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産業の要

今日はオルバインの田舎に行ってみる事にしたギラ達。

ソルバードを飛ばし田舎の方へ向かう。

しばらく飛ぶと景色が変わり始める。

そこは工場などが並ぶ、言わば部品の生産などを担う土地だった。


「工場などが多いですね」

「要するに都会の産業や技術を支えているのか」

「とりあえずどこかに着陸しますか」


そうして開けた土地を探しそこに着陸する。

下りてみると自然は少ないものの、整備などはされていた。

地方にもこういった事をする余裕がある辺り、国の余裕が垣間見える。


「ふむ、こっちまで来ると景色は違うんですね」

「そうですね、冒険者とかもほとんど見ませんし」

「冒険者の主戦場はアルセイムとウルゲントだ、ここは過疎地だよ」

「まあオルバインが島国って事もあるからね」


そうして少し散策をするギラ達。

人を見渡すと作業着姿の男性が工場に多く出入りしていた。


「やはり産業の要なんですね、ここは」

「そうですね、都会に出荷する部品なんかも多いですよ」

「オルバインという国の生き方か」


そのまま少し散策する。

すると少し古びた外観の飲食店を発見する。


「少しお腹も空きましたし何か食べます?」

「田舎の食べ物は美味しい法則…」

「まあとりあえず入ってみますか」


店に入るギラ達。

中は閑散としていて人の入りは少ない。

まあ今は食事時の時間ではないから当然ではあるが。


「いらっしゃい、六名ですね、ご注文が決まったら呼んでください」


そうしてメニューを確認する。

そこには田舎らしいメニューが並んでいた。

とりあえず食べたいものを各自注文する。


「あなた達都会から来たんですか?」

「ええ、そうですが」


店の人は物珍しそうに言う。


「こんな辺鄙なところによく来ましたね」

「街を見たら若い人が少ないように感じたんですが…」


確かに街を見た感じ、若い人が少なかった。

その理由も女将さんが話してくれる。


「若い人はみんな都会に出ていってね、残った人は工場とかで働いてるのよ」

「ここの工場で働こうとはしないんですか?」


女将さん曰くやはり都会の方が賃金も弾むらしい。

とはいえ職人の跡継ぎとして仕事をしている若者もそれなりにいるという。


「やっぱり現実はそんなものなんですね」

「そうだねぇ、都会への憧れというより家にお金を入れたいってのもあるのよ」

「親孝行ではあるんですね」


そうして話しているうちに料理が運ばれてくる。

都会に比べればまともな食事という感じではある。


「都会だと簡単な食事ばかりだったでしょ」

「ええ、冷凍とかジャンクとか」

「田舎だとそれなりにいいものが食べられるんですね」


とはいえ国の土地柄出来る農業などは限られる。

それでもそんな農作物を使った名物は美味しかった。


「こっちだと農業もそれなりに出来てるんですね、なんか驚きました」

「そうね、とはいえこの国は土地が細いから出来るものも限られるのよ」

「確かに本格的な農業や酪農は難しそうですね」


そうして美味しく食事をいただいたギラ達。

お金を支払い店を出る。

店を出たあとは工場見学でもしてみる事に。


「はぁ~、精密な作業してますねぇ」

「こういう繊細な作業こそが産業を支えてるんでしょうね」

「品質の高さが分かった気がしますよ」


そうして工場見学を終える。

そのあとはせっかくなので田舎の観光地も見てみる事に。


向かったのは街の外れにある今は使われていない廃工場だ。

ここは昔この国を支えた大企業の工場だったという。

だがその大企業も今では倒産してしまったらしい。

そうして工場は閉鎖され、今では観光地になっている。


「こういう工場も国の歴史なんでしょうね」

「そうだね、長く続けるって事の大変さが分かる話だよ」

「結局は適度に利益を追求し、誠意を見せないと客は離れるんでしょうね」


そんな国の歴史を語る廃工場に何かを思うギラ達。

そうして他にも様々な場所を見て回る。

そこから見えたものは国の歴史と、それを支える人達の姿だった。


「ん?武器屋ですね、こんな田舎にもあるんですか、せっかくですし見ていきましょう」

「こういう土地には業物があったりするんですよね」


そうして武器屋に入るギラ達。

中には無愛想な職人と思われる老人がいた。


「ふむ、どれも立派じゃないですか、職人技って感じですね」

「お嬢さん、この刀の価値が分かるのかい?」


老人はギラの見る目に興味を示す。


「ええ、刀剣とかは好きですしね」

「ほう、女の子にしちゃ珍しいな」

「でもこんな立派なものを打てるなんて、凄いじゃないか」


ここは昔からある工房らしい。

都会では機械の武器が主流になる中、今でも続けているという。


「ではこれをいただけますか?」

「そいつを真っ先に選ぶか、本当に見る目があるな」


老人はそのセンスに感服のようだった。

ギラが選んだ刀は、この店で一番の業物だからだ。


「そのセンスに免じて割り引いてやるよ、二割引きでいいぜ」

「おや、嬉しいですね、では二割引きの代金です」


ギラは二割引きの代金を支払う。

老人もその刀が売れた事に嬉しそうだった。


「大切に使ってやれよ、お嬢さん」

「ええ、この刀ならしばらくは買い替えも必要なさそうですしね」

「ギラさんって武器を見る目もあるんですか…」


そうして新たな武器を得たギラ。

とはいえこの刀もメインではない。

本来使っている武器は今でも見せていないのだ。


「試し斬りでもしますかね」

「わくわくっ」


そうして農家にお邪魔して古い藁を分けてもらう。

その藁を束ね試し斬りだ。


「それでは、はあっ!!」


見事に藁は斬り刻まれる。

その斬れ味は名湯に相応しい斬れ味だった。


「ふむ、やはり職人の打った刀は嘘をつきませんね」

「お見事です、ぱちぱち」

「それにしても素晴らしいね、これは優秀な武器だよ」


恋夜も認めるその刀、それは職人が作った業物に相応しい。


そうして田舎でする事も済ませたので、ソルバードで都会にリターンする。


短時間の滞在とはいえ、そこからオルバインという国も見えてきた。

発展とそれを支える人達。

その国は人の力で発展を遂げた国だという事も。

そしてそれと同時に暗い歴史もある、そんな国なのだ。


都会に戻ったギラ達は今後の予定を確認する。

明日からは一旦ウルゲントに戻る事にした。

ニュクス教団の事も気になるからこそである。


そうして次は再びウルゲントの地を踏む事となる。

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