海賊の秘宝
クプルフの復讐はまだ終わりそうになく、暇を潰すギラ達。
そんな中またしても面白そうな噂話を聞く。
それは大昔の海賊が残したという秘宝の話。
どうせ胡散臭いと思いつつも、その噂話に乗っかるのである。
「海賊の秘宝ですか」
「そんなの本当にあるんでしょうか」
「唐突に湧く噂話のテンプレですね」
「でもロマンはあるよね」
胡散臭いとは一同は思っている。
それでも他の冒険者達もそれを探しているなら便乗してやるのだ。
「でもその秘宝ってどこにあるんですか」
「うーん、冒険者ギルドの情報だと今飛んでる場所辺りでは?」
「一応着陸してみるかね」
「何があるとも思えんが、まあ良いさ」
そうしてその場に着陸する。
そこは何の変哲もない海岸だ。
本当にこんな場所に宝があるのか?
少し周囲を手分けして調べてみる。
すると砂の中に何かがあるのを見つける。
そこを掘り返してみると古ぼけた木箱が出てきた。
一応その木箱を開けてみる。
中に入っていたのは古ぼけたドレスと手紙だった。
「こんなボロボロのドレスが秘宝?そっちの手紙にはなんて書いてある」
「えっと、我が最高の仲間達、そして最愛の妻こそが我が栄光の宝なり…」
「つまり海賊の秘宝は金銀財宝じゃなくて仲間と奥さん?」
「この文面から察するにそうなるな」
なんか拍子抜けである。
手紙には続きがあった、そこに書かれていたのは今までに手に入れた宝の在り処。
地図もありその地図に記された場所に宝があるらしい。
とはいえギラ達はそれには特に興味もなく。
「この宝は早い者勝ちにしちゃいますか」
「つまり?」
「冒険者ギルドに持ち込んでのお宝争奪戦さ」
「楽しそうですわね」
そうしてドレスは一応回収し資料館にでも持ち込む事に。
一方の地図はドラジールの冒険者ギルドに持ち込む事に。
「ほ、本当にいいんですか?これ」
「ええ、勝手に冒険者のみなさんで争奪戦でもしてください」
「お前ら!ここに宝の地図がある!争奪戦だ!早い者勝ちだぞ!」
「これでよかったのよね」
そうして地図に冒険者達が群がる。
とはいえ事前に地図を見ているギラ達はその場所の難しさを知っていた。
ソルバードでの着陸が難しい場所だから諦めたとは内緒である。
冒険者達はその場所が厳しい場所だと知りつつもお宝目指して飛び出していった。
「よう、あんた達も粋な真似するじゃねぇの」
「あ、確かダンさん、久しぶりです」
「あんたは行かないのかね」
「お宝とか興味ナッスィンですかっ」
ダンも地図を見たが記された場所に行く労力を考えたらスルーでいいという。
もっと堅実に別のお宝でも探すと言っていた。
「ま、そんなわけだ、あんたにはどんどん抜かされてるが俺のライバル、忘れんな」
「勝手に言っててください」
「うふふ、素敵です」
「困った人ですわ」
そうしてダンは去っていった。
地図に記された場所は確かに厳しい土地が多い。
まあやりたい人には好きにやらせるべしである。
ギラ達は次の依頼を適当に受理してそれに向かう。
いつの時代も世界でも宝とはロマンであり冒険なのである。