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憎悪と絶望

リックに魔王としての教育を施すギラ。

教育が終わるまであともう少しである。

そんな中ギラは自分の事も話しておこうと考えていた。

自分の中にあるものについても。


「教育はこんなものですね、あとは最後の教育です」

「はぁ、それで何を教えてくれるんですか?」

「でもさ、思ったけどギラって魔王って言うには優しいよね」

「そうね、でもたまに凄い残虐な一面も見せるし」


それはギラを構成するものの関係だろう。

以前リックに話した王女と勇者の話だ。


「今だから話しておきますか、私の中にあるものを」

「ギラさんの中にあるもの?」

「それって魔王になった経緯とか?」

「その二面性みたいなものの事かしら」


ギラが言うには刺し違えた王女と勇者、その人格から生まれたのが自分という。

全てを憎悪していた王女、最後まで希望を信じ絶望に果てた勇者。


その二人の人格が入り混じって生まれたのがギラなのだという。

その関係で残酷なときはとことん残酷だが普段は基本穏やかなのだという。


「つまり以前見せたような残虐な一面はその王女のものって事なの?」

「そして今リックに教育をしてるのは勇者としての一面なのかしら?」

「まあそんなところです、私の中には果てしない憎悪と絶望と一抹の希望があります」

「でも残虐な一面は意外と出ませんよね?」


ギラ曰く嫌いなものを見ると果てしない憎悪が湧くらしい。

そして殺してやりたいという強い衝動に駆られるという。


「ふーん、つまり自分の世界を滅ぼしたのは王女の人格なんだ」

「それでそのあと引きこもったのは勇者としての絶望からね」

「結局私が生まれたのはそんな絶望と憎悪からです、ですが一抹の希望もあるのですよ」

「なんか意外ですね、ギラさんが自分の事を語るなんて」


ギラを構成するもの、それは憎悪と絶望と一抹の希望。

だが憎悪と絶望が大きすぎるあまり怠惰と冷酷な一面が強く出る。


それは全てを憎悪した王女と信じ続けた結果絶望に果てた勇者の生まれ変わり。

ただ同じ世界に生まれたため同世界転生になるのだろう。


「憎悪は勇者を殺し希望は絶望に堕ちた、それが私が生まれるまでの経緯です」

「でもどうしてそんな事になったんだろうね」

「そうね、全てを憎悪する王女とか」

「ギラさんが滅ぼした世界に関係があるとか?」


ギラ曰く王女は自分の世界を憎んでいた。

そして魔王の伝承を利用して世界を滅ぼそうとしたという。


それを救おうとした勇者は真実に絶望した。

そして最後は二人で果てたのだという。


「まあ憎しみは人を変える、それだけですよ」

「ギラさん…」

「憎しみはそれだけ強い原動力になる、か」

「勇者とか魔王とか、分からないわね」


だがそれがギラの真実。

そんな憎しみの果ての再誕である。


「さて、最後の教育の前に甘いものを食べましょう」

「ギラって実は超甘党なのかな」

「普段から甘いものばかり食べてる気が」

「辛いものも好きって言ってたのに」


こうしてギラの最後の教育は間もなく終わる。

明日には魔王が誕生する。


新たな魔王はその世界に何をするのだろうか。

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