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あのときの話

久しぶりに王都ゾルゾーラにやってきたギラ達。

流石に平気だろうと思いつつ、ニュクス教団の情報を集める。

空を移動出来るので国の移動は楽になったものだ。

久々のゾルゾーラでギラ達は行動を開始する。


「さて、どうします?」

「流石に王様に会うのは無理でしょうし」

「ならまずは教会にでも行ってみないか?」

「そうですね、本当は王様に話を聞けるのが一番なんでしょうけど」


とりあえずそれで一致して、教会へと向かう。

教会といえば以前の一件を思い出すものだ。


「ふむ、特に変わった様子は…」

「む?君達は…」

「あっ、もしかして王様…」

「あのときの事を根に持ってますかね?」


そこには国王がいた、あのときの事を考えると逃げるべきか迷う。


「そんな警戒せずともいい、別に逮捕したりはしない」

「は、はぁ…」

「話が飲み込めないんだけどさ、あんた達何したのさ?」

「我々は知らない話だね、国王に喧嘩でも売ったのかな?」


そのときの事を国王が説明してくれる。

その話に恋夜とソウは呆れ顔だった。


「あんた達、国王の娘の逃避行の手助けとか、下手したら処刑ものだよ?」

「あれは私にも娘の気持ちを理解してやれなかったというのはあった、それだけだ」

「つまり好きな人と遠くに逃げようという事なのです?」

「まあ大体はそんな感じですね」


国王が怒っていなかった事には一安心だ。

国王も娘の恋路は応援しようという考えであるようだ。


「それでその恋人って誰なのさ」

「あー、えっと女の人ですよね」

「そうだな、娘はそういうものなのだと私も理解を示している」

「ほう、同性愛か、それは厳しい道になりそうだが応援したくなる」


それはそうとこの機会を逃す手はない。

国王にこの国におけるニュクス教団の事を尋ねる。


「その事か、ここでは言いにくいな、城の私の部屋にくるかな?」

「いいんですか?ならお邪魔します」

「城に引き込んで逮捕…は考えすぎですよね」

「まあそのときは実力行使さ、話が聞けるならいいだろう」


そんなわけで国王に城へと連れていってもらう。


「入ってくれ」

「失礼します」


部屋に入り改めてニュクス教団の事を尋ねる。


「ニュクス教団か、我が国でも不審な活動をしているとは報告を受けているよ」

「やはりですか」


その事に国王も悩みを抱えているらしい。

とはいえこの国は国民の八割がリリベル教団の信徒だ。

それでも残りの二割が気がかりなのだという。


「それで、対策などは取っているんですか?」

「それも難しくてな、宗教の自由がある以上、弾圧は出来ん」

「まあそうだろうね、リリベル教団じゃないアタシでもそれは分かる」


とはいえそんな状況でも国民の八割という事は安心でもあるという。

それならニュクス教団に騙される被害は軽減出来るからだ。

国王である以上冷酷と言われようとも、判断を迫られる事はある。


「だが君達はなぜニュクス教団を?」

「以前盛大に喧嘩を売られましてね、喧嘩を買ってやってるだけですよ」

「ギラ様は売られた喧嘩は買う主義なものですから」

「おかげで僕達もヒヤヒヤですよ」


国王もそれには苦笑いだった。

とはいえこの国ではニュクス教団も活動は難しいという。

それでも油断は禁物と国王も気を配っている。


「そういえば、ソウだったかな?君はリリベル教団じゃないならどこの…」

「アタシかい?アタシはパルテ教団のシスターだよ」

「パルテ教団?聞かない名前ですね」


ソウはリリベル教団とは違う宗派であるパルテ教団の人間らしい。

だがパルテ教団という名前自体この国では聞かない名前だ。


「パルテ教団ってのは大昔に海賊が創設したもんさ、とはいえ乱暴はしないよ」

「海賊が興した宗教だと?だがその名前自体私も初耳だ、どこの国だ?」


確かにこの世界の三国のどこでもその名前は聞かない。

アルセイムでもこの国よりは信仰は薄いものの、リリベル教団が主だ。

新興宗教でも多くはリリベル教団のブランド力の前に消える事が多い。


「そうだね、極東にあるとある国さ、その存在自体知名度もほぼない国だよ」

「極東の国?だがそんな国の存在すら私は知らぬ、本当なのか?」

「意外と知らない国ってあるかもしれませんよ」

「知らない国、行ってみたい」


国王も知らないという極東の国。

そもそもこの世界は三国によって均衡が保たれていると思っていた。

ソウのその発言はある意味世界の常識を覆すものである。


「その国へは行けるものなのか?」

「行けなくはないね、でも自然の力に阻まれるから難しいと思うよ」


自然の力、それは海を渡っていると高確率で自然災害が起こるという。

それにより外国から船や航空機がそこへ向かう事自体困難だという。


「なら君はどうやってこの国に来た?その自然災害を突破したのか?」

「地元民をなめないで欲しいね、地元民ならそれを突破するのは簡単だよ」

「ああ、地元民だからそんなの屁の河童って事ですか」


国王もその国に興味は示している。

とはいえ今の三国ではその自然災害を突破するのは困難だろう。

ソウの目的も気になるので訊いてみちゃう。


「アタシの目的?特にないよ、自由気ままな放浪シスターさ」

「ああ、それで私達の仲間になったんですか」

「ある意味自由な人だとは思ってましたけど…」


ソウの話はそこまでにして話を戻す。


「この国は比較的安全だろうな、とはいえオルバインとアルセイムは気になる」

「そうですか、なら国王様に任せれば今は心配なさそうですね」


国王もニュクス教団の事は目を光らせるという。

それを聞いたギラ達はお礼を言って立ち去ろうとする。


「ああ、待ってくれ、もしどこかで娘に会ったときは父が気にしてると伝えてくれ」

「分かりました、機会があれば伝えますよ」

「それでは失礼しました」


そうして城をあとにする。

国王の話からしてもこの国はそこまで心配する必要はないと考える。

そして今後の予定も相談する。


相談の結果アルセイムに行き、そっちの動きを確認する事に。

最近は絡まれていないとはいえ、いつ襲われるかは分からない。

それを警戒しつつニュクス教団の目的を追う事に。

ギラとしても降りかかる火の粉は払わねばならぬのだから。


本当に変人ホイホイなのだと改めて思う。

だがそれを楽しんでいる様子すらあるギラは肝が据わっているのだろう。


ニュクス教団の目的、それを気にしつつその戦いはこれからが本番である。

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