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イカにもタコにも

船に乗り海の主が出るという海域へ向かうギラ達。

船の上で海を眺めつつ海の主の登場を待つ。


「ふぁ、潮風が心地いいですね」

「それより本当に出るのか?」

「海の主ってどんなのでしょうねっ」

「きっとおっきな海獣ですよ」


そうして船の上で談笑していると、船乗りがその海域だと伝える。

海域に到着したはいいが、海は荒れる様子もなく平和だ。


「…本当に出るんですよね?」

「やれやれ、わざわざ引っかかってあげたんですよ?感謝したらどうです」

「えっ?ギラさん、何を言って…」


それと同時に短剣が飛んでくる、この船は大地の骨の罠なのだ。

ギラはそれを最初から知ってて、船に乗り込んだのである。


「ククク、自分から来てくれるとはなぁ、感謝しているぞ」

「全く、こんな茶番を仕込んでまで私を殺したいと?」

「大地の骨、この船は自前か?それとも強奪したのか?」


それに覆面は答える。


「こいつは旧式の船を買い取ったに過ぎん、貴様らごと海に沈めるためにな」

「ああ、だから所々ボロっちいんですね」

「メーヌ達を海の藻屑にするつもりですか?」


覆面は愉悦の表情なのだろう。

だがこんなところで死ぬほどギラ達も甘くない。

とりあえず応戦のため臨戦態勢を取る。


「ククク、この大役を任せてくれたデリーラ様に感謝だな」

「それで、死にたい人からかかってきて結構ですよ?」

「私も死ぬつもりはないな、もっとも死ぬというよりは鉄屑になるか」


ここは海の上だ、敵もこっちも逃げ場は存在しない。

覆面の数はざっと30人、とりあえず海に叩き落とせばいいかとギラは思う。

船上という狭い戦場での戦いが始まる。


「ヒャハァ!!」

「おっと、せいっ!」

「ちいっ!?」


覆面達を次々に海に落としていくギラ達。

だがメーヌが妙な違和感に気づく。

それは恋夜も感じ取っていた。

海に沈めた覆面達の声がしない、溺れたとも思えない、ではなんだ?

次の瞬間船に大きな揺れが走る。


「これは…!?」

「足に力を込めなさい!どうやら、本物のお出ましですよ!」

「うわあぁぁぁぁぁっ!!」


海の中から何かが沈んだ覆面を海中に引きずり込んでいる。

そして沈んだ覆面はその何かに捕食されているようだ。


「こんなの聞いていないぞ!?」

「今ですっ!やあっ!」

「しまっ!?うわあぁぁぁぁぁっ!!」


翠がリーダー格の覆面を撃ち抜く。

覆面は海に落ち必死にもがくが、そのまま無惨に海底に沈んでいった。

他の覆面達もギラ達が片っ端から海に叩き落とす。

船から覆面がいなくなったと同時に再び大きな揺れが襲う。


「来るぞ!」

「うわあっ!?」

「これは…」


船に巨大な軟体生物が飛び乗ってきた。

海の主、ではなく海の悪魔、クラーケンである。


「おぉ~おっきなイカさんですっ」

「…翠、足の数が八本ですからこいつはタコですよ」

「クラーケン、海の悪魔と呼ばれる魔物、本当にいたのか、興味深い」

「それよりどうするんですか!」


答えは言うまでもない。

こいつを倒して晩飯ヒャッハーである。


「今夜はタコづくしですね」

「メーヌが美味しく調理しますね」

「食べるんですか…」

「食べるなら倒さないとね、私の魔法でこんがり焼いてやろう」


どうでもいいような会話をしつつ武器を取る。

流石に船ごと沈められては敵わないので。


そうしてクラーケンに斬りかかる。

美味しくいただいてやるぜぇ、と言わんばかりである。


「炎よ、爆ぜろ!」

「炎の閃光、貫け!」


リックと恋夜の炎魔法が綺麗に決まる。

相手は巨体なので魔法は驚くほど綺麗に決まる。

とはいえ本当の弱点は雷なので、効果抜群とまではいかないが。


「はあっ!」

「ていっ!」

「とりゃーっ!」


ギラとメーヌと翠がクラーケンの足を片っ端から切り落とす。

そしてそのまま三人での連携技が決まり、クラーケンは海に沈んでいった。

切り落とした足が船上で活きがよく動いていた。


「夜ご飯ゲットですね」

「これならお腹いっぱい食べられますね」

「本当に食べるつもりなんですか…」


夜ご飯を確保したはいいが問題がある。

どうやって陸地に戻るかだ。

船はクラーケンの襲撃により穴だらけで浸水している。

このままでは一時間と持たずに沈没するだろう。

そんなとき海の方から鳴き声が聞こえる。


「あなたは…」

「クアァァァァ!!」

「まさか、本物の海の主か?」


そこにいたのは巨大な一角の海獣だった。

言葉は分からないものの、どうやら背中に乗れと言っているようだ。


「ふむ、では遠慮なく乗せてもらいますか」

「大丈夫なんですかね」

「どっちみちこのままでは沈むだけだ、覚悟を決めるとしようか」

「海の主さんのお背中ですっ」

「なんか凄い体験だなぁ…」


そうして海の主の背中に乗る一行。

そのまま海の主はリバージの方へと泳ぎ始める。


そうして海を進む事数十分。

ギラ達はリバージの港に無事に到着する。


「ありがとうございます」

「クアァァァァ!!」

「素敵な体験でしたねっ」


海の主はそのまま大海原に帰っていった。

この経験は素敵な経験になった、リックはそう思っていた。


そして今後の予定を確認する事に。


「今後か、どこか行きたい場所とかあれば私はどこでも構わないよ」

「なら少し気になる事があるので、聖女と呼ばれる人を探そうと思います」

「聖女ってカーミンスのあれですよね?」


そう、カーミンスで噂になっている聖女と呼ばれる人物だ。

以前の祭りでも姿を見せず、大地の骨も行方を追うその聖女である。


「ならそうしましょうか、でもどこから探すんですか?」

「なら一旦バドカに戻ろう、あそこの情報局なら何か情報があるかもしれん」

「分かりました、では一旦バドカに戻りますよ」


そうしてソルバードに乗り込みバドカに戻るギラ達。

聖女に関係する情報が何か得られないか、それを期待しつつ。


だが聖女を追う以上大地の骨との交戦は避けられないだろう。

そのときは遠慮なく殺してやる、ギラは心の中にドス黒い炎を燃やす。

聖女とは何者なのか、謎に包まれるその存在を追いかける。


大地の骨に先を越されるわけにはいかないので、情報の正確さも求められてくる。

聖女、それはカーミンスの象徴であり、謎多き存在。

ギラ達は大地の骨とのレースに挑む事になった。


まずはなんでもいいから情報を手に入れる事からである。

聖女の正体に迫る旅が始まる。


そして大地の骨へのドス黒い炎を燃え滾らせるのである。

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