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秘宝の壊し方

ヴリトラから魔法を奪う事には成功した。

そんな中ギラ達は少し気になる事があった。

それは秘宝を破壊する方法だ。

特殊な鉱石という事は普通に壊せないはずだろうと。


「ふむ、やはり簡単には壊せないようですよ」

「あの鉱石は特殊な振動を与えないと壊せない、か」

「その振動ってどうやって起こすんです?」

「えっと、魔法の持つ魔力を秘宝に直接ぶつけるってありますよ」


魔法の持つ魔力、つまり秘宝にダイレクトに魔法を当てろという事か。

だがそれには当然の事ながら強力な魔法が必要となる。


「そんな強力な魔法…そうだ、あれなら」

「私も同じ考えです、以前教えたあの魔法ですね」

「なんだい、ギラがリックに魔法なんか教えてたのか」

「あのギラ様が誰かに何かを教えるなんて珍しいというか」


それは以前教えたあの憎愛の魔法である。

あれはギラが編み出した最高位の魔法。


あれほどの威力のものをぶつければ秘宝は破壊出来る。

彼女との戦いでも江似愚魔を破壊し、彼女自身も止められる。


だが彼女の持つ輪廻転生を破壊していいものなのか。

それにより彼女が狂ってしまう恐れもある。


止める事は出来るだろうが救う事は出来ないだろう。

それは彼女が輪廻転生を使い続けた代償なのだから。


「結局あの女を救うってのは出来ないのかね」

「難しいと思いますよ、本来の姿を忘れそれに戻したら精神崩壊を起こしかねません」

「つまり例え勝利出来たとしても彼女を救う手立てはない、と」

「そんなのってないんじゃない」


ハルミは不満げだ。

とはいえ彼女を正しい姿に戻す事は正しいのかとギラは思う。


真実は時として人の心を破壊する。

知らない方が幸せな事が世の中にはあるのだ。


「私だって真実なんか…」

「ギラさん?」

「過去に何かあったって事か」

「ギラ様はそういうのには敏感なんですよ」


だがギラはこの世界に来て少しずつ変わっていった。

冷酷さを残しつつも誰かを見ていたいという気持ち。


最初は案内役のつもりで雇ったリック。

それが気づいたらどこか放っておけない存在になっていた。


自分の事を知っても恐れもせずに受け入れてくれた少年。

魔王になるというのなら喜んでなるとまで言ったその心意気。


この世界は100年後ぐらいには滅びる。

ギラはそう時限爆弾を残してある。


その肝の据わった少年に魔王の影を見た。

彼にいつか自分の意志を継がせるかとも考える程度には。


「なんにしても秘宝を破壊する事は出来そうですね」

「ええ、それは僕がやってみせますよ」

「おや、頼もしいねぇ」

「ならリックさんを信じますわよ」


仲間達にも恵まれた。

孤独だった魔王はこの世界で暖かい何かを感じていた。


この先ももっとこの人達と旅をしたい。

そんな気持ちは確かにあった。


「なんにしても決戦は近いって事か」

「ですね、もう少し調べ物をしたら決戦です」

「秘宝、世の中には知らぬ事も多いな」

「ええ、とても勉強になりますわ」


そうして秘宝についての調べ物は続く。

この世界はとても楽しい、ギラのそんな変化は出会いの賜物か。


彼女との戦いはそう遠くない日にリベンジをかける。

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