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復活の少年

再生の炎をなんとか手に入れたギラ。

その足でバドカへ戻りリックの治療を行う事に。

初めて誰かを助けたいと願うその心。

その想いは通じるのだろうか。


「あ、戻りましたか」

「館長さん、ええ、戻りました」

「なんとか炎は手に入りましたよ」

「すぐにでも治療したい、行こう」


そうしてリックの眠る部屋へと移動する。

そこには秘宝に侵食されながらもなんとか生きているリックが眠っていた。


「では始めますよ、再生の炎よ、その全てを浄化し再生をここに」

「どうだろう」

「治るんですの?」

「信じるしかあるまい」


そうしているうちに炎がリックの侵食だけを焼き払っていく。

そして侵食は完全に焼き払われリックの体は炎により再生される。


「あれ…?僕…そうだ…あのとき…」

「ご無事ですか、全く、世話の焼けるクソガキですね」

「そう言いつつその絶壁に顔を当てない」

「うふふ、ギラ様なりの愛情表現ですよ」


リックは何が起きているのか飲み込めていないようだ。

とりあえず事情を説明する。


「そんな事が…それでギラさんは僕を救うためにそこまで…」

「別にあなたに死なれると困るだけです、私の後継者として」

「ギラ様はリックさんを魔王に育てたいって言ってましたっ」

「ふーん、魔王に育てるねぇ、それなんて遊び?私も混ぜてよ」


ハルミは相変わらず本気とは思っていないようだ。

だがギラは本気の目をしている。


「でも僕が魔王になるというのならそれも面白いですね、先生」

「誰が先生ですか、先生じゃなく師匠にしなさい」

「変なところにこだわるな、ギラは」

「でも結局魔王ってなんですの?暇を持て余した魔王の遊びですの?」


魔王についてはあえて言わないでおく事にする。

とはいえリック以外も意外と乗り気のようだ。


「ならみなさん揃って魔王の配下にしちゃいますか」

「頭の悪いクソガキみたいに見られてますけど」

「ククッ、私は寧ろ歓迎するぞ?魔王の配下とは最高に楽しそうではないか」

「恋夜さんは何をするにも楽しそうでいいですね、でも私も構いませんよ」


恋夜もテュトスも意外とノリノリである。

結局頭の悪いクソガキの遊びという認識らしい。


なんにしても魔王の配下として迎え入れる事となる。

部下なんて裏切られるからいらない。


それも昔の感情であり、この人達ならいいかと。

そうしてリックへの魔王教育が始まるのである。


「さて、とりあえずリックさんは体調を万全にしなさい、教育はそれからです」

「はい、ギラさんに応えられるように」

「魔王、なんか素敵な響きなのです」

「ギラ…あなたはやっぱり…まあいいかしら」


そうしてリックが復帰した。

ギラの意志を受け継がせるべく魔王としての教育が始まる。


「それよりお腹が空きました」

「ではご飯を用意しますね」

「メーヌさんのご飯は美味しいので楽しみです」

「今夜は食べるか、たくさん用意しとくれよ」


こうして復帰早々大騒ぎとなった。

孤独だった魔王はそれにどこか安らぎを感じる。


それは世界を滅ぼす前にせめてもの楽しみを満喫しようという魔王の戯れである。

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