復讐の終わり
クプルフの復讐を手伝ってから大分経過した。
そんなその日レンゲンに関する噂話が飛び込む。
どうやら国の税金を使い込み軍を追放されたらしい。
これが物欲を利用したクプルフなりの復讐なのである。
「やあ、久しぶり」
「おや、ブルクハルトさん」
「その様子だとやったのね」
「クプルフさんの復讐としてレンゲンさんを不幸のどん底に」
ブルクハルト曰く徹底的に金を使わせてやったという。
そして自身が破産してもなおモノを勧め続け、結果税金に手を出し追放である。
「うむ、私には見えないがそこにいる彼女に頼まれた通りにはやったつもりだよ」
「ありがとね、でも最後の仕事があるわ」
「最後の不幸はその身を以て、ですか」
「レンゲンは今どこにいるの」
ブルクハルトの話では軍を追放されて以降浮浪者になったらしい。
金を使いすぎた余りモノだけが残り現金はほぼ残っていないという。
そのままミリストスの裏通りで落ちぶれているとそうだ。
あとはどうするかは任せるとブルクハルトは言う。
「一応私は言われた通りにしたよ、ここからは君達が好きにしていい」
「分かりました、お手数をかけましたね」
「いろいろすみませんでしたわ」
「また機会があれば何か頼むよ」
そうしてブルクハルトは去っていった。
そのままギラ達はミリストスのレンゲンに会いにいく。
ミリストスの裏通り、そこは浮浪者達が集まる場所でもある。
特定の住居を持たない言わばホームレス達のたまり場だ。
「ちくしょぉ、なぜワシが…」
「見つけたわよ」
「あなたがレンゲンさんですね」
「少し話がある、来てくれるか」
だがレンゲンは当然疑う。
そしてここは任せろとギラとクプルフだけで彼を連れていく。
「小娘、貴様何をする!」
「ある人に頼まれましてね、あなたの首を取ってこいと」
「ギラに任せるわ」
レンゲンはその言葉に青ざめる。
そして開き直る。
「ワシが何をした!何の恨みがある!これ以上の不幸で死ねというのか!」
「あなたは私の大切な人を殺した、それだけで理由としては充分よ」
「過去に何をしたか覚えてないならそれもいいです、ではもういいですね?」
レンゲンがその場から逃げようとする。
だがギラから逃げられるわけもなく。
逃げようとするレンゲンの首が飛ぶ。
悲鳴すら上げる間もなくその場に崩れ落ちる。
これで復讐は終わり。
クプルフのねちっこい不幸というどん底の復讐は終わりを告げる。
「さて、それじゃ私はそろそろお別れね、今まで楽しかったわ」
「ええ、こちらも面白いものが見れました」
「天人と人間の面白い関係ですね」
「たまには遊びにいってやるさ、元気でやりなよ」
そうしてクプルフは山に帰っていった。
ギラ達も改めて冒険者稼業を再開する事となる。
そんな中ギラ達はとある古代の秘宝の話を耳にする。
それは姿を自由に変えられるという不思議なもの。
少し面白そうなのでその秘宝の話に乗っかってみる事に。
姿を自由に変えられる、それはどういう事なのか。
秘宝にまつわる悲しい話があるという事を今は知らないのである。