悪事への加担
天人であるクプルフの復讐に協力する事になったギラ達。
本人曰くじわじわと苦しめて不幸にしたいとの事。
なので精神的な攻撃を実行する事にした。
それが出来そうという事もあり、ブルクハルトを探していた。
「情報ではここにいるはずなんですが」
「ゾルゾーラですか、久しいですね」
「まあ異世界に飛ばされたりなんだりあったからな」
「冒険というよりなんかこうもっと大規模な」
そうしているうちに酒場に到着する。
ブルクハルトは商談のあとに決まって一杯飲むらしい。
「本当にいましたよ」
「ブルクハルト、少しいいか」
「おや、君達は久しぶりだね、元気にしていたかな」
「少しお願いがあるのだけど」
ブルクハルトが少し驚く。
リックの親の敵でもある自分に話があるというからだ。
「一応話は聞こうか、ここでは話しにくいなら外に行くよ」
「分かりました」
そうしてブルクハルトは代金をテーブルに置いて外へ出る。
ギラ達もそれについていく。
「アルセイムのレンゲンという軍人を存じてますか」
「レンゲン?もちろんさ、彼は貴重なリピーターだよ」
「無理を承知で言います、そいつを精神的に追い詰めたいんです」
「少し理由がありましてっ」
ブルクハルトはそれについて話だけは聞かせろと言う。
「ふむ、つまりある人の復讐でレンゲンを不幸にしてやりたい、という事だね」
「ええ、リピーターを失わせるのはあれですけど」
「なんとかなりません?」
それに対してブルクハルトも返事はその場でくれた。
「別に構わないよ、リピーターではあるが毎回値切られて少しイラッとしていたしね」
「物分りがいいね」
ブルクハルトも商売をする以上少しでも金払いのいい客が欲しいらしい。
値切りの常習者のレンゲンにはうんざりしているそうだ。
「では少し嫌がらせから始めて、徐々に包囲していけばいいかな?」
「そんな事が出来るのか?」
ブルクハルトはこう見えてコネクションは豊富に持っている。
商工会には属さないものの、知り合いの商人は多いらしい。
「話は簡単だ、彼へ売りつけるものを少しずつ劣悪にしていく」
「つまり粗悪品を高値で売りつける、とでも?」
ブルクハルト曰くレンゲンは物の価値など分かっていないという。
なので粗悪な品を良質だと偽れば簡単に騙せるはずだという。
そしてそれを合法的に実行する手段もあるらしい。
要するに合法なぼったくりの手段を持っているという事だ。
その楽しそうな笑みを見てリックは改めてブルクハルトは性根は悪人だと思っていた。
とりあえずそれについては任せて欲しいと言う。
他にやって欲しい事があれば聞くと言うが、今はそれだけにした。
そうしてブルクハルトはそれを実行すべく動き始めた。
「あいつ楽しそうにしてたわね」
「やっぱり性根は腐ってますよ、あいつ」
「でもこういうときは頼りになるものですね」
「人脈の力って恐ろしいものですわ」
そうしてとりあえずはブルクハルトに任せる事に。
ギラ達も他に出来る事がないか考える。
クプルフはやはり天人なのか、その陰湿さに定評があるようだった。