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裏切りの傷

リックに対して魔王としての教育を施すギラ。

仲間達もそれに付き合いつつ今後の事なども相談する。

少年は魔王となるべくその少女に教えを請う。

全てを拒んでいた魔王はその少年にだけは心を開いている。


「結構様になってきましたね」

「とはいえ厳しいですよ、ギラさん」

「ギラは本当にスパルタだねぇ」

「でも厳しさも優しさの裏返しなんだよ」


ハルミもギラが分かっているようだ。

まあ厳しいだけでは駄目だとも分かっている。


「結局人を信じるって大変なんですよね」

「でもギラさんは僕を信じてくれてる、それは嬉しいですよ」

「なんだかんだでいいコンビだよね」

「リックも必死なんだろうさ」


必死にその教えについてくるリック。

その本気っぷりはギラの想像以上なのか。


「もし大切な人に裏切られたら、どうしますか?」

「それは…やっぱりショックですよ」

「私もかな、大切な人なんだもん」

「でもそれはないとは言い切れない、そうだろう?」


大切な人に裏切られる。

それは心に大きな傷を残す事になるのだろう。


場合によっては人間不信すら招きかねない。

裏切られるとはそういう事だ。


「世の中には子供すらも裏切る親がいる、悲しいものですよ」

「ギラさん…」

「そんな親がいるなら私はグーでぶん殴ってやりたいかな」

「子供の心っていうのはとても繊細だ、親の裏切りという行為は傷も深いだろうさ」


何を言いたいのかは分からないが、裏切りの傷の事なのだろう。

子供が親に裏切られたとき、それはとても深く大きな傷になる。


大人でも裏切られたときのショックは大きいだろう。

それが裏切られるという事だ。


「子供のため、そう思ってやった事が子供からしたら裏切りになる事もある」

「ギラはそういうのも見てきているって事だね」

「でも僕も親がブルクハルトに乗せられていたときはショックでしたよ」

「親ってのは子供を考えているかなんて分からないしね」


結局ギラはそんな裏切りの傷を今でも抱えているのだ。

どんなに強く振る舞っても決して消せないその傷を。


「心の傷は一生消えないんですよ、それは人生にすら影響してしまう」

「心の傷…僕は…」

「でも分かるかも、私も親が大嫌いで逃げるように飛び出して」

「ハルミもそんな事があったんだねぇ」


ハルミも親の事はよく思っていないのか。

家の事を話そうとしないのはそんな背景があるからか。


「結局人を育てるのは環境なんです、それの良し悪しは人格にモロに影響する」

「環境の良し悪し、確かに分からんでもないね」

「僕は恵まれてたんでしょうか」

「私も荒んでるよね、ギラの事なんか言えないや」


ハルミにも心の傷はあるようだ。

環境は人格を作るというのは満更でもない。


「では荒んだ者同士甘いものでも食べましょう」

「なんでそうなるかな、まあ付き合うけど」

「ハルミさんも家庭環境は複雑なんですね」

「あの若さで荒んでるのに真っ直ぐなんて大したもんさね」


裏切りは相手の心を深く傷つける。

それは経験したからこそ分かる深さの話。


ギラはハルミをそのまま保護してしまうかとも考えていた。

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