最北の魔狼
精霊を視認出来る事を確認すべく各地を飛び回るギラ達。
現在は三つほどクリアし、次は氷の精霊フェンリルを目指す。
その地はかつて来た最北の国。
事情は説明した上で豪雪の雪原へと足を踏み入れる。
「氷の精霊というだけに雪が強くないと出ないんでしょうね」
「防寒してるとはいえ寒いですよね」
「全くですわ、私の義肢もこの冷気では鈍ってしまいますわよ」
「早く終わらせて暖かいお風呂に入りたいよ」
とりあえずそのまま雪原を進む。
視界も悪い雪景色の中ひたすらに前に進んでいく。
「寒いのです、体が硬くなるのです」
「はわわ、エレネさんがカチカチですよっ」
「そこは液体金属ですね、流石です」
「ギラは本当に動じない奴だな」
エレネとペトラはこの寒さでは体が鈍くなってしまう。
さっさと終わらせようと急いで雪原を進む。
「うぅ~、アタシでもこの寒さは流石に堪えるねぇ」
「うちは寒さや暑さに弱い人が多いですからね」
「というか寒すぎですわよ!」
「最北の国でも特に寒いと言われる場所に来てますからね」
リックは寒さにも動じず冷静なものだ。
「やれやれ、ならば少しだけだぞ」
「おや、サラマンドラさんもいい人ですね」
「熱のコートですか、完全ではないものの寒さは軽減されてますね」
「温まりますわね」
サラマンドラの熱のコートで寒さを少しではあるが軽減する。
少しは体も安定して動くようになりそれだけで楽なものである。
「ん?今何か聞こえなかった?」
「狼の鳴き声?」
「向こうですね、行ってみましょう」
「フェンリルですかね」
鳴き声のした方へと進む。
するとそこには銀色の毛皮の狼がいた。
「人間か、よくもこんな場所まで来たものだな」
「あなたが氷の精霊のフェンリルですか」
「美しいですわ」
「流石は白銀の狼とも言われだけあるわね」
フェンリルはギラ達に興味を示したのかその匂いを嗅いでいる。
「ふむ、悪しき臭いはしないようだ、して私に何を求める?力か?」
「あー、力とか結構なんで、見えるかどうか確認しにきただけです」
「なんかすみません」
「…やっぱり不服そうな顔してるよ」
フェンリルはその言葉に笑ってみせる。
「ふはは、ははははっ!!面白い事を抜かす小娘だ、実に面白い」
「いや、別に力とか足りてるんで」
「ギラはいちいち相手を怒らせるように喋るよね」
「はぁ、これがいつものギラ様ですよね」
そしてフェンリルは他の気配を感じ取る。
「む?サラマンドラにフードゥル、アプサラスか」
「僕に勝手に力を貸してるんです」
「大体ギラ様が悪いんです」
「だよね、同意するよ」
フェンリルはそれを見て答えは決まったようだ。
「よかろう、ならば私もその小僧の力となる、このまま黙ってはいられん」
「はぁ、そういう事なら…」
「やっぱりギラ様のせいですね」
「それかリックに何か見込みでもあるかね」
そうしてフェンリルも勝手についてくる事に。
とりあえず目的は達した。
街に戻り体を温めて次へと向かう。
次の精霊は地の精霊ベヒモスを目指す事となる。
精霊はリックを見定めているのかは今は定かではない。