小人の村
クプルフの復讐についてはまだ時間はかかりそうである。
そんな事もありギラ達は冒険者ギルドのこなしていく。
そんな中またしても面白そうな噂を聞いた。
それはある森で小人を見たというものだった。
「この森で小人を見たんですよね」
「小人って、そんなのお伽話だろうに」
「でも面白そうですよ」
「本当にそんなのがいるのか?興味はあるが」
噂は噂だ、疑うのも無理はない。
だが面白そうな話題には食いつくのがギラである。
「行ってみるのみですよね」
「メーヌはどこでもお供しますよ」
「同じくですっ」
「僕も…」
まあそんなこんなでその森を進んでみる。
しかし何もない、と思った矢先何かが聞こえる。
「こら!危ないだろ!」
「ん?何か聞こえません?」
「空耳ではありませんの?」
「もしかして…」
その声がしたのは足元から。
下を見てみるとそこにはとても小さな生き物がいた。
「これが噂の小人ですかね」
「小人じゃない!コロボックルだ!」
「…踏み潰しそうなんですが」
「流石にそれはやめてあげなさい」
とはいえサイズが違いすぎるためまともに話すのは困難だ。
そんな中アルテミスが出てくる。
「なら私に任せて、小さくなーれ」
「へっ?うわわわ」
「体が小さく…」
「アルテミス!ちゃんと元に戻しとくれよ!」
アルテミスの魔法で小さくなるギラ達。
これで背丈は同じにはなったが。
「お前らすげーなー」
「小さくなると森の景色が違いますねぇ」
「同じ背丈になると分かりますけど、大きいじゃないですか」
「というか私まで小さくなってしまうのか」
コロボックルはそれを見て楽しそうにしている。
そして話によればこの近くに村があるらしい。
コロボックルの村にせっかくだからと案内される。
ギラ達もせっかくなのでお邪魔する事に。
「ここが俺達の村だぜ」
「はぁ、本当にコロボックルの村ですよ」
「実に興味深いな、しばらく研究したい」
「恋夜さんは相変わらずですね」
なんにしても本当に小人、コロボックルの村があった。
普段はその大きさから見つかる事もなかったのだろう。
世界は広いものだと改めて思う。
恋夜は小さくなってもその好奇心は変わらないままのようだ。
「おや、人間がこんな村に来るとは、ワシは長老をしているものです」
「あ、どうも」
「にしても見つからない理由が分かったよ」
「そうだね、というか私達も小さくなる経験は初めてだもん」
長老はコロボックルについても話してくれた。
この森に昔から住んでいるが、このサイズ故に人に見つかる事はなかったらしい。
ギラ達もなんとなく納得してしまう。
小さいとは何かと便利なものである。
「なんにしてもここの事は黙っておきますよ」
「おや、どうも」
「誰かに見つかってもあれですね、さっさと失礼します」
「邪魔したね」
そうして村をあとにする。
村を出たあとはアルテミスに元に戻してもらう。
コロボックルだけでなく小さくなるという経験までしてしまった。
だがそれはそれで面白かったので満足げである。
たまに舞い込む噂話は乗っかるのがギラの流儀である。