風を探せ
クプルフがしばらくついてくる事になった。
とりあえずは本来の目的である例の風の天人について調べる事に。
何か情報がないかとギラ達は冒険者ギルドを久しく訪れる。
そこで不自然な風について尋ねてみた。
「不自然な風の情報?そんなのあったかね」
「些細な事でもいいんです」
「少し調べ物をしていまして」
「何かないですか?」
するとギルドマスターはそれらしき情報を出してくれる。
その場所は国境付近の例の森だった。
「でも人を襲ってるような風の情報じゃないぜ?」
「いえ、それで充分です」
「とりあえず見せてもらえますか」
「少し気になるのでな」
そうしてその情報に目を通す。
やはり国境付近の森に違和感のある風が吹いているらしい。
あの場所は国境を不法に越えられる場所。
そして大地の骨のアジトがあった場所だ。
奴らは村を捨てその場所をアジトにした。
風の天人もそのままついてきたのだろう。
会えるという確証はないものの、その森へと向かう。
大地の骨と風の天人、その関係とは。
「ここですね」
「うーん、風は今は何も変わりはないよ?」
「イズナさんがそう言うのなら…」
「やっぱりハズレですか」
それからしばらくしても風に変化は起きない。
ハズレかと思っていたそのときだった。
「風の流れが変わった!向こうだ!」
「行きましょう」
「うん、やっとご対面かな」
「風の天人…ね」
その方向へと向かうギラ達。
そこには髪の毛で顔が見えない天人が立っていた。
「久しぶりね」
「クプルフ、てめぇそいつらについたのか」
「あなたが大地の骨を狂わせたという風の天人ですか」
「…僕達はあなたに訊きたい事があるんですよ」
その風の天人は話だけは聞いてくれた。
彼自身も終わりを望んでいたという事も話してくれた。
「俺の我儘で村も自警団も全部ああなった、寧ろそこのガキには感謝してる」
「終わりを望んだ結果、ですか」
「敵対する意思はないんですの?」
「それだけは聞いておきたい」
彼は敵対する意思はないと示し抵抗する素振りは見せない。
その後彼からその話を詳しく聞いた。
そして彼は今後自由気ままに生きていくと。
贖罪にはならなくとも彼らの墓を守っていくそうだ。
「とはいえ天人は基本的に人間を見下してる、お前らも深く関わらない方がいい」
「そうですね、喧嘩を売られたのなら爆発四散させるまでですが」
「ギラ様は相変わらず過激ですねっ」
「なんにしても行くのね、なら私に止める理由はないわ」
そうしてその風の天人は静かにその場を去っていった。
クプルフはそんな彼の背中に天人としての悲しさを感じたのだろう。
「さて、骨の事は大体片付きましたか」
「クプルフさんの件が片付いたらまた冒険ですね」
「いろいろ面倒に巻き込まれたからねぇ」
「私は冒険はいいわ、片付いたら山に戻るから」
こうして大地の骨の一件はほぼ全てが片付いた。
最初に襲われたときから今まで手を焼いてしまったものだ。
あとはクプルフの復讐を片付ける。
そして改めて自由気ままな冒険の日々に戻るのである。




