大地の魔獣
霊感を鍛えるべく精霊巡りをしているギラ達。
今までの精霊は勝手にリックを主としてついてきてしまった。
大体ギラが悪いのと精霊がリックに何かを感じたのか。
そんなこんなで地の精霊ベヒモスを探しにいく。
「こんなところに本当に精霊がいるんですかね」
「というかこんな場所があったんですか」
「地図上では荒野なんですよね、オルバインは自然が少ないからとか」
「地の精霊だし岩とか土があるところに住んでるみたいな?」
その場所はオルバインのそれこそ端の人が来ないような場所だ。
都市部や田舎街の辺りまでは人の手も入っているが、この辺りはまさに荒野だ。
「周囲に機械の残骸とかあるのは国が実験でもしたからかしら」
「だと思いますわ」
「オルバインは技術大国だからね、こういう事もあるのかも」
「人間の業ですかねぇ、いつの世もどこの世界でも」
それは人の光と闇を知るギラらしい言葉でもある。
自身が魔王となり自分の世界を滅ぼした事も踏まえて。
「それでそのベヒモスって本当に出るんですか」
「イメージ的には大きいと思うんですよ」
「とはいえベヒモスってバハムートですからね、正しくは」
「バハムートを竜だと思ってる人はゲーム脳ですねっ」
翠のメタい発言はともかく少し荒野を歩き回る。
そうして歩いていると崖に到着する。
行き止まりなので引き返そうとするとその声が響く。
声の主は崖の下からのようだ。
ギラ達は崖の下を見たあとそこから下へと進んでみる。
不安定ではあるが下への道があるのを確認した。
「この辺からですか?」
「人がこのような地になんの用だ?俺の力でも欲しくて来たのか?」
「はわわわわ、ジャンボですっ、ビッグですっ、ラージですっ」
「翠さん、全部意味が同じですわよ」
そこには凄まじい体躯の獣が見下ろしていた。
周囲に何もないのが救いではあるが、その体躯に圧倒される。
「見えてますね、それにしてもでっかいですねぇ」
「おい、用件を訊いている、力が欲しいのではないのか」
「あー、力とかいらないです、足りてるんで」
「ギラはいちいち相手を刺激しないで」
その言葉にベヒモスは少しムッとしてその足をギラに振り下ろす。
「いや、力とか足りてますからね?」
「なんだと…俺の踏みつけを片手で…」
「相手が精霊でも手は抜かない、そこに痺れるし憧れますね」
「えっと、それで…」
するとベヒモスはリックを見る。
どうやら精霊の気配を感知したらしい。
「はぁ、こいつらにコケにされたままで黙ってはいられんのだ」
「それでこの子を主にして勝手に力を貸しているんです」
「そういう事なんですが…」
「この小僧…ふふ、はははははっ!!それなら俺も勝手に力を貸してやる」
大体ギラが悪いのだが、ベヒモスもリックに何かを感じたのだろうか?
そのままリックを主にしてしまった。
とりあえず目的は達した。
ギラ達はそのまま荒野をあとにして次へと向かう。
精霊を従えているリックの方も気にはなるが今は平気そうだ。
次の精霊は風の精霊のイズナである。
精霊はリックに何を求め感じているのだろうかる