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嫌な事とする事

リックに魔王としての教育を施すギラ。

リックの飲み込みがいいからなのか、教育は確実に実を結び始めている。

仲間達もそれを面白いと思いつつギラについていく事を決める。

魔王の誕生まで時間は迫っていた。


「リックさんは飲み込みが早くて助かりますね」

「でもなんか意外です、世界の滅ぼし方とか教えてくれるものかと」

「それは確かにあるかもね」

「何言ってるのよ、あなた達は」


世界を滅ぼすのはギラに任せておけばいい。

その後継者として指名したのがリックなのだから。


「とはいえリックさんも苦難が多かったですね」

「本当ですよ、冒険したり精霊に会いにいったり異世界に飛ばされたり」

「本当に大冒険してるよね、私達」

「途中から参加してる私ですら大冒険だと思ってるもの」


今までの冒険は本当に大きなものだった。

だからこそ冒険の経験をそれに活かそうという事である。


「でも人がされて嫌な事は自分がされても嫌なもの、少しは感じましたね」

「人がされて嫌な事は自分がされても嫌なもの、ですか」

「でも分かるかも、私も親が嫌いで嫌な事されてもそれをした事だけはないし」

「へぇ~、ハルミって腐っても鯛って感じなのね」


ハルミは家庭環境が複雑なのは感じ取れる。

剣術の腕の高さはそんな環境から逃げるためなのか。


「ハルミさんの剣って凄いですよね、普通の人じゃあそこまでは…」

「家にいたくないから剣術にのめり込んだんだよね、それで学生大会の王者」

「逃げたという事ですか?」

「うーん、ハルミの場合なんていうか決別の目はしてると思ったわよ」


ハルミの目、それは覚悟の目だとモレーアは言う。

家を出て独立して生きていくという覚悟なのか。


「でもそれで無理が祟ったのか利き腕の筋肉を盛大にぶっちしちゃってさ」

「それでも今は完治したんですか?」

「以前の御前試合見てても少なくとも相当取り戻してるとは思いましたよ」

「私から見たらあれでも完全じゃないと感じたわね」


ハルミの利き腕には痛々しい治療痕がある。

無理はするものではないと感じさせるほどの傷だ。


筋肉を盛大にやってしまうというのは激痛どころではない。

それこそ剣士生命を断たれかねない怪我だ。


「医者は治せないって言ってた、だから人工筋肉入れてるんだよね」

「この世界は文明はそこそこ高いと思ってますけど、そんなものもあるんですか」

「疑問に思ってたけど、この世界の文明ってもしかして…」

「館長さんが世界にそれを伝えた…でしょうか」


この世界の文明の秘密が分かった気がした。

あの館長ならそれぐらいやりかねないと。


「でもされて嫌な事は相手も嫌か、私が腐らなかったのはそこなのかも」

「ハルミさんは少し羨ましいです」

「リックさんが嫉妬ですか」

「意外と可愛いのね」


この世界の秘密。

それは竜の叡智なのだろうか。


「ではひねくれ者同士甘いものでも食べましょう」

「ギラはすぐそれだよね」

「でもいいんじゃない?」

「ですよね」


ギラなりの気遣いはしているようである。

魔王が誕生するまでもう少し。


仲間達もそれに乗っかる気が満々なのだから。

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