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夜の女神は暁に眠る

深夜の戦いから夜が明けた。

ギラ達はヤマブキから話を聞いてニュクス教団の本部へと向かっていた。

その場所はまさに灯台下暗し。

砂漠のアルセイムの遺跡群の砂の下に隠された転送の魔法陣から行くという。


「ここです、砂を払ってみてください」

「ええ、分かりました」


そうして遺跡の中である場所の砂を払う。

その下には転送の魔法陣があり、どこかへ転送出来るようだ。

砂で隠す事で使えなくすると同時にそれを隠しているのだろう。

ギラ達はその魔法陣からその先へ移動する。


転送された先にあったのは薄暗い遺跡。

こここそがニュクス教団の本部だという。


「貴様ら…なぜここが!」

「早速ですか、蹴散らしますよ」

「はーい、喜んで!」

「メーヌさんのノリが…」


早速襲ってきた信者を蹴散らし遺跡の奥へと進んでいく。

何度も信者に襲われるが、ぶっちゃけ雑魚なのでガンガン倒す。

この信者も元は一般市民なのだろうが、そんなの知らンがな。

自業自得だと言わんばかりにガンガン逝こうぜ!である。


「はぁ、何人出てくるんですかね」

「本部なのです、数はたくさんなのですよ」

「まあ今さらだけどね、手は抜いているつもりだよ」

「とはいえ自業自得、生かしてやる義理もないんだが」


散々言いつつ信者を蹴散らしながら奥へと進んでいく。

もうどっちが悪人なのか分からないけど、気にしたら負けだ。

ある意味魔王様の総回診的な感じになっていた。


「というかキリがないですね、この教団って信者がこんなにいたんですか」

「いや、恐らくこいつは人間じゃない、人工的に作られた人形、とでも言うか」

「は?それじゃ勧誘した信者はどこに消えたんだい」

「つまり勧誘された信者は別の目的のために?」


襲ってくる信者は恋夜曰く、意思を持たない泥人形のようなものらしい。

そうだとしたら過去の信者達の事も納得がいく。

では勧誘された信者、本物の人間はどこにいるのか。

ギラ達はそれを探してみる事に。


そうして遺跡内を少し調べる。

すると隠し部屋らしきものを見つける。

その部屋の中には多くの人間が幽閉されていた。


「あなた達は…」

「君達はニュクス教団に勧誘され入信した者か?」


その質問にその場にいた人達はそうだと答える。

そして入信したと同時にこの部屋に幽閉されたとも答えてくれた。


「なぜそんな事に?」

「分かりません、でも生贄とか言っていたのは聞きました」

「生贄、夜の女神ですかね」


そうしてその人達は、事が片付くまでここで待機するように言う。

部屋の扉を一度閉め、改めて遺跡の奥へと進んでいく。


遺跡の奥へと進んでいくといかにもな扉とご対面する。

この扉の奥が夜の女神を降臨させる儀式場なのか?

ギラ達は扉を開き扉の中へと進んでいく。


「…これは?」

「死んでいるね、ローブからして教祖だろう、そしてこれが降臨させるための…」

「でもどうして…教祖が死んでいるなら命令を出していたのは…」


そのとき部屋から声がする。


「まさかあなた達から来てくれるとは、飛んで火に入る夏の虫ですねぇ」

「あなたは…」


そこには不気味に仮面をつけた幹部と思われる司祭がいた。


「ですが夜の女神の降臨はもう間もなく、見ていなさいな」

「させるとでも?」


だが全員が異変に気づく。

体が動かない、何かの力でその場に拘束されているようだ。


「ふふ、さあ!女神ニュクスよ!今ここにそのお姿を!」


召喚装置らしきものが眩い光を発する。

そして次の瞬間だった。


「私が貴様のような愚者に従うと思いましたか?身の程を弁えなさい」

「な、何を仰って…私はあなたをお迎えするために…やめろ…やめてくれッ!!」


司祭はそのまま闇に飲まれ消え去った。


「はぁ、あなた達は災難だったようね」

「襲わないのですか?」


ニュクスはギラ達を襲う気配はない。

そうして言葉を続ける。


「私は誰にも従いません、それにあなた達を襲ってもメリットはなさそうね」

「は、はぁ…」

「意外と寛容なのか?」


ニュクスは言葉を続ける。


「そこの巫女、あなたは私のために苦しみを与えてしまいましたね」

「いえ、でも私もやっと楽になれる、そう考えれば」

「ここならヤマブキさんを浄化出来るんですよね?」


その問いにニュクスは答えてくれる。


「そうね、なら私がそのまま浄化するわ、こっちに来なさい」

「はい、分かりました」


ヤマブキはニュクスの下へと歩み寄る。


「あ、そうだ、ギラさん、あなたにこれを、私からのお礼です」

「宝珠?まあ一応受け取っておきます」

「お別れなんですね…」


ヤマブキは優しく微笑んだ。

その笑顔は未練など何一つないという解放感に満ちた笑顔だった。


「それじゃ浄化を開始するわね、本当に後悔や未練はないわね?」

「はい、何も、私はこの生を全うしたんですから」


そうしてヤマブキの体が光に包まれる。

そのまま彼女の体は光と共に消えていった。


「ヤマブキさん…あなたは…」

「さて、私も帰らなきゃ、太陽の光のある場所じゃ生きられないしね」

「夜の女神だけに、ですか」


ニュクスはそのまま闇に包まれるように姿を消した。

ある意味自由な女神だったのかもしれない。

ギラ達は彼女が思っていたのと違っていた事も少し楽しかった。


そのまま来た道を引き返す。

先ほどの幽閉されていた民を解放し各自自分達の街へと帰らせる。


ギラ達も遺跡をあとにし戦いの終わりを実感する。


「ん、んー…なんか拍子抜けでしたけど、これでいいんですよね」

「そうですね、邪教の末路は思ったよりもあっさりと、いいんじゃないですか?」

「なのです、結局は身から出た錆なのです」


エレネも奴らの結末はそんなものだと思っているのかもしれない。

リックはギラ達についてきた事で多くの経験をした。

そして今後の目的はどうしようかと考える。


「さて、今後はどうします?また自由気ままに旅でもしますか?」

「僕はそれでもいいですよ、ギラさん達と一緒だと凄く楽しいですし」

「リックさんもすっかりギラ様のペースに毒されてますね、うふふっ」


そんな中ソウが口を開く。


「なあ、どうせ暇ならアタシの目的に付き合ってくれないかい」

「ソウさんの目的?でも以前目的なんかないって…」


以前のウルゲントの国王との話のときにそう言っていた。

だがあれは嘘であり、目的があるのだという。


「それは別に構いませんけどね、とりあえず街に戻ってその話を聞きますか」

「分かった、決めるのはそっちに任せるよ」

「ではミリストスに戻りますか」


そうしてソルバードでミリストスへ戻る。

戦いは一段落したが、再び思わぬ事に関わる事になりそうである。


ソウの目的、それに協力するのは何を意味するのだろうか…。

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