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薄暗い闇の底へ

鉱山で発見された新たな道。

ウルゲントだけでなく世界の冒険者がそこには集っていた。

ギラ達もその道の先へと進む。

薄暗い闇の底へと歩を進めるのである。


「ふむ、中は結構険しいですね」

「下が見えないんですけど…」

「落ちたら死ぬね、足元には気をつけるように」


そうしてその道を進んでいく。

最初こそ明かりがあったが、徐々にそれもなくなり闇が視界を覆い始める。


「ふぅ、暗闇だと私の目も完全には機能しないな」

「同じくですよ、奇襲とかされない事を願います」

「機械の目は暗闇には弱いですからね、ライトでもついているならともかく」

「機械ってのも万能じゃないって事さ、世界は広いね」


そうしてどんどん奥へと進むギラ達。

そんな中途中で分岐点に差し掛かる。


「分岐ですか、とりあえずこっちに行ってみますか」

「ですね、どっちも行けばいいだけですし」


とりあえず下の道へと進む。


「これって…」

「気をつけな、こいつは毒ガスだ、恐らく地面から漏れてる」

「少し吸ったぐらいなら死にませんけど」

「あれ?人だ、こんなところまで来るものなんだ」


突然声がした。

可愛い声だが、と思うとその姿を見せる。


「ふーん、面白い人が来てるっぽいね」

「あなたはもしかしてグレムリンですか?」

「それってあの下等悪魔ですか?」


なんでこんなところにグレムリンがいるのかはさておき。

その悪魔にここの事を訊いてみる。


「ここは魔界に通じてるって言われてるね、オイラもそこから来たんだ」

「魔界…それって伝承なんじゃないですか?」

「アタシもそう思ってた、まさか本当だって言うのか?」


この世界では魔界という伝承があるようだ。

とりあえずはグレムリンも敵対する意思はないとみられる。


「この先に進むなら別に止めないけどね、あんたがついてれば平気でしょ」

「おや、それはどうも」


グレムリンもギラを評価しているようだ。


「それより人間がここに留まってると、毒ガスで死ぬよ?」

「そうだった、助言感謝する、それじゃな」


そうしてその場をあとにする。

グレムリンも無邪気に見送ってくれた。


その後もギラ達はさらに奥へと進んでいく。


「もう完全に真っ暗ですね、カンテラの周囲しか見えませんよ」

「暗視モードに切り替えたので少しは見えますね」

「同じくだ、とはいえ暗闇には弱いんだよ」

「それでも進むしかないですね、どこまで行けるかはともかく」


そうしてそれでも先に進む。

ここに入ってからどれぐらいの時間が経過したのだろうか。


「こう暗いと時間の感覚がおかしくなりますよ、メーヌ、今何時ですか?」

「今は午後三時ですね、このまま探索を続ければ日付を跨ぐ可能性も」

「やれやれ、本当に感覚が狂いそうだ」


そう言いつつも先に進む。

そんな中途中で魔法陣を見つける。


「非常口…恐らくこの魔法陣で入り口に飛べますね、帰りは使わせてもらいますか」


帰りのショートカットを確認する。

進み始めてからすでに三時間近くが経過している。

最初こそスムーズだったが今はその複雑な地形に悪戦苦闘だ。


「先に入った冒険者が見当たりませんね、まさかモンスターにやられた?」

「確かにここのモンスターは強い、勝てない相手じゃないけどね」

「僕としても経験になりますけど、流石にしんどいですよ」


リックも足が痛むようだ。

入ってからずっと歩きっぱなしなのだ、無理もないだろう。


「とにかく進みますよ、もう意地でも一番奥まで行ってやりますから」

「ギラ様は意地っ張りですからねぇ」


そうしてどんどん奥へと進む。

そして少し広い空間に出る。


「少し開けてますね、障害物はないようです」

「とはいえ足元注意だ」

「本当にどこまで続いているのやら」


ぶつくさ言いつつもどんどん進んでいく。

