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宗教から軍隊へ

エリスの愛の行方を見届けた一行。

通行証の発行は順調にいけば今日にも手に入るはずだ。

宿で暇そうにしていると、宿の主人から通行証の用意が出来たと連絡を受ける。

ギラ達は通行証を受け取りに城にある事務局に向かう。


「やっとですか」

「いろいろとありましたよね、でもやっと隣国に行けますよ」

「わくわくしますねっ」

「ではお城の事務局に取りにいきましょう」


そうして城の事務局へ。


「すみません、通行証の発行を頼んだ者ですが」

「ああ、お待ちしていました、ベギラメラ様ですね、通行証の用意は出来ました」


とりあえずは一安心であろう。

事務局の職員は奥の方から発行された通行証を持ってくる。


「こちらになります、四人分の通行証ですね」

「どうも、あと無くした場合などはどうすればいいか確認していいですか」


念には念をだ。

無くした場合の説明も聞いておく事に。


「無くした場合はその国の発行している、王都の事務局に申し出てください」

「分かりました、再発行には今回と同じ程度でいいんですね?」


その後も念入りに説明を聞く。

そうして大体を理解したところで、お礼を言い事務局をあとにする。

国境は関所を抜けてその先にある国境の街がそれになる。

王都の近くに国境があるのは両国の共通らしい。

つまり戦争になれば王都は両国共に素早く攻められる事になる。

そのためなのか防衛戦力のほとんどは両国共に王都に集中させているらしい。


ギラ達は王都を出発して国境の街へと向かう。

王都からは歩いてそんな遠くない距離だ。


「ん、んー…太陽の光が気持ちいいですね」

「ヒキニートのギラ様が日光を気持ちいいなんて…」

「変わりましたね」

「それより国境の街はこの先の街道の先ですよ、時間はあるので行きましょう」


そうして街道を進み国境の街に到着する一行。

その街は両国の人間が盛んに行き来する交易の街でもある。


「ここがですか」

「はい、ここが交易の街にして国境の街ミッドハークですね」

「美味しい匂いもしますし面白そうなものもありますね」

「国境を越える前にいろいろ見たいですね、行きましょうっ」


そうして街の散策を開始する一行。

屋台で軽食を買い街をぶらつく。

その街には機械の道具も多数売られていた。

機械はオルバインがその技術において盛んな国らしい。

そんなオルバインが自国の技術を世界に向けて発信、輸出しているそうな。

今この両国にそれが浸透したのもオルバインのセールスのおかげらしい。


「機械はそれなりに値が張りますね、一つぐらい買っておきたいものですが」

「貧乏人には高嶺の花ですからね、僕もそんなお金は持ってませんし」

「やっぱり高級品なんですねぇ、その割に浸透してるのは実力ですか」

「でもお金が貯まったら買いましょうねっ」


そんなこんなで駄弁っていると、オシドリの羽が商売をしているのを発見する。

流石に知られているとは思うが、下手に騒ぎ立てたくないのでその場を立ち去る。

裏では殺戮ヒャッハーをしているくせによくもまああんな真似が出来るものだ。

以前のメーヌの調査から、恐らく友好的でない商売敵は殺しているのだろう。

その結果自分達に友好的な商人だけが残っているのだ。

そう考えるとギラは心底虫酸が走るようだ。


「さて、興味深いものも見れましたし国境を越えますかね」

「ではいよいよアルセイムに行くんですね」

「わくわくですねっ」

「国境の検問所はあっちですよ、行きましょう」


そうして検問所へ向かう一行。

検問所では両国の検問担当の兵士が厳重に検問を行っていた。


「止まれ、通行証を出してもらえるか」

「ええ、これですよね」


そう言って通行証を提示する。


「確かに、ではよい旅を!」


そうしてついに国境を越えるギラ達。

そこからは隣国の軍国アルセイムの領土だ。

王都に行く前に一番近い街で情報を集める事にした。

向かったのは王都とミッドハークの中継地点になるラビニアの街だ。


「国境を越えた事もあって景色が変わりましたね」

「ええ、文化とかあと軍人さんが多いです」

「アルセイムは軍国ですからね、国の予算の多くを軍備に使っている国です」

「ウルゲントは宗教国で、軍隊だと神殿騎士団が主力でしたね」


そんなこんなで街の探索を開始する。

少し暇潰しも兼ねてアルセイムの冒険者ギルドで依頼を受ける事にした。

冒険者ギルドは農村でもなければ、基本的にどの街にもある。

ちなみに国の中でのみの依頼しかないので、国境を越える必要はない。


「ふむ、すみません、この依頼を受けたいのですが」

「あの、すみません、それゴールドランクの依頼ですよ?」


以前と同じ事を言われやれやれなギラ。

だが少し強引にその依頼を受ける事を告げる。


「本当にいいんですね?カッパーランクだと死ぬかもしれませんよ?」

「だ か ら受けるって言ってんだろ、このダホ」


ギラは気怠げにメンチを切ってみせる。

とはいえぶっちゃけ怖くない、魔王様の威厳なんてそこにはなかった。

そもそもギラは感情に乏しいし表情もほとんど変えないのだ。

なのでメンチを切られても怖いと思う人はまずいないであろう。


「わ、分かりました…では受理いたします」

「分かればいいんですよ」


そうして依頼を無事に受諾した。

リックはその依頼を見てまた驚いている。


「えっと、ドリアードって凄く強いモンスターなんですけど…」

「そうなんですか?まあ、負ける要素なんてないですよね」


以前のレッドドラゴンの事を見ている事もあり、心配はないと思うリック。

目的地は国境付近の森の中だそうだ。

ちなみに国境近くには森を抜ける事で検問を受けずに突破可能な闇ルートがあるとか。

とはいえそのルートは危険が非常に多く密入国者でもまず通らないらしい。

そんな危険地帯が国境越えの闇ルートを死の境界線と呼ばせていた。


「さて、準備でもしていきますか、せっかくですし武器も新調したいです」

「そういえば最初の町で買ったロングソードまだ使ってたんですね」


ギラ自身が強い事もありそれで充分だったため忘れていた。

ちなみにリックは街での自由行動の際に武器は新調していたらしい。

ギラは近くの武器屋に入り手頃なブロードソードを買ってきた。


「ふむ、これなら少しはマシになりますかね」

「元々強いんですから武器は何でも変わらない気もしますけどね」

「あはは、まあ武器は少しでも強い方が楽ではありますよね」

「ですねっ、それじゃその森に向かいましょう」


そうして依頼のモンスターが出るという森へ向かうギラ達。

だがその森でギラの怒りは再び燃える事となる。


この国でギラは何を見るのだろうか。

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