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優しさと甘さ

リックが復帰してから教育に余念のないギラ。

そんなリックも魔王としての教育が効いてきたのか、少し変わった気はする。

とはいえギラの後継者としてはまだまだである。

仲間達もそれを見守りつつ、その教育にも熱が入る。


「いい感じになってきましたね」

「これでいいんですか?魔王ってもっと怖いものだと」

「ギラの言う魔王とは具体的に何なんだ?」

「ギラさん曰く概念らしいですけど」


魔王、それは人の作り出す概念。

人の心の闇が魔王という虚像を生むというのがギラの理論である。


「リックさん、あなたは優しい人です、でも優しさと甘さを間違えてはいけません」

「優しさと甘さ…」

「そうだな、優しさと甘さは似ているようで全くの別物だぞ」

「よく分かりませんけど…」


優しさと甘さの違い。

それは人に対する情などでもあるのだろう。


「優しさで判断を誤るようならそれはただの甘い人です、お忘れなく」

「僕にその違いが分かるでしょうか」

「なに、分かるさ、成長すれば嫌でもな」

「恋夜さんが言うんですか」


とはいえ恋夜もテュトスもアンドロイドである。

それでも学習するという事は出来るのだ。


だからこそ優しさと甘さの違いも知っている。

優しさと甘さは似ているようで全く違うものだ。


「だがギラは優しくもないし甘くもないな、性根は別かもしれんが」

「うるさいですよ、子供には優しいじゃないですか」

「僕も子供じゃないですよ」

「リックさんは成長途中ですよね、精神的な」


リックもまだまだ未熟ではある。

とはいえ精霊を従え、賢者と呼ばれる人に魔導書を託される。


その内には大きな何かが眠っているのだろう。

だからこそギラはそれを魔王として使ってしまおうと考える。


「にしても小娘、この小僧を魔王にしようとは面白い奴じゃな」

「おや、クロノス」

「クロノスはそういうのに乗り気なのか」

「なんか意外ですね」


クロノスは精霊達の中でも自由な存在だ。

故に魔王が生まれる事も愉快に見ている。


他の精霊がどう思っているかは知らないが、クロノスは楽しそうだ。

自由とはそういう事なのだろう。


「我輩は魔王が生まれても構わんよ、それはそれで楽しそうじゃ」

「なら魔王にも従うんですね」

「リックがその魔王だからな」

「という事ですよね」


クロノスはそれも全然構わないようだ。

精霊の中では特に自由奔放なその姿に他の精霊も少々頭を抱える。


クロノス自体精霊の中では年寄りになる。

そんなクロノスに悩みは尽きないそうだ。


「まあリックさんは優しさと甘さの違いぐらい分かると思ってますよ」

「僕もそれぐらいは…」

「勉強だ、これからもな」

「ですよね、リックさん」


なんにしても学ぶのみである。

リックを魔王として育て上げてみせるとギラは言う。


「ふふ、教育はまだまだですからね」

「覚悟しておきますよ、言い出しっぺですしね」

「ギラも面白い奴だ、ますます興味をそそられる」

「恋夜さんらしいですね」


そうしてギラの教育は続く。

魔王にでもなってみせる、そんなリックの本気。


ギラはそんなリックに何を見ているのだろうか。

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