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不思議の泉

クプルフの復讐に付き合い始めて大分経過した。

だが結果が出るにはまだ時間がかかりそうだ。

その間もギラ達は冒険者ギルドの依頼を着々とこなす。

そんな中面白い噂話を聞いたので、その噂を確かめにきていた。


「不思議の泉って噂でしたけど」

「胡散臭いですね、まあ面白そうですけど」

「どっちよ」

「それでその不思議の泉とはこの森の奥にあるそうだな」


なんでも不思議な泉が森の奥にあるらしい。

冒険者の一人がそれを見つけたとの事だが。


「なんか泉に剣を投げたら立派になって返ってきたらしいですっ」

「それなんて金の斧銀の斧…」

「まあ私達も試してみます?」

「泉に投げた剣が立派になるって、どんなからくりなんですの?」


そうしているうちに泉があると言われる場所に到着する。

滝があるようで、その裏らしい。


滝の裏へ回ってみると確かに小規模な洞窟がある。

そしてその中には明らかに何かあると思われる泉もあった。


「この泉かしら?リック、杖を投げてみなさい」

「僕ですか!?」

「いや、それ希少な金属の杖だろう、そんなもの投げなくてもいいだろうさ」

「なら何を投げるんです?」


聞いた話では剣が立派になったとの事。

とはいえこのメンツが使っている武器はどれも貴重なものだ。


その辺の石を投げ入れるわけにもいかない。

では何を投げるのか。


そういえばと先日依頼で手に入れた魔道書の事を思い出す。

リックは習得済みなので、それを投げ入れてみる事にした。


「ではこの辞書並みに分厚い魔道書を」

「カドに頭ぶつけて泉の妖精が悶絶しそうですね」

「豆腐の角に頭ぶつけて死ねですねっ」

「意味分かんないけど、とりあえず投げてみたら?」


そうしてその辞書並みに分厚い魔道書を泉に放り込む。

魔道書はそのまま泉に沈んでいった。


何も起きないと思っていたそのとき。

泉から何かが出てくる。


「ま た で す か」

「…なんか怒ってます?」

「ご立腹ですね」

「えっと、ご免なさい?」


泉の妖精と思われる彼女は何やらご立腹だ。

そして開口一番。


「こっちだってボランティアじゃないんてすよ、これ差し上げますから、帰れ」

「…上位の魔道書ですね」

「というか相当ご立腹だったな」

「先日の冒険者の他にも来てたんですかね」


なんかさっさと本を突き返され泉の妖精と思われるそれは帰ってしまった。

イメージが音を立てて崩壊していくその姿に苦笑いしかない。


「あの妖精と思われる人、なんか凄い怒ってましたねぇ」

「多分大勢来たんでしょ、そのせいでイライラしてたんじゃない」

「泉の妖精がそれでいいのかしら」

「噂は本当だったけど、イメージが音を立てて崩壊していくね」


ハルミの言う事も尤もである。

本来は温厚だと思われるその彼女が、あんな汚い言葉を吐き捨てるという。


「帰りますか」

「一応魔道書はいいものになったしな」

「困ったものですわね」

「そっとしておいてあげますか」


そうして泉をあとにする。

もうそっとしておいてあげよう。


あの態度を見たらそう思った。

泉の妖精も大変だなと、複雑な気持ちになった。


噂話には今後も首を突っ込むつもりではある。

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