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祭壇を目指して

再生の火竜を手に入れたギラ。

次は炎となるべき巫女である。

集落でその巫女であるヨモギと出会い、その祭壇へと向かう。

だが今回もその祭壇への道は長いのだった。


「はぁ、三日も歩くとか」

「だよねぇ、流石にしんどい」

「我慢してください」

「こういう凄い奥なのは理由でもあるんですかね」


奥にある理由とは。

それはそもそも人が来る事自体滅多にないからなのだろうか。


「まず人が来る事自体ないですからね」

「だよねぇ、再生の火竜に焼かれる事自体レアケースでしょ」

「だから祭壇も森の奥に作ったと」

「なんか納得かしらね」


そうして喋りながらも森を奥へと進む。

森には小動物などはいるが不純な感じは一切感じられない。


「綺麗な空気って苦手なんですよ、なんていうかこう」

「ギラ様は綺麗っていう言葉に敏感ですよね」

「綺麗なものか苦手なんだな、珍しいものだ」

「なぜ綺麗が苦手なのでしょう」


ギラが綺麗なものを苦手な理由。

それは純粋なものが嫌いという事でもある。


何も知らない奴が嫌いだ、綺麗事を言う奴が嫌いだ。

そういった感情は確かにある。


「綺麗という奴は大体ロクでもないですよ、そんなものです」

「ギラ様…」

「綺麗は大体ロクでもない、か」

「まあ多少汚れていた方が人間らしいとは言えるからな」


恋夜の言う人間らしさ。

それは無菌室で育った人間にはないものなのか。


汚れないで育った人間が聖人君子になれるとは限らない。

結局は知識や見聞という汚れを少しでも得た人間が人間らしいと言うのか。


「結局そこを突き詰めると教育だ、無菌室で育った人間は汚れに弱いという事だな」

「つまり免疫が全くないから結果として病気になりやすい的な?」

「でも分かる気がするわ、汚れに対する耐性がないと病気になっちゃうのよね」

「耐性、つまり汚れた事がある人間は病気に強いという事ですか?」


例え話ではある。

だがそれは的を射ている話でもあるのは確かだろう。


汚れた事がないというのはその汚れに対する耐性や免疫を持たないという事。

そうすれば当然病気などになる確率は上がってしまうのだ。


「まあ私の考えでしかない、適当に受け取ってくれ」

「でも恋夜さんの言う事も分かりますよっ」

「はい、抵抗力がないというのは当然それになる確率も上がるという事です」

「あと男の人に対する免疫とかも人を狂わせやすいとは言いますね」


ギラの言う男に対する免疫。

それは男を知らない女性が道を踏み外す事になる理由でもあると言う。


「男を知らない家庭で育った女の人がストーカーになる、そういう話もあります」

「マジ?それって本当にあるんだね」

「結局は汚れというのは知識に置き換える事が出来る、知っていれば便利なものともな」

「なるほど、恋夜さんの言う事には一理ある気がしますね」


そうして喋りながら森を進んでいく。

森を進み続け日が落ち始める。


今日はこの場で結界石を使い一夜を明かす事にした。

ギラの感情は結局は自分の嫌いなものという事だ。


祭壇まであと二日歩くのである。

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