忘失の記憶
あの異形と秘宝について調べるべくバドカに再び移動したギラ達。
そこで大図書館へ移動しあの秘宝について調べる。
そこに書いてあった答えはシンプルであり残酷なもの。
その答えにギラ達は何を思うのか。
「さて、あの秘宝についてですが」
「えっと、輪廻転生ですよね」
「それと異形を操れるものですよ」
「だとしたら…」
それについての記述があるページを探す。
するとそれらしきページを発見する。
「お、こいつじゃないかね」
「えっと、魔具涅槃像…異形である江似愚魔を操る事の出来る秘宝…」
「江似愚魔ってヤンキーっぽいですっ」
「誰ですかね、名前考えたの」
それはそれとして記述を見る。
そこに書いてあった答えはシンプルなものだった。
「秘宝を破壊すれば江似愚魔は自壊する、なんだ、簡単な事か」
「問題はどうやって壊すかですよ」
「あの女が所持してるのは確定でしょうからね」
「それと輪廻転生の方は何かないのかしら」
輪廻転生の方についても調べる。
だがそれは悲しい副作用だった。
「輪廻転生、姿を変えるたびにその記憶が失われる…」
「そんな…そんな事って…」
「つまりあの人は自分の本当の姿が分からなくなっているという事ですの?」
「そうなるよね、戦いでも普通に姿を変えてたわけでしょ?」
輪廻転生、それは姿を変えられる一方で姿を変えるたびに記憶が消える。
戦いで普通に彼女は姿を変えていた。
それはつまり彼女に本来の姿の記憶がすでに存在しない事を意味する。
彼女の本来の姿、それは少女か、成人女性か、はたまた老婆なのか。
「輪廻転生を破壊すれば真の姿に戻れる、とは書いてあるね」
「でも破壊したところで彼女はそれに耐えられますの?」
「下手したら耐えられずに精神崩壊を引き起こすだろうな」
「そんな…完全に手詰まりなんじゃ…」
精霊の力で何か出来ないかと問いかける。
だが精霊でも人の記憶を操作するような事は出来ないそうだ。
「我輩ならあの女が秘宝を手にする前に戻るぐらいは出来るぞ、おすすめはせんがな」
「そうですね、最終手段って事にしておきます」
「それにしてもそんな副作用があったとはな、悲しいものだ」
「もうあの人は自分の本来の姿なんて忘れちゃってるんでしょうね」
彼女を救う事は出来ないという結論に至る。
恐らく秘宝を破壊したところで彼女の精神がそれに耐えられない。
ならばどうするべきか。
とりあえず彼女を打倒する事は決めた。
問題は倒したあとにどうするかである。
耐えられるのかという事が前提にあるからだ。
それでもやるのだという決意を固めるギラ達。
それはそうと少し気になる事もあるので、彼女の前にそちらに行く事にした。
「さて、少し気になる事もあるのでそっちに行きますよ」
「分かりました、では行きましょう」
「救えない、そのもどかしさ…」
「耐えられない、そんなのって…」
もどかしさを感じるリックとハルミ。
それは年相応の悔しさなのだろう。
だがそれでも彼女を倒すべくそのヒントを探しにいく。
それは秘宝を生み出した職人の姿を追いかけるという事である。