本物の恐怖
その日の夜、ギラは言われた通りに一人で手紙に書かれた場所に出向く。
仲間達は寝静まり街も静かになったその時間。
ギラは国境付近の森の例の場所へと向かう。
これから始まるのは本物の恐怖、そして本物の絶望なのだから。
「…どうせ待ち伏せしているのでしょう?出てくればいいものを」
「ほう、気づいていたか、ならば言葉は必要ないな」
遺跡の周囲の茂みから骨の残党と思われる覆面が姿を見せる。
数はざっと20人といったところか。
「本当に一人で来る馬鹿とは思わなかったぜ?」
「…馬鹿はどっちか、喧嘩を売った相手が何者か、教えてあげますよ」
次の瞬間骨の残党が爆発四散し無残な肉片と化す。
この程度の雑魚、触れる必要すらないのである。
「な、何をした…何をしたあっ!!」
「言ったでしょう?あなた達が喧嘩を売った相手、その相手を」
そのまま残りの奴らも爆発四散や両断など無惨に殺される。
ギラはその足で遺跡の中へと入っていく。
「本当に来たのか、外の奴らでは相手にならないと?」
「別に外の奴らに限った話でもないですよ?あなたも、ほら」
次の瞬間その場にいた残党達の腹に大きな風穴が空く。
さらには頭が吹き飛ばされたりと、その残忍さはまさに魔王のそれである。
「ひっ、く、来るな…来るなあっ!!」
「結果を売ったのはそっちでしょう?売られた喧嘩を買ってあげたんじゃないですか」
ゆっくりと歩くギラ。
逃げようとする骨達は逃げる事も叶わず次々に無惨な肉片と化していく。
そうして触れる事すらしないまま骨達を虐殺し、奥へと進む。
骨達はようやく悟ったようだった。
こいつは本物の悪魔、化物なのだと。
「ひっ、た、助け…ぶべらっ!?」
「脆い、脆いですねぇ、でも、壊すのは楽しいですよ?」
一人も逃がさないまま奥へと進んでいく。
そしてあの場所へと辿り着く。
「来たか、やはり仲間達では話にもならん、という事か」
「残党達を率いるリーダー、以前後ろ盾とも言っていましたね、吐いてもらいますよ」
だが残党のリーダーは不敵に笑う。
「それは言えない話だ、どうせ貴様はここで死ぬんだからなぁ」
「たかがゴミクズの人間風情が私を殺す、冗談は顔だけにしてもらえますか」
だが次の瞬間その背後に黒い影のようなものが見えた。
それを確認したときには既に決着は付いていた。
「えっ?ぴぎゃあぁぁぁぁぁ!!!!」
「あの影のようなもの、恐らく思念を術として使うものですか」
その日の夜、大地の骨は完全に壊滅した。
一人の生き残りもいない、完全な壊滅である。
「それで?このゴミ達を裏で操っていたのはあなたですよね?」
ギラが何者かに声をかける。
するとそこには一人のローブの男がいた。
「気づいていたのか、手塩にかけた骨どもを後も簡単にな」
「何者ですか?黒幕か、それとももっと大きな存在とか?」
そのローブの男は何かしらの呪術師のようだった。
「話はここではあれだ、後日カーミンスの近くの森に来い」
「まあいいですよ、殺す前に話ぐらいは聞いてから殺しますから」
そうしてそのローブの男は姿を消した。
ギラもその男に後日会う事にした。
その男は黒幕か、それとも何なのか、それは想像よりも大きな闇である。