金色の少年
霊感を鍛えるべく精霊巡りを続けるギラ達。
残すは金の精霊のアウラのみとなった。
天人は本当に見えるのか、見えたとき骨の過去には近づけるのか。
そしてギラは天人に喧嘩を売りにいくのだろうか。
「ここですね」
「なんか綺麗ですね」
「今は季節じゃないのにこんなに黄色い葉っぱが…」
「まさに黄金の森ね」
その場所は一年中黄色い葉がつく不思議な森。
場所は知られているが人が来る事は滅多にない場所らしい。
「それでここに金の精霊のアウラが?」
「そうみたいです、本当に出るかはともかく」
「まあ行ってみればいいさ、それからでもな」
「恋夜は精霊を見られて本当に嬉しそうにしてるよね」
リックは精霊に勝手に宿主にされ、恋夜はそれに興味津々だ。
この二人は知識欲が深いからこそそれを理解しているのかもしれない。
「それにしても天人に喧嘩を売ろうとは恐れ知らずな小娘じゃ」
「クロノスさんは天人の事を存じているんですか」
「精霊はそもそも死の概念がないらしいからね」
「そういうものなのか」
クロノスも天人の事は存じているらしい。
ちなみに年齢の概念はないが、最年長はクロノスらしい。
「最年長がクロノスだとしたら最年少は誰なのさ」
「私ですね、まあ見た目ではあれですけど」
「フードゥルさんが最年少なんですのね」
「とはいえ年齢の概念はないからな、この世界に生まれた時間で計るしかない」
精霊には年齢の概念はない。
外見はこの世界に合わせた姿を取っているに過ぎないらしい。
「この辺らしいですが」
「あれ、こんなところに人が来るなんて珍しい事もあるね」
「この声は…」
「いるんだろう」
そこに現れたのは黄金色の衣をまとう少年だった。
「僕に何か用かな?見えてるんだよね、力でも欲しいの?」
「あー、力なら間に合ってます、それと見えたからには天人は見えるんですかね」
「相変わらずですね」
「まあそれがギラだし」
するとアウラはそれに気づく。
「あれ、みんなは人間についたの?彼女が言うように天人にカチコミかな?」
「まあ、なんだ、なめられたままでは終われないのじゃよ」
「それでこの少年を選び勝手に力をな」
「そういうわけでして…」
アウラはそれに対しとても興味を示す。
「ふむ、力を欲しがるよりずっと面白そうだ、僕も勝手に力を貸しちゃうね」
「だそうだ」
「アウラは昔から自由なんですから」
「あはは、まさか全部の精霊が僕に…」
そしてアウラはギラに言う。
「これまでに全部の精霊が視認出来たなら天人はきっと見えるさ」
「それはどうも」
そしてアウラは続ける。
「僕達も天人には少し手を焼いててね、君が奴らをどうしようとも何も言わないよ」
「おや、ではそうしておきます」
そうしてアウラは勝手にリックに力を貸した。
これで精霊はコンプリートである。
次は天人が見えるかどうか確かめに行く事になる。
ギラは骨の過去を追う、そして天人にカチコミに行く。
人に寄生する高位の霊的存在の天人。
森をあとにしたギラは久しぶりにヒャッハーする気満々である。