だが先に入った冒険者が本当に見当たらない。

やはりやられてしまったのか?この暗闇でそれを確認するのは困難だ。


そうしてさらに進む。

大分開けた場所に出たようだ。

風が吹き抜けている事からも、それが感じ取れる。


「おや?こっちに道が、分岐みたいですね」

「相当深くまで潜りましたよね、流石に疲れました」

「とりあえず行くだけ行ってみよう」


そうしてその道の先へと進む。


「また毒ガスか!」

「人か、こんなところまでよく来るものだ」

「誰ですか!?」


その声の方へ振り向くとそこには凄まじい威圧感を放つ魔族がいた。


「安心しろ、取って食おうなどとは思わん」

「それでえっと、どちら様です?」


メーヌが彼にその名を尋ねる。


「私か?私はハデス、冥府の王だ」

「死の王ハデス…まさか本物に出会えるとは…私も鉄屑になるには惜しいな」

「でもなぜハデスがこんなところに?」


リックがその疑問をぶつける。

それにハデスも答えてくれる。


「ここはこの世界に通じていてな、暇を見ては遊びに出ているのだ」

「あら、可愛いですね」

「魔界の人も意外とお茶目さんでした」


メーヌと翠もそれには苦笑いだった。


「もしこの世界で魔界の者を見たら親しくしてやって欲しい」

「そうですね、種族で差別するような事はしたくないですし」


ハデスはギラに注目する。


「それにしてもお前は…いや、なんでもない」

「別にいいですけどね、どうせ気づいてるんでしょうし」


そうしてハデスはギラ達を見送ってくれた。

そしてギラ達は改めて奥に進む。

その先にはダンが何かと戦っていた。


「なめんな、こんちくしょうが!!」

「あれは…黒竜!?あんな強いモンスターに勝てるんですか!」


そこにいたのは黒竜だった。

ドラゴンのモンスターとしては段違いの強さを誇る最上位種だ。


「やれやれ、助太刀しますよ」

「てめぇら…いいぜ、一時共闘だ、こいつをぶっ倒す!」

「燃えるぜえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

「それはともかく、応戦するぞ!」


相手が黒竜といえどギラの強さはそれを上回る。

先日買った刀の斬れ味を試すにはいい機会だ。

ギラはその刀を構え、一気に振り抜く。

無数の斬撃が黒竜を斬り刻む。

そのまま黒竜は暗い闇の底に落ちていった。


「ふむ、流石は本物の刀ですね」

「てめぇ、相変わらずすげぇな…俺なんかじゃ勝てねぇわけだ」

「とりあえずこの先に進みましょうか」


そうしてその先へ進む。


「こいつは…」

「これってレインボーメタル!?それもこんなに…これだけで凄いお金に…」

「希少なものなんですか?」

「レインボーメタルと言えばすでに失われたと言われる金属だ、こいつは大発見だぞ」


そこには虹色の輝きを放つ金属の原石が大量に転がっていた。

それも大きさはかなりのものだ。

恋夜曰くこれを全部売ればオルバインの一番大きな会社を買えるぐらいになるらしい。


「こいつは山分けだ、売ってもいいし武器にしてもらってもいい」

「そうですね、では取り分はダンさんが7で私達が3で」


ギラはそんなに興味はないようだ。

とはいえダンはそれに納得せず、きちんと半々で分けるという。


「まあそっちがそう言うなら私は構いませんよ」

「決まりだな、ほらお前達の分だ」

「ありがとうございます、ダンさん」


そうして大量のレインボーメタルの原石を手に入れたギラ達。

そのまま来た道を戻り魔法陣で入り口へ。

ダンと別れ今後を相談する。

すでに夜になっているので簡単に決めてしまう。


優秀な鍛冶屋を探しにいく事で一致した。

レインボーメタルを加工してもらえる鍛冶屋を探す事に。

次の目的は鍛冶屋探しに決定だ。


思わぬものを得たギラ達は戦力を強化する事となる。

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