奪われた翼
マーデルの犠牲を経て転送は完了した。
ギラ達が転送された先はどこかで見た森の中。
それは最初に悪魔の魔物を討伐に向かった山の麓だ。
とりあえず分かっていつつもソルバードのあった場所へ向かってみる。
「ソルバードはやはり奪われてますか」
「あいつらの拠点なんて分からないしね、どうするのさ」
「うーん、一応ドラジールが近いし行ってみる?」
「ですわね、それがいいと思いますわ」
その足でドラジールへと向かう。
街の様子は飛ばされる前とそこまで変わりはない。
「様子は特に変化はなさそうです」
「あいつら、本当に私達への復讐だけが目的か」
「だとしたらさっさと壊滅させてやりたいんだが」
「あはは、ソウさんもご立腹ですね」
だが街を歩いていると冒険者達が集まってくる。
どうやら行方不明になったとして話題になっていたようだ。
そんな冒険者達に無事を一応は報告する。
一応その冒険者達に大地の骨の残党について訊いてみる。
だが詳しい情報は得られず行方は掴めないままだった。
とはいえ奴らは恐らく戻っている事にすでに感づいているだろう。
同じ失敗はしないと心に決め改めてそれを探す。
そうして情報を集めていると大怪我をした冒険者の話を聞いた。
その冒険者は例の国境付近の森で襲われ命からがら逃げてきたという。
当時は危険な状態だったが、今は話は出来る程度に回復しているという。
それに話を聞くべく街の医療所へと向かう。
「少しいいですか」
「あんたは…無事だったのか、嬉しいな」
「えっと話を聞きたくて…大丈夫ですか?」
その冒険者は森での出来事を話してくれた。
森で魔物を討伐し最短距離のミッドハークに向かおうとした矢先らしい。
突然背後から斬られそのまま追撃されそうになったという。
最初の一撃で相手を察知したためなんとか逃げられたが傷が深かったそうだ。
そのままミッドハークの入り口で倒れ搬送されたという。
そうして医療設備の整うドラジールに移送されたそうだ。
「その森には何者かが潜んでる、多分大地の骨なんだろうな」
「犯人は巣に帰るという事ですか」
「どうしますか?殴り込みかけます?」
とはいえ下手に動くのも危険があると踏む。
少し様子を見てからカチコミをかけるべきだとソウも言う。
リックもそれに同意し少し様子を見るべきだと言う。
その冒険者にお礼を言い一旦外に出る。
そうしてその森に行く事は決まった。
だが数日は様子を見る事になるためこの近辺でギラ自ら餌になってみる事に。
大地の骨の残党は必ずボコボコにするとギラはドス黒い炎を燃やす。
相手の出方も疑うべくその動きを警戒する。
無関係な人が襲われるのは言うまでもなく嫌なものだ。
ギラの美学は人を殺すのならば苦しむ事すらさせずに殺す事なのだ。
とはいえ心の底からムカつく相手には極限まで痛みを与えるという。
今回の相手はそんな心の底からムカつく相手である。
ギラはそんなドス黒い炎を心に燃やしつつ相手を待つ。
そしてその最高の苦しみを与えてやるのだと誓うのだった。