルト本人はいないようだ。

念の為メーヌが周囲にサーチをかける。


「ギラ様、周囲の物陰に人の反応ありです、いつでもやれるように」

「承知しました、他もいいですね」

「了解、構えられるようにしておく」


ドンも交渉は手馴れている。

相手の要求を聞きつつこっちの要求もきちんと伝えていく。


「金が先だ、さっさとよこせ」

「いいだろう、ならくれてやる、確認しな」


そう言ってドンは偽札の入ったアタッシュケースを渡す。


「ふむ、確かに確認した、それじゃ消えてもらうぜ」

「貴様…!」

「知ってたさ、知ってて逃がすと思うなよ?」


物陰から覆面姿の連中が何人か姿を見せる。

それを見てギラは久しぶりにドス黒い炎が燃えた。


「こいつらは大地の骨の残党だ、殺すためなら手段を選ばない」

「骨は何度でも蘇る、そのための礎になってもらうぞ!!」

「ふふ、ははははっ、まさか残党が新たな骨を結成?笑わせますねぇ」


ギラはそれを嘲笑う。

骨はそれに気づいたようだ。


「貴様…デリーラ様を殺した…貴様だけは…貴様だけはこの手で殺したいと…!!」

「ああ、勘違いしてますね、彼女は死んでません、永遠の悪夢に囚えただけです」

「なんにしても逃がしやしねぇさ、派手にやってやろうぜ」


骨はギラに対して憎悪を爆発させる。

そしてギラ達を抹殺すべく襲いかかってきた。


「やれやれ、一人残らず駆除しないと私を不快にさせてくれますか」

「こいつらと因縁があるみてぇだな、あえて訊きはしねぇ、それが商人さ」


そうしてギラ達は残党を駆除していく。

だが取引相手の男には逃げられてしまった。

ドンはそれでいいのだと言う。


「駆除完了ですね」

「無事に逃げたみてぇだな」

「まるで逃げられる事を前提にしたような物言いだね」


ドン曰く偽札に発信機を仕込んであるという。

つまりは逃がす事でそれのアジトを特定するのだ。

要するに最初から逃がすつもりで取引に応じたのだという。


「とりあえずは目的は達成だな」

「さて、訊きたいのですが、大地の骨の残党、新たな骨の拠点を言いなさい」

「へへ…言うかよ…てめぇを殺すまで…骨は何度でも蘇る…忘れんな…」


そう言って骨の男は気絶した。


「とりあえずこいつらは警察に引き渡す、アジトの場所はあとで連絡してやる」

「ああ、感謝する、とはいえ奴も馬鹿ではないだろうな」

「アジトを転々と移動している可能性もありますね」

「そのために発信機を仕込んだんですよね?」


流石に相手も馬鹿ではないだろう。

特定の場所に固定の拠点を持つとは思えない。

偽札に仕込んだ発信機、そしてそれを使った店に足跡がつく。

それは確実にブルクハルトを追い詰めている事を意味していた。


「それであんた達はどうする?」

「ああ、そうだ、取りにいかないといけないものがあるのでそこに行きますよ」

「そういえばありましたね、では連絡はいつでも構いません」


ドンもそれを了承する。

商売人たる者相手を立てるのも技術だという。

一旦ブルクハルトの調査を任せ、ギラ達は以前依頼した武器を取りにいく。

その場でドンと別れ、ソルバードへ戻りエマーソンの鍛冶屋へと飛ぶ。


「こんな山に何がありますの?」

「そういえばあのときはペトラはいなかったか」

「鍛冶屋に武器の製作を依頼しててね、それを受け取りにいくのさ」


適当に駄弁りつつ山を登りエマーソンの工房に着く。

家の扉をノックすると中から声がした。


「お、やっと取りにきたか、忘れてんじゃないかと思ってたぜ」

「忘れてはいません、でも時間は少々なかったですけど」


とりあえずエマーソンは中へ入れてくれる。


「ほら、こいつが頼まれてたもんだ、リックの杖とそこの二人の暗器な」

「凄い…こんな立派な杖…」

「ふむ、実に素晴らしい」

「こいつは立派なもんだね、引退したとはいえ腕は健在か」


エマーソンは笑ってみせる。

甘く見るなよ、と。


「そういやエレネは仲良くやってるか」

「はいなのです、楽しいですよ」

「様々な事を勉強してますからね、なんで本の虫ばかり仲間になるのか」


エマーソンもそれを聞いて笑う。

とはいえそんなエレネを見て満足そうにしていた。


「さて、そんじゃ仕事はしたぜ、珍しい金属手に入れたらまた作ってやるよ」

「それは嬉しいですね、では珍しい金属の加工はお任せします」

「素晴らしいものを感謝しますね」


レインボーメタルで作った武器。

それは強さと美しさを兼ね備える芸術品である。


そうしてエマーソンの工房をあとにする。

次の目的地は商工会からの連絡待ちだ。

一旦ミリストスに移動し、今後の相談もする。


ミリストスに移動したギラ達は宿を取り連絡を待つ。


「ん、んー…少しは落ち着けるか」

「それにしても神像は今はブルクハルトの手元なんですかね」

「だと思います、僕はあいつだけは絶対に許さない」


下着姿の乙女達が話している中、リックはもはや完全に無反応である。


「神像も転々としてると思ったら持ち去られるとか、神様ブチ切れですかね」

「あはは、仮にも神像ですからね」

「とはいえ神様も寛容であって欲しいね」


そうして神像の行方を考えているうちに日が落ちる。

そんなすぐには連絡もこない。

とりあえずは連絡を待ちつつ今日は休んでおく事に。


ブルクハルトは確実に追い詰められている。

本人がそれに気づくかどうかが今後の動きに繋がるのだ。


オルバインの技術を巧みに使った追跡が彼を追い詰めていく。

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