黒い歴史
大地の骨の事を調べるギラ達。
アルセイムの引退した政治家を探せば何かが聞けると考える。
そう考えアルセイムの引退した著名人が多いという街へ向かう。
それは王都から離れた海岸沿いにあるライデイという街だ。
「ここがそのライデイの街ですか」
「ああ、ここは有名な人間が隠居に使う街としてその方面に人気でな」
「つまり政治家もいるだろうという事ですね」
「とりあえず街の人に訊いてみますか」
そうして街の人に話を聞く。
すると東の地区にあるアベールという人が元政治家だと聞いた。
「アベール、ここの家みたいですね」
「すみませーん、誰かいますかー」
「返事はないですね、留守でしょうか」
「出直す?」
すると家の扉が開く。
中から出てきたのは見た感じ70ぐらいの老人だ。
「何かご用ですか?」
「えっと、少し話が聞きたくて来たんですけど…」
それに対してその老人は少し間を置いて中へ入るように言う。
ギラ達は警戒しつつも中へと入る。
「それで、こんな老いぼれに何を訊きたいのですか」
「えっと、10年前の暗殺が多発していたときの話を…」
それに対し老人は改めて自分が元政治家だと言う。
そしてその当時の話を覚えている限り話すという。
「あのときは私が引退した翌年です、突然国の偉い人が多数死にましてね」
「それが暗殺だと?」
アベールはそれが始まる一年前に引退したという。
だからこそその暗殺には何があったのかとも思ったそうだ。
「死んだ政治家には他殺の痕が残っていて暗殺だとはっきり分かりましたよ」
「それに国は動いたのかい?」
アベールの話では国は危機こそ感じたが犯人を追おうとはしなかったらしい。
引退した身とはいえ、それに不審を覚え独自に調べたという。
すると当時の国の第二王女がその暗殺集団と繋がっていると突き止める。
だがその尻尾を掴むべくして見たものこそがオシドリの羽だったそうだ。
第二王女は当時国王に気に入られていた事もあり便宜を図ったと思われる。
だがその結果招いたものこそが政治家の大量暗殺。
それも隣国をも巻き込んでの暗殺だった。
「それで結局どうなったんですの?」
「第二王女は失脚しました、国内の反勢力が国を動かしたんですよ」
つまり身内が殺されたのに動かない国に不信感を覚えたのだろう。
国王もそれにより追い詰められ今の国王に王位を譲り失脚。
その新国王はウルゲントに協力を要請し大地の骨を調べたという。
だがその間にも数人が殺されたそうだ。
ちなみに調査結果によると暗殺された人間の半分は無関係な人間だったという。
罪もない人間が殺されたという事実は公表された。
だがそれでも大地の骨は活動を続けたそうだ。
「それが事の顛末です、あの悪夢の一年はまさに黒い歴史ですよ」
「そうですか、話が聞けてよかったです」
アベールは暗殺で国は変わらないと言う。
それだけは忘れないで欲しいと。
そうしてギラ達はお礼を言い家を出る。
そして改めて大地の骨の背景にあったものを調べる事にする。
国とすら繋がれたその背景に何があったのかという事にも踏み込むのである。