虚ろな秘宝
天人と大地の骨の事は大体が落ち着いた。
クプルフの復讐は終わり、彼女は山に帰っていった。
そんな中ギラ達は一つの噂話を耳にする。
それはとある秘宝についてだった。
「この噂話本当なんですかね」
「秘宝ですよね、胡散臭いような」
「えっと、姿を自由に変えられる秘宝?」
「そんなのがあるんだね」
目についたので、それについて調べるべくバドカへと来ている。
ここの大図書館にならそれに関係する情報もあるかと思ってだ。
「歴史上における秘宝、これですね」
「記述はあるんですの?」
「姿を自由に変えるってエレネみたいなのです?」
「どうなのかしら、何か書いてある?」
秘宝についての記述を調べていくと姿を自由に変えられる秘宝は複数ヒットする。
どれになるのかと見ていく。
「濃厚なのはこれですかね魔具輪廻転生というやつです」
「輪廻転生、また大層な名前の秘宝だな」
「で、どこにあるっていうのさ」
「えっと、今から500年前に持ち主である家の当主がそのまま行方不明、です」
つまりそれが今になって発見された?
どうにもきな臭い話である。
本を読み進めるとその秘宝は寿命を伸ばすような効果はないらしい。
つまりその行方不明になった当主が子孫を残していたという事になる。
今回の噂話は何者かがその子孫に会ったという事になる。
それを知ったという冒険者の人に話を聞けないかとコンタクトを取る事にした。
冒険者ギルドに確認を取ると、その冒険者は今カーミンスにいるらしい。
そのままカーミンスへと飛ぶ。
そこで宿にいるその冒険者に接触する。
そしてその話を聞いてみる。
「秘宝の話?ああ、あれはオルバインに行ったときだ、奇妙な廃館を見つけてな」
「奇妙な廃館?」
「そこに秘宝があったんですか?」
「もう少し詳しく頼む」
話ではその廃館に少し入ってみたという。
すると突然明らかに勝てる気がしない謎の異形に襲われたらしい。
それを操っていたのは年端もいかない少女だったそうだ。
そして見た、その少女が突然成人女性になり、さらには老婆になるのを。
以前から秘宝などについては調べていて、これはその一つではと思ったらしい。
そこで確信がないため噂話として冒険者ギルドに流したらしい。
「外見が変わる、つまり見た目の年齢を自在に変えられる秘宝ですか」
「ああ、ただ人格も変わってたからそういう事なんだろうな」
「それが今になって、か」
「場所を教えていただけますか」
冒険者からその廃館の場所を聞く。
場所はオルバインの少し郊外にある雑木林の中。
そこにある朽ち果てた屋敷がそれらしい。
そして気をつけろと言われる、あの異形は並の魔物よりはるかに強いと。
「情報感謝します、一応行ってみますね」
「ああ、ただ気をつけろ、あの女は確実に狂気の存在だ」
「それでもそれを生で見るさ」
「感謝しますわ」
そうしてギラ達はオルバインへと飛ぶ。
その屋敷にあるものは何なのか。
姿を自在に変えられる秘宝、魔具輪廻転生。
そこにあるものに何を見るのか。
狂気と悲しみの秘宝が踏み入るものを追い払う。