浅い情報網
大地の骨の被害者にも接触を試みるギラ達。
接触するのはもちろん無関係であった人間だ。
無関係な人間を手違いで殺していた大地の骨。
その実態にも近づくべく動く。
「ここですか、すみませーん」
「今でも住んでいるのか?」
「それに話したくないかも…」
「それでも可能性は信じるものよ」
少しして中から声がする。
中から出てきたのは30ぐらいの女性だ。
「はい、何かご用ですか」
「えっと、10年ぐらい前の身内が殺された…で合ってますか?」
「突然ですみませんが」
「それについて聞きたい事がありますの」
それに対し女性は中へ入って欲しいという。
ギラ達はとりあえず中へとお邪魔する。
「それって私の兄が国の役人をしていたという事を知っていて、ですか」
「ええ、何者かに暗殺されているはずです」
「ギラさん…」
「辛いのは知っている、だが私達はその事について調べているんだ」
女性は少し間を置いて口を開く。
「あれは10年前ですか、兄は国の役人で真っ当に働いていたんです」
「汚職などは言うまでもなくなかった、ですか」
女性はそんな事あるはずがないと言う。
実際変に大金を持ち帰る事もなければ職場でも仕事人間だったらしい。
「でも同じ職場に横領をしていた人がいたと聞きました、手違いですよね」
「その横領をしていた役人と間違えて殺された、嫌な話ですわ」
今でもそれが納得出来ないという。
なぜ何もしていない兄が殺されないといけないのか。
暗殺をした人間達の情報網が浅いのだと思ったという。
「それに私と似た境遇の人は他にもいるんです、無関係なのに殺された人が」
「やはりそれは国で働く人ですよね」
それは殺された人間の共通点だという。
だが無実の人間が殺されるその現実に憤りを覚えた。
国に説明を求めたが調査中として突っぱねられたらしい。
「それで我慢が出来なくなって国に訴状を出しました、無茶だと知ってても」
「一応アルセイムは軍国ですけど法治国家でもありますしね」
「調査の結果を公表するように、か」
だが国はそれを破り捨てたという。
悔しかった、それから年月が経過して繋がりのあった人が失脚したと聞いたという。
今度こそ進展するか、そう思い改めて国に質問状を出したという。
それにより説明がされ暗殺集団による手違いだとはっきり言われたらしい。
「私は今でも納得はしてません、でも話が聞けただけでもよかったですよ」
「結局はそんなもんか、暗殺集団なんて名前ばかり、だね」
女性は他にも被害者はいるという。
調べているのなら会ってみてはどうかとも言う。
ギラ達は他の人達にも一応接触を試みる事にした。
女性からアルセイム国内のその関係者の住む場所を聞く。
「感謝します、辛いはずなのに申し訳ありません」
「いいんです、全貌が明らかになるかもしれないなら」
そうしてギラ達はその女性にお礼を言いその場をあとにする。
他の関係者にも接触し当時の暗殺に関する浅さを検証するのだ。
大地の骨の情報網、それはどんなものなのか。
無関係の人間を巻き込んだその情報網に迫るのである。