懐かしの老人
大地の骨の件はほぼ全てが片付いた。
あとはクプルフの復讐に付き合うわけだが、時間は必要だ。
なので効果が出るまでは冒険者ギルドの依頼を片付ける事に。
この仕事も久しく当然無理難題を片付けるのである。
「本当にこれをやるのか?」
「当然です、さっさと受理してください」
「燃えるぜぇ!」
「結局変わってませんわね、この人達は」
そうしてその依頼を強引に受理する。
今回の討伐対象はとても強いゴールドドラゴンの討伐である。
「ほら、死ぬなよ」
「はい、では行きますよ」
「ヒャッハー!燃えるぜぇ!」
「メーヌさんも久しぶりだからなのか、テンションがおかしい」
そうして目的地に移動しサクッとゴールドドラゴンを片付ける。
冒険者ギルドに戻るとその場にいた冒険者達は相変わらず驚いていた。
「報酬もたんまりですね、少しは贅沢が出来そうです」
「おや?あの人…」
「知り合いなの?」
「はい、以前何度か」
するとその老人がこちらに気づく。
「おや、あなた達は、お久しぶりです」
「久しぶりだな、ズーバー殿」
「えっと、お久しぶりです」
「凄い人なのなんだよね、多分」
その老人はジョン・ズーバー。
リックに目をかけていたあの老人だ。
「その様子だと随分と成長なされたようですね、リックさん」
「あはは、まあ何かとありましたからね」
「リックさんがお気に入りのようですね」
「みたいですわ」
アルテミスが突然その姿を現し茶化してくる。
それを見たズーバーは想像以上の成長に驚きを隠せなかった。
「まさか、精霊ですか?私ですら叶わなかった精霊を従えたと」
「えっと、従えたというか、勝手についてきちゃって」
「大体ギラ様が悪いんですっ」
「それには同意するわね」
ズーバーはもはや言う事はないという顔をしている。
そして改めてあのときの魔道書を受け取って欲しいと言う。
「僕に使えるかは分かりません、でもあなたが死ぬ前に本だけは受け取ります」
「それはどうも、ではこれを」
「あのズーバーが書いた魔道書か、どんな魔法なのやら」
「このお爺ちゃんそんな凄い人なんだね」
なんにしても約束は果たされたようだ。
ズーバーも嬉しそうな目をしている。
「さて、では私は余生を満喫しますよ、リックさん、あなたのこれからに期待していますね」
「は、はい!」
「あの人そんなに凄い人でしたのね」
「凄い人ってオーラまで隠せちゃうものなのかな」
とりあえずはリックとズーバーの約束は果たされた。
だがその魔法をリックが使えるかは今は別の問題だ。
「そうだ、精霊で思い出しましたけど、以前エルフの森に行ったときの」
「そういえばいましたね、スルスっていう」
「それもリックさんについてきてくれないか行ってみませんか?」
「なに?精霊ってまだいたのね」
スルス、以前の予見をもらった精霊。
物は試しと、その森へ再び赴く事に。
「私の復讐の事も忘れないでね」
「時間は必要ですからね、では行きますか」
そうして久しぶりにエルフの森へ。
あのときの精霊スルス、今なら従えられるか。
クプルフの復讐は持久戦である。