時の少女
霊感を鍛えるために精霊巡りを続けるギラ達。
ほとんどの精霊を視認出来ている事から霊感は確実に強くなったと思われる。
全ての精霊が見えたとき天人は見えるようになるのか。
大地の骨の背景を調べると同時に、天人にも喧嘩を売りにいく所存だ。
「ここみたいですね」
「ここってオルバインの首都にある時計塔ですよね」
「今も稼働してるけど、時の精霊だけになのかね」
「時の精霊だから時計塔に住んでる、って事かな」
とりあえず時計塔を上へと進む。
その時計塔はオルバインのシンボルにして技術の結晶である。
「にしても高いねぇ」
「この時計塔は下手なビルより高いそうですよ」
「そりゃ高いわけよね」
「だがこれだけのものを作れるのだから、人間も捨てたものではないな」
そんな技術に感心しながらも時計塔を登っていく。
この時計塔は定刻になるとその音を鳴らすらしい。
中にいる状態で音を鳴らされては敵わないので時間から外れた時間に登る。
次に鳴るのは午後三時だ。
その前に終わらせるべく十二時の音が鳴り終わった直後に時計塔に入った。
三時までにさっさと終わらせてしまうべく上へと進む。
「まだ着かないんですか」
「下手なビルより高いですから、それも自力ですからね」
「ですねっ、棒が足になりますっ」
「それは楽そうでいいね」
そんなボケはともかくとして少しずつ上へと進む。
そうして登っていくと頂上の時計が見えてくる。
そしてその頂上から見る景色はまさに絶景。
同時に高さの恐怖もある。
「ここに出るんですよね」
「なんじゃ、我輩の住処に何用じゃ、人間」
「この声は…」
「いるんですね」
そこに現れたのは着物に身を包む少女だった。
どうやら彼女が時の精霊のクロノスらしい。
「我輩に何の用じゃ、力でも欲しいのか?それとも時間を操って欲しいか?」
「力なら結構です、時間を操って何かしたくもないです」
「もう怖いもの知らずでいいんじゃないかな」
「相手は仮にも最高位の精霊なんですよね…」
するとクロノスもそれに対し妖しく笑う。
「ほう、面白い小娘よ、クックック、そう言われたのは初めてだ」
「ギラ様は無自覚に煽っちゃいますからね」
「最高位の精霊相手にそれを言うんだから」
「気を悪くしないどくれよ」
するとクロノスがその気配に気づく。
「む?なんじゃ、お主ら人間に屈したか?」
「屈したというかなめられたままでは終われなくてな」
「この少年を主にして我々が勝手に力を貸している」
「というわけでして…」
それに対してクロノスもクスクスと笑い飛ばす。
「ほうほう、面白そうな事をしているな、ならば我輩も楽しませろ」
「そう彼女は言っていますよ」
「その小娘が悪いのとお前を気に入ったのだろうな」
「はぁ、なんか凄い事に…僕は構いませんよ」
そうしてクロノスまでもがリックに力を貸す事に。
精霊だって誇りやプライドはあるのだ。
大体はギラが悪いしリックも苦笑いである。
とりあえずは目的は達したので時計塔をあとにする。
残す精霊は金の精霊のアウラを残すのみとなった。
アウラを視認出来たとき天人が本当に見えるようになるのだろうか。