秘宝の種類
秘宝についての調べ物を続けるギラ達。
決戦は近いため休息もしっかりと取っておく。
だが彼女を救う事は出来ないと分かっている。
それは結果の分かっている戦いなのだ。
「秘宝にも何かとあるんですね」
「あの人のは姿を変えるものと操作するものですよね」
「輪廻転生は姿を自在に変え涅槃像は江似愚魔を操るもの、ですね」
「でもこうして調べてると秘宝についても何かと出てくるもんだね」
流石はバドカの大図書館である。
この世界の情報のほとんどはここで揃うのだろう。
「にしても秘宝の種類も何かとありますね、武器のようなものまであります」
「それも丁寧に絵付きでね」
「そういう歴史書って残ってるものなんですのね」
「バドカの大図書館ってどうやってそういうのを集めてるんだろ」
ハルミの疑問も尤もだ。
これだけの資料を蓄える図書館はこの世界でもここだけ。
それも状態も比較的いいものばかり。
そんな収集能力の高さには恐れ入るものである。
「気になりますか?」
「あなたはここの司書さん?」
「ここはどうやってこんな貴重な資料を集めてるんですか」
「凄く気になりますっ」
司書、というより彼はこの図書館の館長だという。
その若い館長に少し質問をしてみる。
「まあこの図書館は僕がずっと昔に建てたものですから、あのときは若かった」
「…今でも若いのでは?」
「実はお爺ちゃんなのか?」
「でもどう見ても高くても30歳ぐらい…」
館長は長生きしているらしい。
つまり人間ではない種族という事なのだろうか。
「僕は竜族なんですよ、こんな見た目ですけど4000歳ぐらいです」
「4000歳、私の何倍ですか」
「竜族は長命だとは聞いていましたけど、まさか4000年も生きてるなんて…」
「つまりお爺ちゃんになったら10000歳ぐらいなのです?」
館長曰く老人の見た目になるには最低でも12000歳ぐらい必要らしい。
その壮絶な長生きに絶句である。
「でも面白い人に出会えましたね、そこのお嬢さん」
「私ですか?まああなたと同じようなものですからね」
「とはいえ竜族か、竜族自体は会った事もあるがその生体は詳しくない」
「でもそんな人が大図書館を建てたなんて大層な話よね」
館長もその知識を人々に与えたいという思いがあったらしい。
そこで思い立ったのが図書館という形だという。
書物に記録し世界中からその資料を集める。
それを図書館という形で提供する事で知識を分け与える。
そんな思いから思い立ったが吉日だったという。
この図書館を建設し人々に知識を与えてきたのだ。
「僕と話がしたいなら三階にある館長室に来てください、いつでも相手になりますよ」
「ええ、では暇があれば」
「お仕事もしっかり頼みますね」
「いろいろと訊きたい事は多いからな」
そうして館長は館長室に戻っていった。
ここでの思わぬ出会い。
それは知識に魅了された竜の賢者。
彼の知識はそれこそ本としてこの図書館で誰でも得られる。
歴史を知り知識を求めた青年はその夢を叶えこの島にその図書館を作り上げたのである。