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謎の妨害

パーティーから一夜明け神像探しを再開するギラ達。

ラズナーに言われた通りドラジールのジョナサンの家へ向かう。

その家はそれなりの良家なのだそうだ。

だが神像に追いつくのはまだ困難だろう、そう思わせる。


「さて、ドラジールのジョナサンでしたね」

「今度こそは、と言いたいもんさ」

「なんにしても行ってみないと」

「ですねっ、行きますよ」


そうして家を探して回り、そのジョナサンの家を発見する。

ギラ達は家の呼び鈴を鳴らしてみた。


「はい、どちら様でしょう」

「すまん、以前にミッドハークのラズナーからこいつを譲ってもらわなかったか?」


写真を見せる。

するとジョナサンは少し怒った物言いで返す。


「そいつか、悪いけどあんた達にはやれないよ、帰りな」

「は?つまりここにあるのか?それだけでも教えてくれ」


だがジョナサンは教えくれる事もなく家の中へ戻ってしまった。

明らかな違和感を感じるギラ達。

すると聞いた声がする。


「あれ?あなた達、まだ追っかけてたの?」


それは以前世話になったアメリアだ。

彼女も実は困っているという。


「実はさ、突然骨董品の取引が異様な価格になったのよ、なんでかしら」

「は?どういう事さ」


なんでも突然骨董品全般の市場価格が急騰したという。

それにより骨董品を使った商売はアメリア以外も上がったりらしい。


「それはつまり何者かが市場価格を引き上げた?だがそんな真似をしたら…」

「検索、骨董品の市場価格、確かに二十倍近くに跳ね上がってますね」

「二十倍?明らかな横暴でしかないんじゃ…」

「それでさ、骨董品関係の商人はみんな頭抱えてるのよ、どうしたもんかしら」


さっきのジョナサンの対応。

そして突然爆発的に跳ね上がった骨董品の市場価格。

それは裏に何者かがいないとあり得ない話だろう。

さらにギラ達の目的を知っている、そんな誰かがやった事だろう。


「さっきのジョナサンも妙に冷たかったですし」

「あんた達神像を探してるんだっけ?それなら商工会に訊いてみる?」

「商工会?それは商人達の本丸という事ですの?」


どうやら商人達の加盟している組織、それが商工会らしい。

それの本部があるのはオルバインのヴェステッド。

そこの商工会ビルが本部だという。


「でも簡単に会えるものなんですかね」

「紹介状書いてあげる、私からの紹介状ならパス出来るはずだよ」

「ふむ、このまま手をこまねいているよりはいい、では頼むとしよう」


そうしてアメリアに紹介状をその場で書いてもらう。

これを見せれば通してもらえるだろうとの事だ。


「流石に商工会も今回の状況は知ってるだろうしね、物は試しよ」

「すまない、では早速行ってみる事にするよ」

「あんたも辛抱強くやっていきな、必ず価格は元に戻るさ」


アメリアは笑顔で返事をしてその場を去っていった。

今回の明らかにおかしな事態、それを商工会にも確認せねばならない。


ギラ達はソルバードに乗り込み、オルバインのヴェステッドに飛ぶ。


ヴェステッドに着いたギラ達は商工会のビルを探す。

街を歩いていると商工会の名前が入ったビルを見つける。

中に入り受け付けにアメリアからの紹介状を見せる。


するとすんなりと通してくれた。

そのまま上に移動し、商工会のドンと面会する事が出来た。


「なるほど、それで訪ねてきたという事か」

「ああ、アタシ達としても神像は取り戻さなくちゃならんしね」


するとドンは奇妙な話をし始める。


「それなんだが、骨董品の市場価格が跳ね上がったのは今朝からなんだよ」

「は?今朝から?」


つまりそれは何者かがギラ達の事情を知っていた。

そうでなければこんな迅速にそんな真似が出来るはずもない。

意図的なギラ達への妨害工作とも受け取れる。


「その神像も骨董品の類だろう?つまり知っている者が市場に介入したと私は見る」

「それしかないだろうね、だとしたら…ブルクハルトか?」


その名前にドンは眉をピクリとさせる。

そしてギラ達にその名前を知っているのかと訊く。


「ええ、昨日ミッドハークのラズナーさんのパーティーで会いましたの」

「あいつめ…まさか市場に介入までし始めたか…」

「そっちも知ってるっぽいですね、ブルクハルトって何者なんですか」


ドンはブルクハルトのやった事も話してくれた。

それは彼が意図的な価格操作で巨万の富を得たという事。

さらに貴族の家などで相手を巧みに騙し、破産するまで買い物をさせていた事。

それにより商工会を永久追放された事もだ。

だが彼は商工会を追放されても商売を続けている。

その強固な土台は商工会の力を借りずとも商売を出来るだけになっていたという。


「そんな事が…」

「そうだ、奴は巧みな交渉術で法外な金額でも買わせる腕がある」

「僕の家もあいつに…絶対に許さない…」


リックは小声でそう囁いた。

だがそれに対抗する術はあるのかと、ギラは問いかける。


「ふむ、だがその前に君達は神像だろう?ならその追跡情報は逐一提供するよ」

「いいのか?仮にも商人の組織である商工会が無料で動くなんて…」


そこは商工会、もちろん無料でとはいかない。


「その代わりにだ、キミの言う極東の国と商売をさせてくれ、それが条件だ」

「そう来るか、まあいいさ、出来るかは保証出来ないが交渉だけはしてみるよ」


ソウもその条件を飲む事に。

確定的な保証は出来ないが、交渉だけはすると約束した。

そして神像の追跡情報をギラ達の携帯端末に逐一送るアプリを入れてくれた。

それは商工会の流通管理用の追跡アプリで、商工会が開発したものだという。

あらゆるものの輸送状況を追跡可能なオルバインらしいアプリでもある。


「そのアプリに君達の言う神像の情報を登録しておいた、あとはそれを追跡すればいい」

「すまないね、こっちも解決したら尽力はさせてもらうよ」

「これがあれば確実にチェイサー出来ますね」


骨董品の市場価格は今は半分に抑えるのが限界だともドンは言う。

それと同時にブルクハルトの横暴も止めねばならないと言う。

ギラ達は自分達もブルクハルトの事に協力を申し出る。

それは冒険者として買い物が出来なくなっても困るからである。


「分かった、ならブルクハルトの情報も君達に送るとしよう」

「商工会の全力を以てそのブルクハルトをぶっ潰して差し上げなさい」


ペトラも少し腹が立っているのだろう。

リックもその温厚な表面的な態度とは裏腹に、心の中で憎しみが燃えていた。

ブルクハルト、それはリックの過去に関係しているのは確かだと確信させる。


神像の追跡と悪徳商人ブルクハルト、それは思わぬ脇道へと導く事となる。

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