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再生の炎

森に入ってから三日目。

なんとか祭壇にギラ達は到達する。

その祭壇でヨモギを火竜の炎で焼く事により再生の炎は完成する。

リックを救うまでもう少しである。


「ここがその祭壇ですね」

「ここでヨモギさんを焼く事で再生の炎が…」

「怖くないの?これから焼かれるのに」

「そういう運命の下に生まれたと割り切っているとしてもな」


ヨモギの顔に迷いはない。

そうして儀式が始まる。


「では火竜を」

「ええ、出てきていいですよ」

「ようやくか、我が炎を再生の炎とするときがきたのだな」

「それでどうするんだ?」


ヨモギが祭壇の上へと登る。

そしてギラに指示を出す。


「分かりました、火竜さん、お願いします」

「うむ、炎よ、巫女を喰らえ、そしてその力を我がものとするのだ!」

「ヨモギが…」

「炎に焼かれていく…それに…」


火竜の炎がヨモギの体を焼いていく。

その体は瞬く間に灰となりその炎に喰われていく。


「これでいいんですか?」

「はい、これが再生の炎です」

「えっ?ヨモギの声?」

「どういう事なんです?」


そこには炎の化身と化したヨモギの姿があった。

再生の炎、それは巫女を炎の化身と化す事。


つまりその化身こそが再生の炎の正体なのである。

炎への転生、それこそが再生の炎という事なのだという。


「私は炎として生まれ変わった、これであなたの言う人を救えます」

「そういう事だ、驚いたか?小娘よ」

「なんか想定外でしたね」

「全くですよ、炎に転生するってなんなんですか」


メーヌもその真実には少し驚いていた。

とはいえこれでリックを救える。


やっとである、ギラはそれでも急かすような事はしない。

図書館に戻ったらきちんと救ってやる。


あのギラが誰かを助けたいと思った事。

その変化にメーヌと翠は少し嬉しくも思っていた。


今までに殺した人の血は拭えない。

それでもギラの心境にそうした変化があったのも事実なのだ。


魔王にだってなってみせる。

そう言い放った少年にギラはとても愉快な感情を抱いていた。


ならば彼を魔王にしてやろう。

ギラはそう考え、この世界が滅ぶまでその少年を教育すると決めたのだ。


「では集落に戻りますか、転送の魔法で飛ばしますね」

「あ、はい」

「よろしく頼みますっ」

「ではいくぞ」


そうして転送の魔法で一気に集落へと戻る。

その後長にその事をきちんと報告する。


今は日が落ちてしまい夜なので、集落で休むように言われる。

そんな集落の夜にこの世界に来てからの事を思い出す。


「しかしこの世界も面白いものですねぇ」

「ギラ様も変わりましたよね、あんな自堕落で無気力だったのに」

「ヒキニートのギラ様は遠い彼方ですねっ」

「ギラはそんな自堕落な生活をしていたのか、なんか意外なものだな」


恋夜もそれには関心を示す。

そうしているうちに夜が明ける。


「では行きますか」

「メーヌ、頼むわよ」

「合点でいっ」

「やっとか、実際より長く旅をしていた気分だな」


そうしてリックの眠るバドカに戻る。

長い道のりを越えたギラ達。


その想いはきっと届くと信じて図書館へと帰還する。

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