銀色の騎士
霊感を鍛えるべく精霊巡りを続けるギラ達。
次の精霊は銀の精霊のアージェだ。
ここからは今まで以上に高位の精霊が相手となる。
そんな高位の精霊達を拝む事は出来るのだろうか。
「ここみたいですね」
「ここって廃墟の古城だよね」
「こんな場所があったんですね」
「中へ入ってみましょうか」
そうして中へと足を踏み入れる。
そこはかつての栄光を示すかのような場所だった。
「なんかいろいろありますよっ」
「これらはこの古城の主が持ち込んでいたものか」
「過去の栄光かね、凄いもんじゃないさ」
「それだけのものが並んでいますのね」
そこにあるものは名誉の証とも言うべきものが多くある。
それだけの人間がこの古城には住んでいたのか。
とはいえ状態からして結構古いものも多い。
恐らく主の死と共に放置されたのだろう。
「なんか悲しいですね」
「でも有名になるってそういう事ですよ」
「平穏を犠牲にする、ね」
「名が売れるというのはそういう事なんですか」
この城の主の悲しさも同時に伝わる気がした。
それは名誉と引き換えに失った平穏。
ここにある名誉の証の数々はそんな平穏を奪い去ったものなのだろう。
リックは有名になるという事の意味を改めて噛み締める。
「それで精霊は本当に見えるんですかね」
「行ってみればいいだけだろ?」
「そういう事だ」
「ならガンガン行こうか」
そうして奥へと進む。
そこには悲しみをたたえるかのような死体が椅子に座っていた。
「この死体は…」
「この城の主、か」
「この場に何用だ?人間達よ」
「声がする…」
そこに現れたのは全身を白銀の甲冑に包む騎士のような姿。
この騎士こそが白銀の騎士アージェらしい。
「用がなくば去れ、それとも力を望むか」
「いえ、力は間に合ってます、それにしても見えるものですね」
「すみません、こういう人です」
「斬られそうですわね」
それに対しアージェは返す。
「力を望まぬと言うか、ならば何を望むのだ?何も望まぬとでも言うのか」
「別に力とか間に合ってますんで」
「こういう奴だよ」
「なんか不服そうだなぁ」
するとアージェはその気配を感じ取る。
「む?貴様ら人間についたのか」
「なめられたままじゃ終われないのよ」
「それでこの少年を宿主にして勝手にね」
「というわけで…」
アージェはそれを見てそれを決めたようだ。
「ふむ、素質はある…ならば私もその力となろう、このまま引き下がれぬのでな」
「全くよね、このクソガキを見返してやるわ」
「我らを欲しないというのならその欲をかき立ててやるまで」
「はぁ、まあ僕は構わないんですが…」
そうしてアージェまでもがついてくる事となった。
とりあえず目的は達したため、古城をあとにする。
次からは最高位の精霊達が相手である。
時、元素、木、金、その最高位の精霊達に挑む。
まずは元素の精霊のマクスウェルに会いにいく事にした。
最高位の精霊が見えるなら天人も見えるだろう。
それはアージェが言う霊感の強さ。
ギラの天人相手のキリングショーは腹が立つからやる気なのである。