美味しいお肉
ブルクハルトの攻撃の効果が出るまでは暇なギラ達。
なのでクプルフの暇潰しに付き合わされる事になった。
美味しいに魚と果物を堪能し、次は肉だという。
その獣を狩るべく別の森へと来ていた。
「この森にその獣が出るんですか」
「そうよ、黒い鹿みたいな獣がそれ」
「では探してみましょうか」
「狩りなんてやった事ないけど、まあ仕留めりゃいいのかね」
そうして黒い鹿みたいな獣を探す。
クプルフの話では串焼きにするととても美味しいらしい。
「うーん、獣なら音ぐらい拾えるんですけどね」
「なんにしても相手も警戒してんだろうさ」
「そういう事だ、今回は野生の獣が相手だからな」
「狩りの経験はありますけど、あれは趣味でしたし」
ペトラらしい経験である。
貴族はその趣味として狩りをする事もある。
ギラは典型的な貴族様だなと思っていた。
そんなこんなしているうちにメーヌがその気配を捉える。
「近くにいますよ」
「少し散りな、相手の警戒を緩めるんだ」
「了解ですわ」
「さて、出てきなさいよ」
そうして各自散って様子を窺う。
すると目的の獣が姿を見せる。
そこにメーヌとソウの暗器が突き刺さる。
相手を弱らせる毒が塗られた武器、獣は少しずつ弱りその場に倒れる。
「やったか?」
「いえ、まだ生きてますね」
「食すなら確実に息の根を止めないとなりません、ふっ!」
「ギラさんって容赦ありませんわよね」
とりあえず獣は仕留めた。
あとはメーヌに解体を任せる。
そして肉を捌き調理を始める。
近くに清流もあったので肉は丁寧に洗い血を流す。
メーヌのこういう知識はメイドロボだからこそである。
そうこうしているうちに準備も終わり、肉を焼く。
「焼けましたよ」
「どうもね」
「では食べるとしますか」
「だね、狩りなんて初めてだよ」
肉を食すギラ達。
その獣の肉は適度に脂が乗っていてとても美味しい。
そしてそれと同時に軟骨のようなコリコリ感もあり実に美味しい。
一般的に出回る肉とは違った美味しさである。
「こういうのもいいものですね」
「それで、次は何をするんですか?」
「分かってるわね、次は少し花を探しに行きたいの」
「花?なんでまた」
彼女はどうやら定期的にあの村の墓に花を供えていたらしい。
復讐、それはクプルフの言うあの子のためなのだと改めて思う。
「分かりました、なら付き合いますよ」
「どうもね、今までは一人で行きにくかったけど、あの花はあの子が好きなものなの」
「珍しい花なのかね」
「私は花には詳しくないんだけど」
なんにしても次の目的は花探し。
そしてあの村の墓にそれを供えるという。
天人が人間の墓に花を供える。
その姿に精霊達は驚きを隠せない様子だった。
「でも天人が人間とそこまで親密なのも意外というか」
「あら、悪い?」
「なんにしても気持ちは汲むさ、きちんと見つけるよ」
「クプルフさんの大切な人のために、ですね」
そうして肉を食し終える。
そろそろ日暮れなので近くの街で一夜を明かす。
明日は花探し、クプルフの大切な人に供える花を探す。
天人と人間の意外な一面にギラもその興味をそそられていた。