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暗き森の悲しみ

ミリストスで一夜を明かしたギラ達。

城に出向いて夜の森の立ち入り許可をもらう。

場所を聞いたギラ達はソルバードて夜の森へと飛ぶ。

その森はアルセイムの南西にあるという。


「あっ、見えてきましたよ」

「あそこですか、それにしても何があると」

「分からん、行ってみるしかないだろうな」

「そうだね、ニュクス教団が求めるものがあるって事だろ」


そうして夜の森の近くにソルバードを停めロックをかける。

ギラ達は森の入口の兵士に確認を取り森の中へと足を踏み入れる。


「また暗いですね…」

「この森って外と比べても異様に暗いですよ」

「なんか不気味なのです」

「気にしても始まらないよ、先に進むしかないさ」


そうして森を進んでいく。

だが森の違和感に全員が気づいていた。


「おかしいですね、進んでいる気がしません」

「僕も同じです、さっきから同じ景色が続いてるせいの錯覚…じゃなさそうです」

「メーヌの位置情報機能が働きませんね、恐らく同じ場所を巡ってますよ」

「私も同じだ、つまり特殊な力が働いているとみるべきだ」


どうやら同じ場所を巡っているという。

その特殊な力を消すのは無理だと判断する。

とりあえず抜けるための策を考える。


「ふむ、何かないですかね」

「うーん…あれ、この木に何か彫ってありますよ」

「数字か?23と彫ってあるね」

「だとしたら他にもあるかもしれません、探してみましょう」


木に彫られた数字を他にも探す。

そうして集まった数字を確認する。


「えっと、確認出来たのは最初の23の他に17、67、71、79、31です」

「意味が分からない、この数字は何なのです」

「この数字は素数だね、つまり語呂合わせという事か?」

「語呂合わせ?なんて読むのさ」


恋夜がその素数の語呂合わせによる言葉の解読をしてくれる。


「これは兄さんいないけれど、虚しく泣いて、泣く泣く裂いて、だな」

「なんか悲しいですね…」

「それでその言葉をどうするのさ」


恋夜はこの言葉から何かを裂いた場所があると考える。

その場所へ行ければこのループも抜けられると踏む。


「つまりだ、こういう事だよ、せあっ!!」

「これって…」

「森の空間が…切れた!?」


その切れた空間の先には別の景色が見える。

その先へと進む事に。


「あれは恐らく別の空間を縫い合わせたものだ、それを裂いてしまえばいい」

「裂いた場所ってそういう事か、縫い合わせてある場所の事なのか」

「流石は恋夜さんですっ」

「頭いいなのです」


そうして裂けた先に向かうギラ達。

その先を少し歩いていくと古びた社のようなものが見えた。


「これって…」

「誰かいるんですかね」

「誰でしょうか」


中から声がした。

扉が開き出てきたのは美しい少女だった。


「えっと、君はニュクス教団の巫女…でいいのか?」

「お帰りください、奴らの関係者なら何も言う事はありません」


巫女はニュクス教団の言葉に強く反応した。

ギラ達は理解してもらえるかは分からないものの、事情を説明する。


「本当ですね?あなた達の心は嘘をついていない」

「まさか心が読めるんですか?」


どうやら心が読めるという。

とはいえメーヌや恋夜などの心は読めないようだ。

そうして中へと入れてくれる。


「あなた達はニュクス教団に喧嘩を売られたのですね」

「ええ、それでぶっ潰してやろうかとも思ってましてね」

「こんな人ですけど、本気っぽいですよ」


巫女はニュクス教団の事について話してくれる。


「あれは夜の女神を現世に降臨させようとするものです、夜の宗教ですね」

「夜の女神、まさにニュクスそのものを降臨させると」

「そんな事が本当に出来るんですか?」


巫女曰くその手段を何世代にも渡って求めてきたのだという。

そして自分はそれが出来る存在だとも言う。


「でも私は一度奴らに捕まった、そのあと逃げたところを保護されて今に至ります」

「えっと、それって最近の話…ですよね?」


彼女は秘密を見せると言い巫女装束をその場で脱いで見せる。

その服の下にあったのは骨がむき出しになり肉が朽ちた体だった。


「そんな…その体…」

「私は人間ではないのです、不死の種族、でも体だけは衰えていきます」

「その結果顔と手足以外の肉は朽ち果てそうなったと」

「死ねないっていうのもまさに生き地獄、か」


彼女は続ける。


「あなた達がニュクス教団を潰すというのなら、私を連れ出してもらえますか」

「いいんですか?」

「まさか死に場所を求めている、とでも言うのか」


その目的、それは自分を浄化して欲しいとの事だ。

ソウはシスターなのでそういう事も出来るには出来る。

ニュクス教団の本部にはそれが出来る施設があるという。


「私は疲れたんです、だから私の最期をあなた達が見届けて欲しい」

「…いいだろう、ソルバードの定員はオーバーだが、乗るぐらいは出来る」

「なのです、苦しみから解放するなのです」

「行きましょうっ、あなたの安らぎの地へ」


そうしてギラ達は彼女を連れ外に出る。

そういえばと彼女は名前を名乗る。


「そうだ、私はヤマブキ、宜しく頼みますね」

「分かりました、ではヤマブキさん、宜しく頼みますね」


だが簡単にはいかないようだ。

そこにはニュクス教団の信者がざっと30人は来ていた。


「見つけましたよ」

「はぁ、彼女を渡すわけにはいかないんですよね、そんなわけで、死んでもらいます」


ギラのスイッチが入る。

信者達は応戦しようとするものの、その一瞬のうちに斬り刻まれる。

嫌いな相手には容赦のないギラの真骨頂である。

そのまま一人残らず斬り刻み、戦いは瞬く間に終わる。


「あなたは…」

「それより行きますよ、街に行ったらニュクス教団の本部を聞かせてもらいます」

「行きましょう」


そうして森をあとにする。

入り口の兵士は襲われていたものの命に別状はなかった。


そのままソルバードでミリストスへと引き上げる。

ミリストスで一旦休む事にし、話は明日改めて聞く事に


「さて、では少し自由です、情報がまとまり次第次の目的に移りますよ」

「分かりました、それでは」

「ニュクス教団の本部、興味深いですね」


その日の夜だった。


「むぐっ!離せ!離して!」

「確実に奴らを潰す、お前にはその餌になってもらうぞ」


ギラはニックがいない事に気づく。

そこには手紙があり、彼を返して欲しくば森の廃寺院に来いと書かれていた。


「ギラ様…」

「やってくれますね、みんなを起こしなさい、今夜中にリックさんを奪還します」


そうして全員を集める。

事情を説明し森の廃寺院に向かう事で一致した。


「メーヌ、翠、戦いは激しくなると思います、私の合図があればいいですね?」

「リミッターを外していいと、分かりました」

「私は光子化を好きなだけ使っていいって事ですねっ」


そうして二人の本気解放の許可を出す。

戦いにおいてギラの合図と同時にそれを実行可能とした。


深夜の激闘がここに幕を開けるのである。

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