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格上の倒し方、知ってます

昨日の酒盛りから一夜明けた。

今日もギラ達はランクアップを目指し依頼を受ける事に。

バドカのギルドでギラが持ってきた依頼は少し珍しい依頼だった。

なんでも見習い騎士の訓練相手になれという依頼らしい。


「見習い騎士の訓練相手、要するに先生になれって事ですね」

「つまり体育会系ですねっ!熱くなろうぜえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

「あはは、メーヌさんが燃えてます」

「まあ訓練相手ならそんな苦労もしないさ、さっさと行くよ」


そうしてソルバードに乗り込み依頼主の下へフライアウェイ。

依頼主はカーミンスの新米騎士らしい。

バドカは中立の島であるため三国全てから依頼を受けられる。

そしてそこからなら国境を越えるのも船や空路などで容易なのだ。

ただし船にしても空路にしても厳しいチェックが入る。

そのため身分を示さなければ船も空路も使えないのである。


「それにしてもカーミンスですか、久しぶりですね」

「そうですね、ウルゲントに戻るとは」

「バドカがどの国にも属さないからこそですよね」

「そうだね、だからこそ可能にしている事も多いさ」


そうして駄弁っているうちにカーミンスに到着する。

依頼人は教会の神殿騎士団の見習い騎士だという。

ギラ達はその依頼主に会いにいく事に。


教会の神殿騎士団の宿舎に彼はいた。

新米騎士の彼は馬鹿にされたのが悔しくて強くなりたいという。


「あなたが依頼を出したロッド・アレンさんですか?」

「あなた達はもしかして依頼を受けた人ですか?」

「ああ、君を強くするために来た」


来たのが屈強な戦士などでない事に驚くアレン。

だが彼を強くするのに最適な人材がこちらにはいる。


「さて、とりあえず普段の練習メニューを見せてくれ」

「これですが」


そう言って普段の神殿騎士団のトレーニングメニューを恋夜に見せる。

それを見た恋夜は冷ややかな反応だった。


「駄目だね、こんな非科学的なトレーニングでは体を壊すだけだ」

「それならどうやって鍛えるんですか?」


その問いに恋夜はその場で新たなトレーニングメニューを紙に書き上げる。

そこに書かれていたのは科学に基づいたトレーニングメニュー。

効率よく鍛え効率よく技術を得られる科学的な練習法が書かれていた。


「えっと、これで本当に強くなれるんですか?」

「強くなれるよ、それこそこれを続ければ格上の相手も打ち負かせる」


恋夜には自信があるようだ。

それは体育会系とは真逆の練習法。

一日の食事と決まった時間だけに限定したトレーニング。

体を壊す可能性を低くした上でのトレーニング法だ。


「それじゃやってみます」

「ああ、回数は守るんだよ」


それを見ていたギラ達は恋夜の鍛え方に納得していた。

一般的に軍隊といえば体育会系が多い。

そんな根性論や精神論を真っ向から否定するのが恋夜の鍛え方だ。

ただ努力するのではなく頭を使って努力する。

努力は嘘をつかないではない、頭を使わない努力は裏切る事もあるのだ。


「恋夜さんって理系のスポーツコーチですよね」

「ええ、体が壊れないトレーニングメニューを瞬時に出してますし」

「メーヌも熱血ですけど根性論や精神論で戦いたくないですねぇ」

「恋夜さんは科学的なのですっ」


そうして恋夜のメニューを黙々とこなすアレン。

適度な休みとそれだけのトレーニングを重ねていく。


「さて、ではそのトレーニングメニューを順守したまえ、そうすれば先輩にも勝てる」

「はいっ!必ずや強くなってみせます!」


とりあえずは依頼達成だろうか。

アレンから証拠として魔法の印を依頼書に描いてもらう。

そうして恋夜はアレンにそのトレーニングを継続するように釘を刺す。

継続しなくては結果など決して出ないのだと言い聞かせるのだ。


そのままバドカに引き上げようと街を歩くギラ達。

そんなときどこかで見た覆面が教会の方に向かっていくのが見えた。


「すみません、少し外すのでソルバードで待っててもらえますか」

「別に構いませんけど…」

「あまり遅くならないでくださいね」


そうしてギラは覆面を密かに尾行する。

覆面はどうやら情報収集をしているようだ。

それに耳を澄ませるギラ。


「情報集めったって、聖女の消息は知れないんだろ、それでも探すのかね」

「聖女?そういえば以前のお祭りのときもそんな事言ってましたね…」


覆面は教会に忍び込みその聖女という存在の情報を集めているようだ。


「以前はあのキチガキに邪魔されたしな、あいつだけは許しちゃおけない」

「はぁ、私も変な人に好かれてしまいましたね」


その後も覆面は教会を調べて回る。

だがその聖女に関係する情報は得られなかったようだ。

そのまま覆面は教会を抜け出し上の奴に報告に向かった。

ギラもその聖女という存在が引っかかっていた。

恐らく教団の関係者だろう。

だが祭りのときも行方は不明のままだった。

ギラはそれを頭の片隅に留めておく事にし、そのまま覆面とは別ルートで戻る。


「遅くなりました」

「特に何もなかったんですか?」


ギラは聖女の事を一応説明する。

リックやメーヌもその事は覚えていた。

以前の祭りのときも聖女という名は何度か聞いていたからだ。

だが結局聖女という存在については当時は何も分からなかった。

一応頭の片隅に留めておく事にした方がよさそうな案件だとは一同も思う。

とりあえずはバドカに戻り依頼の報告と今後の予定の相談である。


ソルバードでバドカに戻るギラ達。

そのまま冒険者ギルドで依頼の報告を済ませる。


「おめでとうございます、シルバーランクにランクアップですよ」

「おや、それはどうも」


今回の依頼でどうやらシルバーランクにランクアップしたようだ。

最初の登録時に書いた名前なのでメーヌと翠も同時にランクアップする。

なお申請書にパーティーとして記入してあれば、全員でランクを共有出来る。

ギラは申請書の修正を依頼し、リックと恋夜を新たに同じパーティーとして登録する。

それによりリックもシルバーランクにランクアップだ。

恋夜は最初からシルバーランクとして登録される。


そうして次の予定について考える。


「次はアルセイムを少し旅しますか、アルセイムの西部とかも行ってみたいですし」

「そうですね、あと機会があればウルゲントに戻ってそっちもいろいろと」

「私はどこに行くのでも異論はないよ、面白いものに出会えればそれでいい」

「それじゃ決まりですねっ」

「はい、明日はアルセイムの西に向かいますよ」


こうして予定は決まった。

だがアルセイムを旅するというのは大地の骨との遭遇の可能性もある。

それでも目的は変わらずアルセイムの西部である。


その先の景色に何を見るのだろうか…。

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