暗殺の歴史
大地の骨のルーツを調べるギラ達。
次は豹変した後の暗殺について調べる事にした。
とりあえず情報がありそうなミリストスの王立図書館へ。
そこで記述されていたのは想像以上のものだった。
「これがその歴史書ですね」
「えっと、今から十年前の記述ですか?」
「あいつらそんなに活動してたのか」
「それでなんて書いてありますの?」
そこには一ヶ月の間にアルセイムとウルゲントの要人を50人暗殺とある。
その記述にギラだけでなくソウもその目を疑う。
「おいおい、そんな真似したら下手すりゃ戦争になるよ」
「ですが戦争になったという記述はありませんね」
「それに戦争になってたら今の世の中も荒れてるはずですよ」
「あとオルバインでの活動記録が載ってないよ」
確かにその活動記録にオルバインのオの字も見当たらない。
つまり骨はウルゲントとアルセイムをメインに活動していたのか。
ギラもオルバインでは骨の襲撃がなかった事を思い出す。
奴らは海を渡る手段は持っていなかったのだろう。
それにオルバインは商工会がある。
骨はオシドリの羽としての一面も持ち合わせていた。
だが奴らは商工会には参加していなかった。
それにより自分達にとって邪魔になる商談相手を骨として消していた。
過去にそれらしき事例があったのをギラは思い出す。
「でもいくらなんでも一ヶ月の間に要人を50人とかトチ狂ってますよ」
「よく戦争にならなかったと感心しちゃいますよ」
「その後も最近までの活動記録を見る限り暗殺はしてたんだね」
「そこまで駆り立てるって本当にそのボスの意思なんですか?」
そこは確かに引っかかる。
短期間にそんな大量の暗殺だ。
少なくとも裏に何かがいたという事を考えても何も不思議ではない。
「それにあのおばさんの言っていた風の話も気になります」
「まるで村を守るようだったっていう風ですねっ」
「私もそれが引っかかるのよ、やっぱりその風は人為的に起こされた風なんじゃない」
「私もモレーアに同意だな、自然現象にしては妙にも程がある」
モレーアと恋夜はその風に違和感を覚えていた。
村を守るように吹いていた謎の風。
二人は自然現象ではないだろうと指摘する。
人為的な力だとしたら誰がその風を起こしていた?
誰かに見られていても不思議ではないのにその記述はどこにもない。
村の人も国の人間も風は確認したが人の姿は確認していない。
人為的な力であるとするなら誰がそれをやっていた?
人の目にはその姿は見えていない、精霊か何かだろうか?
精霊の悪戯にしては度が過ぎる、つまり霊的な存在の何かだろうとは考える。
その存在は今もどこかで見ているのか、視線は感じないし姿も見えない。
「とりあえずその謎の存在を暴いてやりますか」
「メーヌはどこまでもお付き合いしますよ」
「どうせ聞かんのだ、私も気になるしな」
「同じく、こうなったら徹底的にね」
そうして話は決まった。
ギラ達はその奇妙な風について調べてみる事にする。
明らかに違和感を感じる風。
人為的なものであるという確信を得るために。
骨にまつわる謎はまだ完全には解けないのである。