はぐれ者の研究者
以前接触した研究者に会う事にしたギラ達。
そのときに渡されたメモに書かれた場所へと向かう。
そこは人気のない廃墟で元々は国の保有していた建物らしい。
そんな見た目はボロい建物にギラ達は足を踏み入れる。
「おや、本当に来たのですか」
「ええ、少し訊きたい事もありますからね」
「なんか凄いですね、廃墟なのに中は綺麗に改装されてて」
「外見以外は見事に改築されている、大したものだな」
とりあえず中は好きに見ていいと言われた。
リックや恋夜はそれに興味が湧いたのか他の研究者に説明を受けている。
「それで、大地の骨の残党に渡した魔物もここで?」
「そうですよ、非合法というか禁忌の研究なんていうのもやっています」
「それで異世界に飛ばすような事までしちゃうんだ、凄いね」
「禁忌の研究なんて言うぐらいだからなのかね」
研究者の話では国からは許可されない研究をしているという。
しかも三大国の研究者が国を越えて揃っているらしい。
「まあそれはともかく、天人を見えるように出来るとか出来ませんかね」
「天人、あの人間に寄生しているという高位生命体ですね」
「それも知ってたんですか」
どうやら調べていたものはここではすでに研究されているそうだ。
見えるようにするのはまだ出来ないがその力の感知は可能らしい。
以前のときも恋夜はそれを感じ取っていた。
とはいえ魔法的な力とだけなので疑わしくも確証はなかった。
「天人の魔法は魔法の根源がこの世界とは違うのです、それが鍵ですよ」
「やはり高位生命体とか天界が出てくるとかですか?」
研究者も天人がどこから来たのかは知らないらしい。
それよりも大地の骨の事である。
「奴らはあなたに出会う前から憎しみに支配されていた、当然の成り行きです」
「それも調べたんですけど国とかに対する憎しみですよね?」
その通りだと研究者は言う。
居場所を奪い大切な人達を殺したからこそだと。
だがギラはそんな奴らにさらなる憎しみを与えた。
ギラが奴らの憎しみを増長させたのだと。
とはいえ奴らのやっていた事は暗殺とは名ばかりの無差別殺人。
いつしか暗殺ではなく殺す事が目的になったとも言う。
「我々も残党に接触して分かりましたよ、奴らは大義名分が欲しいのだと」
「結局大地の骨は家族ごっこだったという事なのかな」
研究者の話では暗殺を成功させていたのも初期の頃だけだそうだ。
それ以降も半分は無実の人間が殺されていたという。
自分達の研究は科学だけでなく人の心理なども研究しているという。
力を借りにきた時点で正気ではなかったし、その憎しみが伝わった。
それで力を貸した上でそのときから心理状態も研究していたという。
「そうですか、まあ大体は理解しました」
「ああ、そうだ、天人の姿が見たいのなら霊感を鍛えるといいらしいですよ」
霊感を鍛える、その言葉を覚えておく。
研究者に礼を言い何かあったらまた来ると言って研究所をあとにする。
霊感を鍛える方法を少し調べてみる事にした。
その方法を調べにまたバドカへと飛ぶのだった。